193話 謁見②
気分よく目覚めた。
昨夜は宿を見つけるのに手間取ったが、うまい料理とふかふかのベッドにありつけたので、しっかりと睡眠が取れたようだ。
やはり食事と睡眠の充実は体調と精神を安定させる。
元の世界では、食事への毒の混入や、寝込みを襲う敵への警戒を怠るわけにはいかなかったので、今の生活は幸せすぎると言えた。
エージェントは敵が多いのだ。
そんな理由もあって、欲しくても彼女を作ることができなかった···決してモテなかったわけじゃない。
そう思って何が悪い。
スレイドと合流して近くの店で朝食を取る。
トマトのパスタにサラダ、そして玉子のサンドイッチ。
炭水化物に炭水化物。
それが何か?
俺の出身の関西ではそれがあたりまえだ。
「朝から王城に向かいますか?」
「そうだな···謁見のための手続きはどうしたら良いんだ?」
城にどうやって入るかなんて異世界から来た俺にはわからない。
「城門にある騎士団の詰所に行って申請をする必要があります。しっかりと連絡がされていればすぐに案内をしてくれます。」
「もし連絡がしっかりとされてなかったらどうなる?」
「確認のためにかなり待たされるでしょうね。場合によっては半日は足留めです。」
さすがに国王陛下や大公閣下に城内で会うとなると、かなり面倒なようだ。
食事の後、俺達はすぐに城へと向かった。
あまり遅くに行くと、入城手続きだけで日が変わるかもしれない。
そんな状況は避けたい。
城門に着き、詰所を訪れる。
「ああ、聞いていますよ。スレイヤーギルドのタイガ·ショタさんですね?本人確認証を拝見しますので出していただけますか?」
連絡はしっかりとされていた。
でも、ショタって言ったよね?
「ギルマス補佐。ダメですよ。」
スレイドが俺の肩に手を置いてなだめてくる。
大丈夫だ。
こんなところで、騎士団員の頭をどついたりはしない。やってみたい気もするが、たぶん捕まるだろう。それは嫌だ。
「確認が取れました。案内役が参りますので、しばらくお待ちください。」
そう言われたので、大人しく待つことにした。




