192話 謁見①
スレイドと2人で王都を歩いて見て回った。
スイーツ専門店や宝飾店など、住んでいる街では見かけることのできない店が軒を並べている。
「やっぱり珍しい商品が多いのかな?」
「そうですね。王都ならではの品揃えだと思いますよ。中央の貴族街にも店がありますし。」
「そっちの方がレアなアイテムがありそうだな。行ってみないか?」
「ええ。行きましょう。」
大通りを歩き、貴族街に向かう。
途中から広い敷地の邸宅が増えてきた。
「あれが貴族御用達の店かな?」
シックな装いの店舗が通りに並んでいる。どれも大きな店構えをしているが、時間が遅いからか、どの店にも客の姿はなかった。
「ちょっとこの店に入っても良いかな?」
「構いませんが、この店ですか?」
入ったのは食器を扱う店だった。
「食器に興味があるんですか?」
「ちょっと必要なんだ。」
せっかくだからギルドの近くに出すレストランの食器を見てみようと思ったのだ。
どうせなら少し変わった物を調達したい。
店内を見て回ると、いろんな種類の食器が並んでいた。
ドイツのあの老舗陶磁器ブランドのようなブースで足を止める。白地に青や緑の模様が目を引いた。
「いらっしゃいませ。」
丁寧な物腰でやってきたのは初老の男だった。
「レストランで使用する食器をこのブランドで揃えたい。サラダ、メインディッシュ、スィーツなどのコース用に70セットほど見繕ってもらえないだろうか?」
「···70セットですか!?失礼ですがご予算は?」
「500万で足りるかな?」
目の前の食器類には値段が書かれていない。元の世界と同じくらいの価値基準なら一点あたり2~3万くらいだろうと判断して言ってみた。
「充分でございます。どのようなお料理に使われますか?」
「メインは肉料理なんだが、チョイスはあなたのセンスに任せる。納期は特に急がないが、少し離れた街に送って欲しいんだ。」
本人確認証を提示すると支払いは後で良いと言われたが、前金で全額を支払っておいた。任務で長期不在をすることも考えて送り先はギルドに指定する。
「レストランを開業するのですか?」
店を出ると、興味深げにスレイドが聞いてきた。支払った金額に驚いていなかったのは、貴族の出身だからだろう。
「成り行きでそうなった。ギルドの近くだから開業したら食べに来てくれ。」
「ええ。肉料理なら大好物です。」
「腕の良い料理人がいるから味は保証するぞ。」
俺達はそのまま夕食と今夜の宿を求めて歩き出した。




