160話 レイド vs上位魔族⑯
「よし。今後の課題もわかったし、さっさとこの状況を終わらせようか。」
「えっ!?」
タイガはいたずらっ子のような表情をしている。
本当にこの人は···噂通りの人だな。
ミシェルはそう思った。
ギルド内では一時はナチュラル·ジゴロの二つ名で呼ばれていたが、最近ではその鈍感すぎる態度からフラグ·クラッシャーと言う称号にランクアップしている。
一説によれば、今は強力なライバルが犇めいているので互いに牽制をしあっている状態であると言う。
もし、タイガが爵位を授与されて一夫多妻が認められれば、求婚や交際を申込む女性の数は両手では足りないくらい存在するだろうと予測をする者が多勢を占めていた。
これは、ギルドにおける元祖伊達男のアッシュが恐妻家であることが周知の事実となったことも起因しているらしい。
男性スレイヤーからは、なぜそんなにルックスの良くないギルマス補佐が···と言う意見が多いらしいが、女性から見てタイガのルックスはそれほど悪いものではない。
東方の人種の特徴である艶やかな黒髪は神秘的で、良く言えば切れ長、悪く言えば細目がちな瞳も笑うと非常にかわいいと好評なのだ。加えて、ゴツい体格ばかりのスレイヤー男性の中では、長身痩躯はプロポーションが良く見える。
そして規格外の強さと、優しさを兼ね備え、人を笑わすノリツッコミが大好評なのだ。
「ミシェル?」
「あ····すいません。考え事をしていました。」
タイガの言葉がミシェルを現実に引き戻した。
「メテオライト·ドライブを空に向けて撃ってくれ。」
「えっ、空に向けて···ですか?」
「ああ。それで方がつくはずだ。」
何度となく空から攻撃を繰り返す魔族に、スレイドとセティは疲弊していた。
このままではどんどん圧されていくな···。
スレイドがそんな風に思っていると、背後から突然大きな魔力を感じた。
振り向くと、ミシェルが魔族のいる空に向けてメテオライト·ドライブを放っていた。
あれほど大きな魔法ではすぐに避けられてしまう。
そう思ったが、魔族はメテオライト·ドライブに脅威を感じたのか、慌てて地面に降下してきた。
スレイドは近くにいたセティにアイコンタクトを送り、身体能力強化の魔法をかけながら魔族に突進をした。
こちらに気づいた魔族が回避をしようとした所に、ケイガンの風撃が直撃する。
動きを止めた魔族にスレイドが一閃。
それに続いたセティが炎撃を入れ、さらに剣撃でトドメをさした。
魔族を討伐したスレイド達がミシェルの方を見ると、タイガに付き添われたミシェルは気恥ずかしそうに笑みを浮かべていた。
「メテオライト·ドライブをフェイントに使うなんてね。」
「あんな威力の高い魔法がフェイントって···ものすごい魔力の無駄遣いだな。」
「でも、おかげで助かったよな。」
3人は笑いあい、ミシェルとタイガの元に走って行ったのだった。




