最終章 You Only Live Twice 68
ビッグクランチとは、ビッグバンと相反するものである。
ビッグバンの壮大な爆発が宇宙の始まりとされており、それで膨張が起こり今を形成した。
ビッグクランチはその逆の作用、つまり反転である。
膨張から収縮に移行したそれは、無次元の特異点まで一気に縮んでいく。
逃げ場をなくすため、地中も含めて竜孔流で球体を形成しテトリアを閉じ込めた。
そこへの急激な収縮。
正直なところ、竜孔流だけではなし得なかっただろう。
ルシファーから授かった翼とイマジンが無意識に作用した。
テトリアがアザゼルの系統であるなら、その存在を消すためには現世の力だけでは難しいと考えられる。
そこに干渉したのがイマジンだった。
イマジンとは、心に思い描いた幻想を現実に変える力。
幻想とはいっても空想科学の具現化ではない。
この世の理から外れた力を打ち消すもの。
”悪魔の鉄槌”
単なる偶然なのか、あの時点から仕組まれていたのかはわからない。
俺が元の世界で巻き起こした事案と同じ名称がこの能力の名であると告げていた。
つくづく悪魔だとか魔王に縁があるなと思いながらも、今はこの力を利用させてもらう。
堕天使···いや、堕神ルシファーがふるうのは闇の力なのかもしれない。
しかし、目には目をである。
この戦いに光や正義など関係ない。
実際にはそれぞれの立場に存在するであろう事柄かもしれないが、俺にとってはどうでもいいことだった。
気に入らないものを消去し、束の間の小さな平穏を奪えればそれでいい。
あとはその力に溺れず、のみこまれなければいいのだ。
ビッグクランチからさらに破裂を巻き起こす。
宇宙空間では暗黒物質が27%、闇の力が68%を占めているそうだ。
宇宙空間とは、神の存在と等しいといえる。
その内にあるダークエネルギーの密度を高めて暴走させることで膨張を加速させ、理外法則を崩壊させる。
それすなわち、宇宙の破裂と呼ぶ。
「遺言はいらない。そのまま消えろ、」
そのつぶやきの後、目の前の半球体は破裂し、素粒子レベルでバラバラとなった。




