最終章 You Only Live Twice 6
表裏一体というのは明けの明星ルシファー、宵の明星ミカエルということだろう。最後まで人間を信じたという星乙女アストライアーがふたつに分神したということも事実なのかもしれない。
ただ、それが表裏ということであれば、人間を信じているのはどちらかということになる。
ルシファーはグルルを誕生させた存在だとする説があった。
目の前のルシファーはともかく、俺にとってグルルの存在理由に疑問はない。そして、四方の守護者についてもそれは同様だ。
以前に感じた神界が元の世界の悪しき慣習に似ているという印象からいえば、神アトレイクは想像以上に神らしい存在だと考えることもできる。
神とは、人と寄り添う存在ではない。多くの世界を統べ、管理する立場なのだ。
その存在として力を持つためには、神界での権威というものが重要なのは理解できた。
神に近しい人間として、古代エルフであるビルシュがそれに応じて暗躍した可能性は否めない。追求の手を緩めてしまった自身にも非があるが、奴の行動は確かに疑問符がつくことが多かった。
先代大司教の凶行、魔人の存在、そしてテトリアとの連動。
これがルシファーの意識操作である疑いも残るが、すべてにおいて黒幕として浮き彫りになる内容だといえた。
「ところで、この遺跡は何か関連があるのか?」
存在したかもしれない十人の冒険者と壁画の謎。それに竜巻でさらわれ、魔力を奪われた研究者や兵士の件も意味がわかっていない。
『かつて、ここは最強の魔法士が魔王として晩年を過ごした居住地なのだ。その者は十体の悪魔···後の悪魔王を従えたとされている。』
「それがあの壁画か。しかし、そいつらが復活やテトリアの依代として蘇る可能性があるのではないのか?」
『案ずるな。その魔王は初代グルルによって討伐され、肉体すら残っておらん。十体の悪魔王については二代目グルルが滅ぼしている。』
「ではここの結界は何なのだ?」
『この遺跡に人を呼び寄せ、魔力を吸収するのは魔王復活のための贄とするためだろう。地下深くにその核となる宝珠が残っていた。』
やはりそういったものが残っていたのか。
「残っていたと言うからには、今はもうないと?」
『すでに存在しない。核は先代グルルが破壊した。』




