最終章 You Only Live Twice 3
「アトレイクが堕天したのはなぜだ?」
『奴は堕天などしておらん。ずっと神界にいる。』
どういうことだ。
アトレイクは今も神ではあるが神界から出たと言っていた。それすらも虚言だというのか。
『解せぬといった表情だな。アトレイクが神界の最大派閥から干されたのは事実のようだが、堕天したことはない。』
「では、神界から俺に接触してきたということなのか?」
『それ事態がありえないのだ。神界に存在する真神が下界の者に直接関与することなどできん。おまえに近づいたのは別の存在だ。』
あれは神ではなく霊体だとでもいうのか···いや、そんなものが取り憑く意味がわからない。
「あれは何なんだ?」
『言ったはずだ。周囲でさも友人のように見せかけて機を窺っている者がいると。』
「そいつの目的は何だ?あんたが目の前に現れたとなると、アトレイクの関与はあるということだろう。」
『神は崇拝されてこそ力を維持できる。アトレイクはそれを怠った。正確には、前回以上に窮地に立たされたのだ。』
前回だと···。
「もしかして、テトリアの英雄譚の話か?」
『さすがに察するか。そうだ、かつてもアトレイクは信仰者を失い、神界での立場を悪くした。』
「まさか、魔族との戦いで名声を広めて立ち直ったと?」
『そうだ。』
「今回もそれと同じということか?」
『そうだ。』
かつては英雄テトリアが魔族との戦いに終止符をうった。
そのテトリアを見出した神として、世界中に信仰を広めたのは事実だ。
「今回も神界での立場が悪くなったから同じことをしようとしたというのか?」
『前回よりも規模が大きいな。悪魔まで巻き込んだのだからな。』
「テトリアの時にアトレイクは直接関与したのか?さっきは神界の真神が下界には干渉できないと言っていたと思うが。」
『それは間違いではない。だが、神託を受け取る者はいたはずだ。』
「その神託を受け取れる者が実行犯だというのか?」
『実行犯であり、黒幕ともいえるだろうな。神は具体的な内容まで告げて指図しない。ただ、こうあるべきだと諭すだけだ。』
俺の頭の中でひとりの存在が浮上した。
テトリアが英雄として活躍した時代にも、今回の件にも関与できる存在が間違いなくいるからだ。
「まさか···人の立場であれだけのことを可能にできるのか···。」




