136話 レイド 魔物襲来⑧
「すごい···。」
セティが思わずつぶやいた。
遅れていたスレイドとセティが現場に駆けつけた時にはすでに闘いが始まっていた。
オーク達の大群は報告よりもさらに増えていたが、今やその数は4分の1程度が無力化され、戦意を喪失させた物達は逃げ惑うように散ろうとしていた。
「セティ、隊列のど真ん中に魔法を放つんだ!俺は最後尾から攻撃をする。」
「わかったわ!」
500人規模の隊列のため、最後尾は100メートル程後方になる。スレイドはすぐに行動をおこし、斜面を横に縫うように走った。
セティはその場から炎撃を放ち、隊列の真ん中に直撃をさせる。
そこはタイガの攻撃によって逃げ惑うが、数が多すぎて互いの存在が障壁となってしまい、身動きがとれなくなったオーク達で溢れかえる状態になっていた。
最も密度が高くなった場所への炎撃は数十体を巻き込み無力化する。
隊列の前方にいたケイガンとミシェルも戦意を取り戻して魔法を放ち出す。
ミシェルの氷撃が100以上の氷柱を生み出し、オーク達を串刺しにしていった。
ケイガンは風撃によりミシェルの氷撃をサポート。撃ち放たれる氷柱に風圧を加えてその威力を増加させていく。
タイガの疾風のような剣撃に加え、三ヶ所からの魔法攻撃がオーク達の隊列を包囲し、みるみるうちにその数を減らした。
倒れていくオーク達が邪魔となり、さらに身動きがとれなくなった大群は15分と経たないうちにほぼ壊滅状態となっていったのだ。
「ギルマス補佐、助かりました。」
九死に一生を得たケイガンはタイガに駆け寄り礼を言う。一緒に頭を下げるミシェルの目は熱っぽい視線を帯びてタイガをじっと見つめている。
素敵···。
そんな心の内が表情に出ているかのような状態で、形容するなら目がハート状態となっていた。
「無事で良かった。闘いのすぐ後で申し訳ないが、オーク達を魔法で焼滅させてくれないか。」
「わかりました!私がやります!!」
ミシェルが勢い良く答えた。
タイガに自分の魔法の実力を知ってもらいたかったのだ。この恐ろしく強いギルマス補佐に自分が守られるだけの存在ではないと。
長めの詠唱をつぶやくミシェルにタイガ以外の3人が気づいた。
「えっ···その詠唱って···。」
「嘘だろ···。」
「ちょっ···ミシェル!それって強すぎ···。」
「メテオライト·ドライブ!」
ミシェルが掲げた手からは巨大な氷の隕石が出現し、オーク達が重なる場所へ一直線に加速をしていく。
ドッガーン!
その威力は凄まじく、地面は広範囲に削られ、爆風で木々がなぎ倒されていった。地響きと自然破壊の様を展開されたと言っていい。
魔法の発動が終わると山の谷間だった空間はさらに広がり、別の景色へと変貌を遂げていた。
その様子を見て、タイガは内心で思っていた。
スレイヤーにはバカが多いのか···と。
まだまだバトル続きます。




