135話 レイド 魔族襲来⑦
傷は痛まない。
突っ張る感じもない。
よし、全開で行くかぁ~。
斜面を駆け下りながら近くの木を斬る。
シュバッ!
小気味の良い音が鳴り、両断。
ニーナ、グッジョブだ。
バスタードソードも研いで鋭さが増し、柄のグリップも最高になじむ。
そのまま両断した木に後ろ回し蹴りを放ち、大群の先頭に弾き飛ばす。
勢いは緩めずにオークどもの隊列に突っ込む。
前方に飛んでいく木に意識を持っていかれたオークを二体をまとめて叩き斬る!
その反動を利用しながら周りの無防備な首をはねる、はねる、はねる!!
飛んでいった木が先頭にいたオーク達数体を巻き込む時には十数体を無力化。
手を休めずにバスタードソードを振り回す。
斬!
斬!
斬!
蒼龍とは違う斬れ味の感触をおぼえながらも、敵が攻撃体制をとる前に鎧ごと、剣ごと両断していく。
高速で移動しながら敵を滅し、大群の外形を削いでいく。
何も考えない。
目で捉えたものに体が反応し、ただ斬撃だけを繰り返す。
スポーツならゾーン、格闘技ならトランスモードに入ったとでも言うべきか。
相手の動きがスローモーションに感じ、斬線が瞬時に浮かぶ。
無音になったかのような状態で、ただ反射のように攻撃をする。
不意打ちからの圧倒的な連撃。
仲間が瞬殺され、目に見えて激減していく状況にオーク達は恐怖という感情に支配される。
監視役の二人は夢か現実かわからない状態に、ただ目の前のバーサーカーじみた男が敵を滅殺していく様子だけを残影のように知覚する。
オーク達の阿鼻叫喚の地獄絵図。
そんな残酷な風景の中にいて、なぜかその男は返り血をほとんど浴びず、風のような舞いで斬撃を放ち続けていた。
黒い疾風。
そんな形容がしっくりくるような存在。
「··········ギルマス補佐。」
やがてミシェルがその存在の正体に気づき、つぶやいた。
「····えっ····あっ!ギルマス補佐。」
ミシェルの声を聞き、ケイガンもようやく我を取り戻した。




