106話 死闘⑨
「ハッタリはその辺にしとけよ!すぐに消し炭にしてやるっ!!」
魔族が何かをつぶやき両手をこちらにかざした。魔法を発動するつもりだろう。
「魔法を撃つなら最大火力でしろよ。そうでなければ俺の魔法は破れないぞ。」
「ほざけっ!」
雷撃!
風属性魔法の上位互換。
口だけではなく、この魔族はかなりの高等魔法を使うようだ。
直撃。
しかし、俺の周囲で魔法は消滅した。
「···何···だと···。」
「残念だったな。俺の魔法は絶対障壁。どんな魔法も効かない。」
そう言って俺は魔族に近づいていく。もちろんハッタリだ。魔法なんて使えるはずもない。
「う···嘘だっ!そんな魔法が存在するはずがない!!」
魔族は再び雷撃を放ってきた。
結果は同じだ。
「お前の魔法は効かない。それより少し質問をさせてもらおうか?」
魔族は怯えの表情を浮かべていた。
魔族に絶対障壁などというハッタリをかましたのは、恐怖の感情を植えつけて尋問をするためだ。
異世界から来て魔法が通じない体なのだと説明をしても信じがたいだけだろう。だから謀った。
「な、何を聞きたいんだ?」
この魔族にとっては魔法が通じない相手は脅威だった。ウェルクという魔族とは違い、高度な剣術を使える訳ではない。
「なぜウェルクやお前達はここに来た?」
「···ディールとソルトが死んだ。だから殺った奴を探しに来た。」
ディールと言うのは一番最初に倒した魔族だろう。となるとソルトは
4日前の奴か。
「魔族は群れないのじゃないのか?」
「群れはしない。だが、ディールとソルトの死に方が異常だったからな。同族にとって脅威となるのならそれを排除するのは当然だ。」
「異常とは?」
「二人とも物理的な攻撃が致命傷になっていた。しかも状況から見て単独か少人数が相手だ。人間にそんなことができる奴はいないはずだ。」
ディールはともかく、ソルトやウェルクは焼却を行ったはずだ。現場で見ただけで致命傷を与えたのがどのような攻撃かの判断がつくとは思えない。
「死因の特定はどうやった?」
「死体を解剖して調べた。」
「ウェルクもすでに回収されたのか?」
「まだだ···さっき俺たちが見つけたところだからな。」
なるほど。
さて、どうするべきかな。
「ウェルクをどうやって倒し···。」
「ああ、悪い。もう消えてくれ。」
知りたいことは聞けたのでそのまま魔族を屠った。




