表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!  作者: gacchi(がっち)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/93

20.これから

「そっか。あの時の令嬢だったのね。

 じゃあ、私が魅了の力を封じたことを恨んでいたのかな。」


「おそらくね。

 あのまま魅了の力を持っていれば生涯幽閉されていてもおかしくなかったんだし、

 逆に感謝してほしいくらいだけど。」


「でも、恨んでるのよね?」


「ああ。だけど、調べが終わったら処刑になるだろうし、

 もう俺たちが会うことは無いだろう。」


「…そう。」


魅了の力をあのままにするわけにはいかなかったし、あの時にできる方法はあれしかなかった。

それでも、自分が関わった令嬢が処刑されてしまうことに複雑な思いがした。


「…あの時、兄貴が魅了されているときに俺に言ったんだ。

 お前だけ好きな子と結婚出来て自由に生きられていいよなって。

 兄貴は覚えていないだろうけど、それが本音なんだと思った。

 俺は王家が嫌いだし王になることもないけど、

 兄貴は逃げることができないんだって、そう思った。」


「…だから国王の代理を引き受けたの?」


「ああ。結局あの後で婚約した姉上に一目ぼれしたみたいだから、

 兄貴も好きな子と結婚出来たんだけど、王から逃げることはできない。

 せめて新婚の時くらいは自由にさせてやりたかった。

 …まぁ、数週間のつもりだったんだ。

 まさか二年も後宮にこもって出てこなくなるとは思わなかった。


 そのせいでリリーにも負担をかけさせて本当にごめん。

 もう限界なのは気が付いてたんだけど、どうやって解決しようか迷って。

 でもリリーを失うことに比べたら王宮なんてどうでもいいから、

 全部捨てて来たよ。」


「そうだったのね…。

 そうね、もう二度と王妃の代理なんてしたくないわ…。

 大変だったし私には向いてないもの。」


「うん、知ってる。大丈夫、もう二度とさせないから。」


「うん、それならいいの。」


国王陛下と第一王子しか直系の王族はいない。

今は王妃様しかいないけど、おそらく早いうちに側妃を娶ることになるだろう。

だから新婚の時くらいは自由にと思ったレオの気持ちもわかる。

王妃の仕事は大変だったから、これからは子育ては乳母に任せることになるんだろうな。

半年間だけでも親子三人で過せたのなら幸せなことなのかもしれない。

陛下と王妃様に同情する気持ちはある。

だけど、そのために私が頑張るのはおかしいと思う。


「それで、公爵になったのなら公爵領に行くの?」


「いや、それだと公爵領まで王家の使いが来るだろう?

 おそらく毎日のように使いが来て、泣きつかれる。

 お願いです、王宮に戻って来て下さいってな。」


すごく想像できる。間違いなく、文官と女官どちらも来て泣くだろう。

仕事が進まないから何とかしてくださいと。

二年も逃げていた陛下と王妃様が素直に仕事をするとは思えなかった。

レオが補佐についていた時はそれでも何とかなっていたのだけど、今はレオもいない状態だ。

王宮のあちこちで混乱している状況が目に浮かぶ。



「…それは嫌だわ。」


「だろう?しかも、貴族たちも押しかけてくるだろう?

 もしかしたら文官や女官が王宮を辞めて押しかけてくるかもしれない。

 公爵家で雇ってください、って。」



「えええ…そんな面倒な状態、絶対に嫌だわ。」


「うん、俺も嫌だ。

 だから、しばらくは公爵領にも戻らないって言ってある。

 公爵領のほうは部下に任せてあるから数年は心配ない。」


「そうなのね、安心したわ。

 でも、その数年間はどうするつもり?

 ずっとここにいるの?」


「それなんだけどさ、旅に出てみないか?」


「旅?」


「そう。魔術師として。

 おそらく王政が安定するまで3年はかかるだろう。

 その間、国内が荒れると思うんだ。特に貴族たちが何か企むだろう。

 それをこっそり捕まえていきたいんだよね。」


「捕まえる?貴族を?」


「そう。俺ら以上の立場のものなんて王と王妃くらいだろう?

 だから多少は権力も使える。

 悪い貴族を懲らしめていくの楽しそうじゃないか?」


「そうね、魔術師として修行してたのに使う機会なんてなかったしね。

 みんなで旅に出るのは楽しそう。」


「じゃあ、決まりね。

 と言っても少し疲れたから、ここでゆっくり休んでからね。」


「賛成~。」「賛成です~。」


「よし、シオンとシーナの許可も出たし、しばらくはのんびりしよう。」




「やだ~楽しそう。その話、私も聞きたいな。」


いつの間にいたのだろう?

そこには楽しそうな顔をした魔女レベッカがいた。

相変わらず子供のように小さくソファにちょこんと座っている。




「え?いつからいたの!?」



「え~?さっきからよ。話は聞こえてたけど、大変だったみたいね。

 リリーの魂、もうちょっとで魔女になるところだったわよ?」


「どういうこと?」


私とレオはソファの向かい側に座って話を聞こうとしていた。

魔女の言葉に反応したのはレオだった。

急に怖い顔になっている。


「前に説明しなかった?仮の魔女の魂になってるって。

 修行しなければ魔女にはならないんだけど、もともとリリーは魔術師じゃない?

 魔力の器も大きくする必要なかったし、魔女になるための修業自体は終わってるようなものなのよ。


 ただ、魔女になるにはきっかけが必要になる。

 魔女は必ず何かを失って、それを強く求めることでうまれる。

 今回リリーはレオを失ったと思ったのね。

 あと数日あの状態だったら魔女になってたんじゃないかしら。

 森に来た時は魔力の状態があまりにも不安定過ぎて、私も会えなかったの。

 ようやく安定したから会いに来れたけど…魔女の師弟って影響受けちゃうのよ。」



魔女になりかけていた?レオを失ったから?

たしかに、レオを失ったと思って、強く求めていたとは思う。

あと数日、解決が遅かったら魔女になってしまっていた?


「安定した今なら大丈夫なのか?」


「そうね、今は大丈夫。

 また同じようなことが起きたら今度は魔女になるんじゃないかしら。

 そんなことは望んでないだろうから気を付けた方が良いわ。」


「どう気を付ければいいの?レオと離れなければ大丈夫?」


「ん~。」


シーナが用意してくれたお茶を飲んで、少し考えているようだ。

時間がかかりそうだったので、席を立って焼き菓子を用意する。

スコーンにもクリームを添えてソファに戻ってくる。

レベッカの前に置くと、目を輝かせて手を伸ばした。


「一緒にいても疑うことはあるわ。

 嘘をつかれているんじゃないか、本当は違うんじゃないか。

 人はどうしてもすべてを見せ合うことができないから。

 レオ、今回のことで隠してることあるなら言った方がいいわ。

 そういうどうでもいいことを隠すところから疑いが生まれるのよ?」


隠していること?まだ何かあるの?

思わずレオをにらみつけてしまう。



「わ。ちょっとリリー怒らないで…。

 わかったよ、話すけど気分のいい話じゃないから黙ってたかったんだよ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ