レベリング・ハイ
ヒャッハー!
レベル上げじゃーっ!
どんどん来やがれ!マッゾ!!
「ええい、クソ雑魚ケーゴが。」
ヒョイとかわしてスパーンとカウンター。
「いいかげん当たれやっ!」
ヒョイヒョイとかわしてスパーンとカウンター。
「牙突・三段突き!」
技が成立しとらん。【回避】させてくれ!スパーン。
あああああああああ!!
スキルが伸びるっ!!
ダメージ系スキルがないから【カウンター】してもマッゾにそこまでダメージは行ってないはず。
これなら無限にレベル上げができる!!
あと2時間くらいこれやったら【回避】も10レベルになるかもしれん。
くそう!
失敗した!
失敗したああ!
訓練場とかでマッゾと模擬戦してたら、もっと効率よくレベル上げで来てたかもしらん。
「ちょこまかと逃げるな!」
ヒョイ
スパーン
「効かねえ! お前の攻撃なんか俺様には効かねんだよ! いいかげんに逃げ回るのやめてまともに戦ってみたらどう・・・。」
ヒョヒョイ
スパーン
「いい加減によけるなっ!!」
ヒョイ&スパーン!
木刀だとやっぱ経験点が少し【剣】系のスキルに流れている気がする。タオル使いたい。
あと、早くも【カウンター】の上がり方が落ちて来た。
マッゾ、攻撃が単調やねん。
このままじゃ、この試合中に【カウンター】が1レベルにならん。
頑張れ! マッゾ!!
「くそがぁ! てめえなんて捕まえちまえば俺の勝ちだ。」
マッゾは大声で叫ぶと、こっちの攻撃を無視して捨て身でタックルしてきた。
もはやルールなんて関係ないご様子。
さっとかわして、スンと打ちかえす。
おっ!
【カウンター】のレベルの上りが戻った。
「それそれ!そういうの!!」
「何が、『それそれ!』だっ!」
いかん。また口に出しちまった。
って、ヒョイ!
からの~~~スパァーン!!
ちょっと溜めてみた。
うーん。上がりイマイチ。
素直に回避後すぐ反撃したほうがよさそう。
「クソガキがぁああっ!」
奇声をあげながら、躍りかかってくるマッゾ。
ヒョイスパ
お、やっぱ撃ち返し早い方が上りが良いな。
何度も突進してくるマッゾに繰り返しカウンターを入れつづける。
マッゾは無駄な動きが多いせいで明らかに疲れが見え始めてきたが、それでも諦める様子はなさそう。
ありがたい話だ。
これはお互い良いレベル上げになりそうだ。
しばらくマッゾの突進をマタドールのようにいなす俺。
まさに闘牛のような展開が続く。
そして、伸びていく俺のスキル。
「くそ・・くそくそ、ケーゴのくせに! なんで当たんねんだよ・・・」マッゾがちょっと弱音を吐き始めた。
もうちょっと頑張ろうよ。
「おい・・・、マッゾ、もう無理だよ。」
「兄ちゃん・・・当たらないよ・・・」
外野からも情けない声が入る。
「いや、まだ行けるはずだよ! 頑張ろう!マッゾ!」応援する俺。
まだいけるよ!
一緒に頑張ろう!!
「ちくしょう! ケーゴごときが俺に舐めた口を聞くなぁ!」
マッゾが再び怒声を上げて突っ込んできた。
ヒョイ! スパーン。
マッゾが疲れてきたうえに無茶苦茶な攻撃になってきたので、【回避】の伸びも【カウンター】の伸びも悪くなってきた。
しかし、マッゾがこれだけ頑張ってるのに俺のレベルアップ効率が悪いのはマッゾに悪い。
どうしたら効率が上がるだろうか。
ちょうどマッゾも隙だらけだし、【カウンター】は諦めてダメージ系の【力切り】とか【強打】とかを上げにいってみるかな?
これからの冒険には必須のスキルだし。
「くそう! くそっ!」
スパーン!
マッゾの攻撃終わりに思いっきり叩く。
うーん。
【強打】の伸びがイマイチだなぁ。
「何で当たんねぇ!!」
スパーン!
この打ち方もダメか。
「当たれっ! 当たれっ!」
スパーン!
悪くはないけど思ったより伸びんなぁ。腰の入った良い打撃だったと思ったんだけど。
「何で当たらねえんだよ・・・。ちくしょう!!」
あ、そうか。
【力の才能】が無いから【カウンター】ほどには伸びんのだった。
スパーン!
ついにマッゾが木刀を落としてうずくまった。
顔はパンパンに腫れ、小さくえづいている。
しまった。
目の前のレベル上げに夢中になりすぎて、マッゾの気持ちを考えてなかった。
「そこまで!」
いつの間にか審判の横にガスがやって来て、号令をかけた。
「優勝はケーゴ!! それでよろしいな?」
ガスに問われた審判は黙って頷いた。
『今回の大会! 優勝はなんと、ケーゴ!!』
魔導アナウンスから俺の優勝を告げる放送が流れた。




