十、クリスマス、嬉し恥ずかしお泊りデート
嬉し恥ずかし。
大助はベッドの上で胡坐をかき、スマホと睨めっこをしていた。
この頃、ラインでのやりとりは問題(えらく雄弁に文を書く)ないのに、こと電話となると相手の顔がみえず、かつ緊張もあって未だにお互いが上手く喋れずにいた。
その電話を芽衣ちゃんへかけようとしている。
12月といえば勿論、クリスマスのお誘いだ。
デートして、夕食でもしてちゅーして、でもいいな~まだアレは早いよ~って、高校生か。
ラインで20時に彼女へ電話のアポはとっている。
「えーい」
大助は悶えつつ、思い切って電話をかける。
「はーい」
芽衣ちゃんが出る。
「こんばんは」
「こんばんは」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
電話となると、妙な間が出来て仕方ない。
大助は重要案件を切り出す。
「クリスマスだけど20日お互い休みだよね」
「うん」
「この日にクリスマスしようか」
「いいよ」
「やった」
「せっかくなら、お泊りしようよ」
芽衣ちゃんからの意外な提案だった。
大助は焦った、誘うなら自分から、でも早いと思っていた矢先なのに・・・。
「ええよ」
ええ顔(電話口なのでええ顔しても意味ない)で即返事をかえす。
「それじゃ、どっか泊まるとこ探しといてね~」
「あ、うん」
「じゃあね~」
丸投げにされてしまった。
まぁ、これは男の仕事ってことなんだろう。
一度、近場のホテルを打診したが、めっちゃ近いと芽衣ちゃんに断られたことはご愛嬌として、2人のお泊り会は決行されてのだった。
その日、風邪気味の大助は仕事が終わると、キリリとした顔で親に励まされながら、芽衣ちゃんの住むマンションへ向かう。
勿論、男のみだしなみアイテムをそっとバックに忍ばせて。
「お待たせ・・・こほん」
「あれっ?風邪・・・大丈夫?」
「へーき、へーき」
車は夜の国道を走り、熊本の水前寺公園近くのビジネスホテルに停める。
チェックインのあと、路面電車で繁華街へ。
居酒屋で夕食をとる。
「カンパーイ!」
2人はグラスを掲げ合わせる。
大助は酒が弱くビール一杯で顔が真っ赤になった。
さらに疲れと風邪の影響もあってか、いつもより酔いの周りが早いのを感じていた。
と、この後の下半身のコンディションも。
期待と不安に胸を高鳴らせる大助だった。
おしゃれな雰囲気と、こじゃれた料理に舌鼓をうつと、良い時間になっていた。
「ケーキ作って来たから、後で食べようね」
芽衣ちゃんず大助に笑いかける。
「ありがとう」
ほろ酔い気分で、チンチン(路面)電車に揺られ、ホテルにたどり着くと、結構いい時間になっていた。
お腹いっぱいだったが、2人はまた乾杯をして、ケーキを食べる。
大助はホテルのお風呂に入ると、胸がドキドキして頭がくらくらしていた。
アレを見る。アレを触る。しょんぼり・・・やべぇと彼は思った。
それから2人はちゅーをして、自主規制・・・。
文の書き方を見たら分かりますよね。
うまくいったのかそうではないか(笑)でも、そんなことは問題じゃないんですよ。
心のつながりが深まったんですね、ええ、今夜はそれでいいでしょう。
だって、クリスマスだもの。
おっと、旦那ちゃんの心の声がはいりました(笑)。
翌日は、鹿児島、霧島神社で参拝をして、どっかのロープウェイに乗り美術館を楽しんだ。
大助の体調も良くなり、心なしか2人にも余裕が生まれたのか、楽しい旅となった。
中年にもかかわらずハードスケジュールをこなす二人だったが、後でどっと疲れに気づくことになる。
しかしながら、ちゅーだけは着実に上手くなっている、そう実感する大助だった。
大晦日前だったか・・・大助は意を決していた。
場所はイオン駐車場。
「俺と結婚してください」
「・・・駄目、やり直しっ!」
芽衣ちゃんは怒っていた。
「えっ、なんで?」
「なんで、こんな所なのよ!」
クリスマスにプロポーズと怒涛の展開を見せる大助と芽衣ちゃん。
やり直しを言われた大助は男を見せられるか、次回「最終回、尾道で決めろ!誕生日イブにプロポーズを」で、俺は草食系の王になるっ!
いい年こいて~ねぇ。




