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【2ー11】有能な護衛と放置バトル






「俺の護衛が有能すぎる件」


 目の前で旨そうに肉が焼けていく。その隣には焼きキノコもあった。


 放置バトル開始後、何もする事がなかった俺は木の実でも探しに行こうと思い付いた。


 しかし動こうとしたら警告画面が出てきたんだ。拠点を離れると放置バトルが解除されますが宜しいですかって。


 宜しくなかったから、俺は食料調達を諦めて寝ようかと思ったのだが。



「まさか護衛が狩りや調理をしてくれるとは」


 まさか出来ないよなと思ったが、護衛に狩りの命令を出してみると数十分後に猪のような動物を背負って戻ってきた。


 まさか捌けたりしないよなと思ったが、護衛に捌くように命令を出してみると皮を剥いだり内蔵を取ったり血抜きしたりと、見事に捌いて見せた。


 他にも水を汲んできてくれたり、食べれるキノコや木の実を取ってきてくれたりと、有能っぷりを発揮する。



「――――」

「お、ありがと紫ちゃん」


 調理を任せていた紫ツインテールの女護衛が、無表情で焼けた肉を差し出してくれた。


 もちろんこれも命令したから動いてくれたのだ。いい感じに焼き上がったら俺にくれと。


「最低限のスキルを持った護衛か」


 流石に有能すぎたのでカスタマーサポートに問い合わせてみた。


 結果、俺の護衛召喚ギフトから召喚される護衛は、旅をするにあたって最低限の知識を備えているらしい。


 出来ない事は出来ないし、細部まで命令しないと行動しないらしいが、全く問題ない。



「はは、ちょっこ焦げてるぞ紫ちゃん」

「――――」


「まぁ料理人じゃないからね。あくまで最低限か」


 最低限とは言っても俺より遥かに優秀だろう。肉を焼く事くらいは出来るだろうが、皮剥や内蔵摘出なんて色々な意味で無理だ。


 てっきり戦闘しか行わない殺戮マシーンかと思ったが、こりゃまさに旅の護衛だよ。


「警戒は任せたよ、青に緑」


 青髪の男に緑髪の男。なんと呼んだ五人の護衛のうち、四人が男性型だった。


 だから必然的に紫ちゃんに俺の世話をしてもらい、残りの二人に警戒を任せる事に。


 護衛様々である。俺はのんびりと紫ちゃんが焼いてくれた肉を食らった。



「……うま」


 なんだよこれ、塩すらも振ってないただの焼き肉なのに、やばい旨いんだが。


 ほんとこの世界の食べ物や飲み物って旨い。肉も魚も野菜も、酒も旨いし。


「あ~、酒が欲しいなぁ」


 いま決めた、今度カールを誘ってキャンプをしよう。こんな中で酒が飲めたら最高だろうし。


「ヴェラやエカテリーナなんかも誘ってさぁ。だって中々に最高の雰囲気だよ」


 森の奥深く、旨い食べ物に暖かい焚き火。隣には無表情なツインテ美女、耳を澄ませば微かに聞こえる戦闘音。


 赤と白が頑張っているようだ。ほんとゴメンだけど、放置ゲームってサイコーだわ。


 結構な量があった夕食だが、あっという間に平らげてしまうのだった。




 ――――




 夕食が済めばやる事がなくなった。初めは焚き火をボーっと眺めているだけでも楽しかったが、早々に飽きが来る。


 インベントリを眺めるのにも飽きてしまった。もう寝てしまった方がいいだろうか。


「寝るには早いよなぁ……でも暇だ」


 さっきから思っていたのだが、無意識に独り言が増えている。


 この雰囲気がそうさせるのか、言葉にして口から出してしまうんだ。


 護衛が喋れればなぁ……ってそうだ、一人いるじゃないか。



「なぁ遊戯神様、見てんだろ? お話しようよ」

【君ねぇ、フランクに神に話し掛けないでくれる~?】


「こわっほんとに見てたのかよ」

【見てたんじゃなくて聞こえるんだよぉ、神なんだからさぁ】


「へ~そりゃ大変だな、もの凄い数の人の声が聞こえるなんて」

【まぁ君くらいなものだけどねぇ。僕に祈りを捧げたり信仰したりしてるのは】


「いや祈ってもないし信仰もしてないが……」

【またまたぁ、照れ隠し? 僕からギフトを与えられた唯一の僕よ】


「そんな事よりさ、なんでこの世界の食べ物ってこんなに旨いんだ?」

【そんな事って君ねぇ……食べ物が美味しいのは、魔力が含まれているからだと思うよぉ】


「ほ~魔力か」

【魔力は最高のスパイスって事さ!】


 暇なのか、かなりの時間会話に付き合ってくれた遊戯神。


 やはりギフトレベルという概念は遊戯神が作ったものであり、ダンジョンという要素も遊戯神の担当だという。


 ちなみに俺に与えたゲーム化というギフト、神達の間でチートギフトだと話題になっているらしい。


 第二の保持者は現れないかもしれないから、俺を使って今後も色々と遊ぶつもりと言っていたけど、不安しかないのだが。


 そんなこんなで夜が更けていく。


 眠くなってきた俺は護衛に、赤と白が戦闘不能になった場合の対応を命令し、眠りについた。




 ――――




【リザルト】


【HP回復材(N)】 x 28

【HP回復材(R)】 x 4

【成長材(N)】 x 2

【成長馬車素材】 未解放

【ゴブリン(緑)の心】

【ウルフ(緑)の心】

【獲得ゴルド】 : 760

【レベルアップ】 15 → 17



 朝起きて、目の前に表示されていたのがこれだ。


 どうやら設定した15時間が過ぎたようだが、中々に素晴らしい戦果ではないか。


「……でもお前ら怖いよ、起きたら無表情が五人はほんと怖いよ」


 寝ている俺を囲んでいた五人の護衛。


 守ってくれるのはありがたいが、身動き一つしない無表情の者達から見下ろされているのはかなり怖い。



「いやそれより……なんだこれ?」


 成長馬車素材……未解放? 成長馬車ってあれだよな、ショップに売っていたファンタジー馬車。


 未解放というのは購入していないからだろうか?


「まぁそれはいいんだけど、なんだ心って」


 ゴブリンとウルフの心ってなんだよこれ。心臓なら分かるが心って何だよ。


 分からない事だらけだ。どうにも不親切な所があるよな、このゲーム。



「なぁ遊戯神様、ゴブリンの心ってなに」

【ゴブリンは仲間になりたそうにこちらを見ている】


「え……見てねぇだろ、心なんだから」

【ごめんいま忙しいからインベントリ見て】


 暇神が忙しいだと? あんな夜遅くまで一人の人間と会話をする奴が?


 とはいっても本当に忙しいのか話し掛けても反応しなくなった。仕方ないで言われた通りにインベントリを開く。



【ゴブリン(緑)の心――――心を交わした証。戦闘時に限り召喚する事が出来る】



「いや心なんて交わしてねぇよ」


 本当に仲間になりたそうにこちらを見ているって事だった。


 でも心を交わしたのは赤と白じゃないのかよ。俺寝てただけだぞ。


お読み頂き、ありがとうございます

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