表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

123/126

【4-5】頭の中ではお喋り王女様






 ちょっと脱線した話となる事もあったが、凡そは作戦会議と呼べる話し合いをしながら馬車はバシリスクに向けて進んでいる。


 今は王城から頂いた夜食を食べながらの話し合い。俺は相槌を打ちながら、四者四様の食事をとる姿を眺めていた。


「(´~`)モグモグ……確か……マーシャル王国には面倒な奴らがいたわよね(*´ω`*)モキュモキュ」


 相変わらず美味しそうに食事をするヴェラ。食べ物が口に入った状態で喋る事は褒められた事ではないが、これでもかと言うほど幸せそうな表情をしている。


「あ~、なんて言ったっけ? あの国の情報ってほんと流れてこないからね」


 上品に食事をしているのはラリーザ。食べ物を口に入れた後、手で口元を隠す女性らしい仕草をとる所がなんとも彼女らしい。


「王家お抱えの近衛騎士、通称”番犬”だ。行ってみれば分かるが、他国の騎士とは様相が異なる」


 座席に座り足を組み、カッコいいとしか言いようのないイネッサは携帯食料のような物を食べている。スイッチが入っている時は、基本的に携帯食しか食べないそうだ。


「ヨルヤ、あ~ん……ふふふっ」


 一人だけ様子が違うのがアンジェ。俺の隣に陣取り、作戦会議など聞いているのかいないのか……基本的に俺から目線が外れない。



「……アンジェ。俺はいいから、もっと食べておけよ」

「食べてるよ……ますよ?」


「ほんとか? 食べている様子なかった気がするけど……」

「食べてますよ、ほら」


 アンジェの口元を見ると、確かに咀嚼している。だがジッと見なきゃ気づかないほどの動き、そもそもいつ口に食べ物を入れたのか分からない。


「ヨルヤに大口を開けている所、見られたくない……」

「そこのお姫様……(´~`)モグモグ……さっきヨルヤから顔を逸らしてバクバク食べてたわ(*´ω`*)モキュモキュ」


「ヴェラ、言わないで……!」

「まぁでもその気持ちは分かるかも~。好きな人ぉ……じゃなくて男の人に見られるのって少し恥ずかしい気持ちあるよねっ」


「ラリーザ。君はあざといと言われないか? 私としては勉強にはなるが」

「この子はあざといわよ? いっつも男を手玉に取ってるわ」


「ヴェラちゃん! そんな事ないから! 変なこと言わないでよ!」

「ラリーザはどこか、エリーに似てる……要注意人物その二」


 再び女性陣が騒ぎ出したので、食事を早々に切り上げた俺は彼女たちの声をBGMにインベントリを開いた。


 今の内にステータスアップを行っておこうと思う。護衛馬車を始めてから頻繁に行っていた稼ぎシステムの放置バトルで、少しだがレベルが上がっているのだ。


 GP回復材をポンポン買えるような財政状況にはまだなっていないため、やはり優先度が高いのはGPを増やす事。


 INTやLUCが低いが、ここまで来たらいらないんじゃないかなと思っている。今の所、そこまで必要だった記憶がないし。



「さて、ステータス……ん? なんだこれ?」


 久しぶりにステータス画面を開いてみると、見慣れない記載がある事に気が付いた。


【絆:ヒロイン――――♡】

【絆:守護者――――☆☆】


【絆ボーナス:ステータス20%アップ】


【絆システム――――一定以上の好感度がある者とパーティーを組んでいる場合、ステータスアップ及び念話での意思疎通が可能となる】


 見慣れない記載について確認しようと念じてみると、そのような説明分が表示された。


 ハートの記載を確認してみるとアンジェリーナの名が、星の方を確認してみるとクロエとオーギュストという名前が記載されてあった。


 オーギュストって誰やねんって思ったが、思い出した。モモヒゲの正式名称はオーギュストなんとかだったはず。


 つまり今俺は、アンジェと守護者二人と絆システムにより結ばれていると。ステータスアップは俺だけへの影響っぽいが、念話が出来るのは凄くないか?



「(アンジェ? 聞こえる? 俺の声)」

「っ!? ヨルヤ……? え……幻聴?」


 隣にいた女子会真っ只中のアンジェに念話を送ってみる。僅かに肩をビクッとさせたアンジェは、少しだけ驚いた様子で俺の目を見つめてきた。


「(アンジェ、聞こえてるよな……? 聞こえてたら、右手あげてくれる?)」

「…………」


「(いやそれ左手だろ! ってマジで聞こえているみたいだな)」

「頭に……ヨルヤの声が……頭がヨルヤに侵されてる……ふふふふふふふふっ」


 こわ……無表情で笑うなよ。ともあれマジでアンジェは俺の声が聞こえるようだ。耳に手を当てて再び俺の声を感じようとしている様子だが、念話の知識はないのだろうか?


 急におかしな事を言い出したアンジェにヴェラ達の目が集まったが、アンジェがおかしいのはいつもの事かと思ったのか再び女子トークに戻った。


「(これ、念話って言うんだけど……簡単に言えば、今俺とアンジェは頭の中で繋がってて、会話ができる。なにか頭で念じて俺に送り込んでみてくれないか?)」

「(……………………す…………き…………す…き……好き♡)」


「(あ、ありがとう。俺もお前の事は好いている)」

「(好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き大好き♡)」


「や、やめろ! 頭がおかしくなりそうだ……! あと無表情で送り込むな! 怖い!」


「な、なによいきなり大声出して!? ビックリするじゃない!」

「ヨルヤ君、どうしたの? 頭痛いの? 膝枕する?」

「君は本当にあざといな……それより、大丈夫かヨルヤ?」


 つい念話に対して口から出した声で反応してしまった。アンジェの好感度が高いのは知っていたが、なんかドロッとした感情も流れ込んできた気がして寒気がした。


 大声を出してしまった事を謝罪して、大丈夫だと三人に伝える。最終的に疲れや眠気だろうという事になり、本日はお開きする事になった。


 バシリスク付近までは自動運転で問題ない。なにかあればクロエたちが知らせてくれるだろうと、俺は横になって目を閉じた。


「(うふ、うふふ……うふふふふふふふっ)」

「(アンジェ……聞こえてんだけど……)」


「(ヨルヤ! 聞こえてる? もっとお話ししようよぉ! もっとお話ししたい! ねぇいいでしょ~?)」

「(……なんかお前、頭の中だと性格変わるくね?)」


 その後も、何が楽しいのか念話を送り込んでくるアンジェのお陰で寝不足となった。分かった事は、アンジェは念話の中では随分と少女になるという事。


 確かアンジェの好感度は百後半。ヴェラ達は百未満だったはずなので、一定以上の好感度とは百以上ではないかと予想する。


 パーティーを組んでいれば少し離れていても念話できるのは非常に便利。ゲーム化ギフトの異常性を再認識した。


「(パーティーを組んでいる間だけだからな? 解散すれば聞こえなくなるぞ)」

「(じゃあもう離れないっ! ずっとヨルヤとパーティー組んでるから!)」


「(むちゃくちゃ言うなよ王女様……)」


 バシリスク到着まで、ずっと続けられたアンジェとの念話。頭に声が響くので、とてもじゃないが眠る事が出来ない。


 流石に眠気が強くなってきたが、落ちる前にクロエから念話が届く。どうやら第一目的地のバシリスクに到着したようだ。


 俺は当たり前のように目に隈を作ったが、アンジェはいつもと変わらなかった。


お読みいただき、ありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ