【4-3】これが俺の物語
少し短いです(文末に入れていたヂモフェイ視点を削除したため)
投稿は基本、平日の12時台か19時台になると思います
女性陣の出発準備? も整い、俺たちはいよいよマーシャル王国に向けて出発する事になった。
マーシャル王国の一団が王都を出てからすでに数時間が経過している。流石に奴らも悠長に野営などせずぶっ飛ばして王国に向かうだろうから、追いつけるかは微妙だ。
マーシャル王国へは普通の馬車だと四日かかるという。ノンストップで走らせれば俺の馬車なら二日とかからないだろうが……生憎と俺は普通の人間、普通の御者だ。
馬車や従馬が凄くても御者が普通であれば、ノンストップという訳にはいかない。従馬に命令して走らせ続ける事は出来るが、不測の事態への対応を考えると微妙である。
俺の限界が訪れる前に接触できれば問題はない。だが厳しいと思われるので、どこかの街で宿泊したり野営が必要になるだろう。
だからこそ少しでも出発したかったのだが……まぁ化粧とか衣装チェンジの時間を短縮していた所で、大差はなかったか。
「……犯人がマーシャル王国の者だという証拠が出てきたよ」
「そうか……騎士たちはやっぱり……?」
「あぁ、殺されていた。でも最後に彼らは、証拠を握ってくれたんだ」
騎士の遺体が発見され、今回の事件の犯人がマーシャル王国の者であるという証拠を、その騎士が握っていたらしい。
騎士殺しが確実となった。そこから誘拐の犯人だと結び付けても何の違和感もない。これでファルエンド王国は、大義名分を得た事になる。
「異世界人の誘拐、騎士殺し……それが生誕祭中に、それも王城内で行われたんだ」
「宣戦布告もいい所です。この事をファルエンド王に報告し、判断を仰ぎます」
恐らく戦争になるでしょう……表情を固くしてエリーは言った。
だが戦争とはいえ、国力差が圧倒的なため単純にぶつかる事はないだろうという。マーシャル王国の王都を包囲し、降伏勧告を行うと。
だがその勧告を、マーシャル王国が受け入れないのであれば……その先をエリーは口にしなかったが、想像はできた。
「マーシャル王国に使者を遣わせ、各国へも通達する。そして騎士隊を編成し、マーシャル王国への行軍時間を考えると……七日から十日後といった感じだろう」
「出来ればみなさんには、戦争が始まる前に誘拐された人たちを救出して頂きたいのですが……」
戦争が始まれば、状況がどう変化するか分からない。正直なところ、マーシャル王国に降伏勧告を行ったとしても、素直に応じるのかが不明確であるとカールはいう。
通常であれば、勝てるはずがない戦に民の命を危険に晒してまで抗う事はしない。だが今回のような愚行を犯す国、通常の物差しでは計りえない。
降伏勧告に応じず、武力によって制圧となれば、戦争後の両国関係は大きく変わる。明確に敗北を叩きつけられた国は、勝利国に完全隷属となる。
「政治の事はよく分からないけど……とりあえず、十日以内って考えていればいい感じか?」
「そうだね。もし武力衝突なんていう事になったら、国内は大きく混乱するだろうし……そうなった時、誘拐された者達がどのような扱いをされるか分からない」
タイムリミットは約十日。今回は単純な人攫いではなく、異世界人という特殊な者達を狙った犯行である。
異世界に執着するマーシャル王国。異世界人を使って国の発展でもさせようと考えているのかもしれないが、その王国が戦争によってなくなるとなれば全く意味がなくなる。
誘拐した者の使い道の一つ、人質。そのような扱いをされてしまう前に救出できればいいのだが。
「分かった……といっても、俺はみんなを運ぶ事しかできないただの御者だけどな……」
「なに言ってんのよ、それで十分でしょうが。適材適所よ」
「うん。ヨルヤくんも、馬車も従馬も普通じゃないからね」
「これだけの戦力を集められる、それは凄い事だと思うぞ」
「そう、これがヨルヤの力。卑下する必要はなに一つない」
戦いは、男の仕事。誰かがそう言っていた気がした、多くの物語がそう描かれていた。
だが彼女たちを見てくれ、俺の物語を見てくれ。
……うん、ヴェラの言った通り適材適所だわ。俺の物語に限って言えば、別に戦いは男の仕事ではない。
俺は御者だ。戦士を戦地まで運び、戦いの様子を馬車の陰から見守り、時にサポート時に応援すればいいのだ。
……まぁ、少し情けなくは感じるが。俺だってカッコよく女の子をピンチから救い出して惚れられてみたいわ……けどそれは、俺の物語ではない。
「……よっしゃッ! じゃあ野郎ども! 俺の馬車に乗りこめ! 快適かつ安全に、迅速かつ格安で目的地に運んでやる! いくぞォ……おーー!!」
「おー……ってなんで金とんのよ……」
「というか野郎じゃないし……」
「こういうノリは苦手なのだが……お、おー……」
「えいえい、おー」
「いざ、マーシャル王国へ……!」
頼もしいヒロイン達を連れて、ついに俺たちはマーシャル王国へ向けて出発する。
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ヂモフェイ視点は別話で入れます




