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勇者の弟妹 ~~Tales of the new Legends~~  作者: ヒマジン
第4章 訓練の開始編

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第52話 お着替え

 アテネが講師として特訓の監督に着いた翌日。とりあえず幸か不幸か期末試験が近い――と言っても空也はすでに入っていたが――為、放課後の活動は何もなかった。

 というわけで、この日は早々に全員家に帰宅した様に見せて、式神を身代わりに待機させると、隠れ家に集合していた。と、そうして疑問になったのは、こんな家で訓練を行うのか、という事だった。


「こんな所で特訓するの?」

「? ああ、いえ、そういうわけではないです・・・ルル殿。何時ものあの空間を出してもらえますか?」

「あれは化け物じみた能力を持つ奴らだから使えるのであって、こいつらだと普通に死ぬぞ・・・なので、地下に訓練専用のエリアを作っておいてやった」

「ありがとうございます・・・では、あちらですね」


 呆れた様子のフェルから言われたアテネは、一同を連れて移動を開始する。どうやらまたフェルが何かをやってくれていたらしい。と、言うわけで一同はとりあえず彼女に従って、一階に降りる。


「わー・・・結構大きな家だ、って思ってたけど・・・やっぱり大きい・・・」

「高かったんだろーなー・・・」


 感心した様な鳴海に対して、浬が何処か遠い目をしてつぶやく。が、実はそこまで高くはなかった。


「安いんだがな・・・ここは」

『言ってやるなよ。その日を楽しみにしておるんじゃからのう』


 こここ、と何処か悪辣ではあるがいたずらっぽい笑みを浮かべ、玉藻がインドラに告げる。というのも、実はこの豪邸は所謂、事故物件という建物だった。しかも、正真正銘お化けが出るお屋敷であった。

 まあ、そのお化けはすでに除霊されているので、なんの霊症等が起きる心配は無い。が、お化けの存在を知らない浬達を夏の夜に驚かすには、丁度良いネタだ。

 しかも語り手が日本で最も有名な大妖怪たる玉藻の前であれば、なおさら真実味がある。なのでその時まで黙っておくつもりだったのである。と、そんな玉藻の内心はつゆ知らず、浬達は特訓を始める前の注意事項を聞いていた。


「飲み物は定期的に使い魔達が買いに行ってくれていますので、冷蔵庫から勝手に取って行って構いません。ですので脱水症などにならぬ様に、特訓の前には補充を忘れずに行いなさい。資金については、ご心配なさらず。天道財閥や神宮寺財閥、更には日本国から色々と入用なので幾許か資金が回されていますので、そちらから差っ引いておく、だそうです」

「神宮寺財閥もですか?」


 アテネからの言葉に、煌士が少しの驚きを露わにする。神宮寺財閥とは、天道財閥に匹敵する大財閥だった。こちらは関西を中心として活動している財閥だった。


「ええ・・・が、詳しくは知りません。所詮、私はギリシア。他国ですので」


 アテネの言葉に、煌士はそれはそうだろうな、と納得する。逆に知っていれば知っていたで情報の漏洩等の対処はどうなっているのか、と疑いたくなるので妥当なのだろう、と判断したのであった。


「腰を折った。申し訳ない」

「いえ・・・それで、ジャージについては各々の分を用意しておきました。着替えはどこでも構いません・・・ああ、それと、訓練後に脱いだジャージはお風呂場の脱衣所に居る式神に預けなさい。翌日からはその式神から受け取る様に。翌日には乾燥も終わった状態で返却してくれます」


 式神――と言っても威圧感等が無い様に、メイド服姿の少女だった――からジャージが入った袋を受け取った浬達は、とりあえず中身を確認する。

 アテネが支給してくれたのは、ラインの入ったスウェットタイプのジャージだった。上着の前にはファスナーが付いており、中に着る様の体操服の様な衣服もある。半ズボンもある所を見ると、普通に体操服と同じ感覚で着用出来るのだろう。と、言うわけで、明らかに体操服なそれに、一同が首を傾げる事になる。


「普通のジャージ・・・に、見えるんだけど・・・」

「ええ、見せかけだけは、普通のジャージです」


 侑子の言葉をアテネが半分だけ認める。どうやら見た目は、ジャージに合わせたらしい。


「これを着て外で走りこみ等の訓練を行う事もあり得るかと考えて、設計者がそうデザインしたらしいですね」

「ということは、何か仕掛けがあるのですか?・・・このワンポイントの様な飾りとかに何か仕掛けがあるとか・・・」

「良い着眼点ですね、空也。その石こそが、まさにこのジャージを選んだ理由です・・・まあ、これ以上は語るより着てもらった方が早いでしょう。着替えて来なさい」


 アテネは百聞は一見に如かず、と一同を送り出して、浬達はとりあえず男子更衣室と女子更衣室、という感じで別々の部屋で着替える事にする。

 と、そうして着替える事になると、当然各々の下着姿が見えたわけで、となるとこれまた当然、そう言った方向に雑談に話が飛んだ。


「・・・今思ったんだけどさ・・」

「な、何?」

「どうされましたか?」

「・・・あんた、意外と大きいよね」


 自ら、浬、鳴海、詩乃の胸を見比べていた侑子が、何処か意外感を滲ませながら告げる。鳴海と侑子、詩乃は別クラスだし、侑子がバスケ部なのに対して鳴海は生徒会書記で部活には所属していない。詩乃に至っては言うまでもないだろう。

 というわけで、実はこの四人が同じ更衣室で着替える、というのは初めてだったのである。なので今まで見なかった友人達の下着姿を見て、意外とあるのだな、と訳もなく感慨深い思いをしたのであった。


「そう?」

「順番並べると、あんた、浬、詩乃さん、私って感じじゃん?」

「んー・・・ほれ」

「ひゃあ!」


 侑子から問われた鳴海が自分と浬の胸を交互に確認して、試しに浬の胸を揉んでみる。しかも直に、だ。最近のブラは進歩しているらしく、ブラジャーをしたままでは分からない部分が多いらしい。


「ちょっと、もう!」

「いや、侑子がああいうから・・・あ、これ結構ある」


 ふにふに、と浬の胸を直揉みした鳴海が、そう判断する。後の彼女の言葉だと、平均的以上だろう、という事だった。


「そう?」

「いい加減に離してって!」

「あ・・・んー・・・なんというか、浬のブラってあんまり大きく見せる方じゃないんだよね。デザイン可愛いけど。男に見せる様じゃないんだよね」


 とりあえず揉んでみて浬は見たままの大きさで良いだろう、と判断した鳴海が、何処か解説者っぽく解説を始める。


「お、男に見せるって・・・私にはまだ早いよ」

「浬ってそういう所おこちゃまだよねー」

「む・・・」


 鳴海の言葉に、浬は少しだけ拗ねる。言わんとする事は理解出来るが、そう言われてむっとしないはずもなかった。


「まあ、お兄さん一筋っぽいから良いんじゃない?」

「だから、違うってば・・・」


 侑子の茶化す様な一言に、浬が呆れる。これは色恋沙汰に関連して浬の前で浬の兄の話題が出た時のお決まりの流れだった。

 実は浬の兄のカイトはあまり知られていないだけで、モテる事はモテる。なにせ同年代の中では比較的大人びている方だ。年齢を考えれば当然で、そんな事を知らない中学生達からすれば、優しく大人っぽい少し年上の男性だ。しかも顔立ちもよく見れば悪くはなく、将来性も感じられた。

 そんな兄を見ている浬の基準はそこが基準となっている為、かなり男の基準は高かったのである。それ故、よく友人達からはこういう風に茶化されるのであった。


「でもまあ・・・それにしてももう少し気を使ったの使おうよ・・・特に侑子」

「え?」

「飾りっけゼロのスポブラってどうなのよ・・・? もうちょっとなんかあったでしょ・・・」


 大きさやスポーツ少女である事を考えれば妥当といえば妥当であるのだろうが、流石に中学校も最高学年になってスポーツ用のブラジャーを常用するのはどうなのか、と鳴海が呆れる。

 彼女が言った通り、浬はまだ、比較的可愛い物を使っていたのだ。が。そうであるが故に、侑子の方が看過できなかったのであった。


「え・・・? ダメかな?」

「ダメ!」


 まさか自分に飛び火するとは、と思っていなかったらしい侑子に対して、鳴海が声を大にして断言する。


「女の子にとって下着って最後の砦じゃん? 浬だってきちんと可愛いのは使ってるし、詩乃ちゃんなんて普通にあれ、某有名メーカーのでしょ? 同性だけだから、って油断してるといざって時が怖いよー?」

「うっ・・・」


 何処か茶化す様に鳴海から言われて、少しだけ侑子が胸に何かが刺さった様な顔をする。彼女は浬以上にバスケ一筋だったが、着替えで一緒になる他の女子部員の可愛らしい下着を見て時折、焦燥感を滲ませる事はあったのであった。


「お願い! 今度一緒に買いに行って! 私そんなのわかんないからさ!」

「うむ、よろしい」

「よろしくはないな」


 友人を女に目覚めさせて満足していた鳴海に対して、後ろから声が掛けられる。それに、四人――実は詩乃も少し聞き入っていた――は後ろを振り向いた。


「あれ? フェルちゃん? フェルちゃんもお着替え?」

「誰が小娘共に混じって着替えるか。そんなものは体育の授業だけで十分だ」


 後ろに立っていたフェルは満足気な笑みを浮かべていた鳴海に対して、ため息混じりに首を振る。が、一方のフェルは彼女らに混じって鍛えるつもりは無いようだった。現にジャージの入った袋は持っていないし、着替える様子も見せなかった。


「貴様ら、何時まで着替えに時間を掛けるつもりだ。いい加減にしろ」

「・・・あ」


 フェルの言葉に、四人がはっとなる。ついつい各々の下着姿を観察していたわけなのだがそのせいで話題が転々としていたので、すっかり特訓の事なぞ頭から抜け落ちていたのであった。おまけに神様を待たせている事もここで思い出して、大慌てで全員が着替えを再開する。


「ご、ごめん! 今すぐ着替えるから、もうちょっとだけ待ってて!」

「申し訳ありません!」

「うきゃあ! ブラのホック外れた! 侑子! 後ろお願い!」

「えっと・・・これ、どうやんの!?」

「そこから!? 浬ー!」

「あ、ちょっとまって!」


 どうやらブラのホックが外れたらしい鳴海が、浬に助けを求める声が響く。そうして、先とは少し違った意味での騒動が巻き起こり、彼女らがリビングに戻ってくるのはこれから10分後、なのであった。

 ちなみに一方の男子側は、と言うと、何も問題は起きなかった。海瑠が煌士と空也の引き締まった肉体を見て、少しだけあこがれを抱いたぐらいだ。なお、煌士については覗きを行う事のない様に使い魔が見張りについていた上、神様の前でそれは、と考えもしなかった、との事であった。




 そうして、そんな騒動から10数分後。全員がリビングに集合すると、再びアテネが特訓に入る為の説明を開始した。


「少々女性陣が遅かったのが気になりますが・・・まあ、初回なので大目に見ましょう」

「あ、ありがとうございます・・・」


 かなり睨まれはしたものの、今日は初日だ、という事で多めに見てもらえたらしい。なので女子陣は全員揃って頭を下げて感謝を述べる。


「意外だったな。我輩、てっきり詩乃も一緒だから、こちらよりも早く来るか、と思っていたのだが・・・」

「も、申し訳ありません、煌士様・・・これには少々、事情がございまして・・・」


 本当に滅多にない事が起きたのを見て、煌士が思わず口に出す。それに、詩乃が申し訳無さを滲ませながら謝罪する。何時もはこの逆で詩乃が叱責するのだが、今回ばかりは、何時もとは逆だった。


「ふむ・・・女の園で起きていた事に興味はあるが・・・アテネ殿。先ほどの続きを頼めるか? 我輩、どうにもこの石っぽいのが気になって仕方がない」

「良いでしょう。では、解説を再開します」


 煌士は詩乃への叱責よりも、アテネをこれ以上待たせない方を選んだようだ。まあ、後でも出来る方と神様のご機嫌を損ねない様にする、という二つを天秤に掛けた事は否めない。そうして、アテネが再び、特訓についてを語り始めるのだった。

 お読み頂き有難う御座いました。

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