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勇者の弟妹 ~~Tales of the new Legends~~  作者: ヒマジン
第2章 神々の試練編

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第20話 試練の前兆

 尚も、浬達への世界の説明は続いていく。そうして次に伝えられたのは、もう一つの、戦争の要因、だった。当たり前だがただひとつの要因で戦争が起きる事は稀だ。幾つもの複合的な要因が、そこには存在していたのである。


「それに、もう一つ。世界が戦いになる原因が起きた。忘れてないか? お前らの生徒会長が誰なのか。そいつが、何を著したのか」

「・・・天道先輩が?」

「数年前・・・重力場についての論文がある少年によって、世界に発表された。その影響を、貴様らは考えた事は無いのか?」

「あれ・・・あいつが書いたの!?」

「知らなかったのか?」


 浬が大いに驚いたのを見て、御門がそれに驚く。てっきり知っている物だと思っていたのだ。が、これは仕方がない。カイト達とて、当時の煌士が犯した失敗で、偶然それを知り得たのだ。そうでなければ未だに、不明なまま、だっただろう。


「あの論文・・・お前らは知らないのだろうが、西側にだけしか公開されていない。それも、西側の中でも一部の軍にしかな」

「もしかして・・・その中に、日本も?」


 そこまで言われれば、当たり前だが誰にでも理解出来る。なので、侑子が口に出した所、それを、フェルが認める。


「執筆者が日本人で、実家が日本社会の有力企業。研究にしても天道の後援の下、だぞ。隠そうとした所で、隠せるはずが無いだろう。天道はもともとが国防とも縁が深い。あの時点で、爆弾は抱えていた。それが増えただけだ。逆に安全になった、とも取れる」


 侑子の質問に、フェルは苦笑して頷いた。そうして、彼女は続ける。


「まあ、その御蔭で戦争が早まった、とも取れる。なにせ、その戦力が整えば、攻める事はできなくなる。あの論文を政治的に正確に見れれば、核兵器がもはや兵器の意味を無くす。ならば必然、整う前に攻め入らねばならない。今後10年以内・・・いや、カイト達の帰還が、引き金だな。奴は今、学園生達を率いて帰還すべく手筈を整えている」

「ちょ、ちょっと待って! その情報は何処で聞いたの!?」


 大慌てで浬が問いかける。なにせ、今まで一度も聞いたことのない情報だったのだ。それに、フェルが覇王の笑みを浮かべた。


「奴本人から聞いた」

「え?」

「あー、こいつ、世界間を転移出来るからな。まあ、こいつ単体だが」


 あまりに誤解を招きそうなセリフだったので、御門が顔を顰めて補足する。そうして補足したことで注目が集まって、その視線の意味を察する。


「俺は無理だ。この世界で自由に移動出来るのは、こいつただ一人だけだ・・・まあ、分かるとは思わんが・・・ティナでさえ、無理だ。こいつだけが、自由に世界を移動出来る」

「そういうことだ」


 御門からの称賛とも畏怖ともつかぬ言葉を受けて、フェルが尊大に、傲然と不敵な笑みを浮かべ、続けた。


「まあ、これ以上長引かせても貴様らには関係の無い話だ。結論だけ言えば、戦争は避けられん。もはや確定だ。それ以上に大した大戦もなく、100年も平和が保たれたのなぞ人類史でも稀。人類史から見て、諦めろ」

「えぇー・・・」

「俺も同意見だ。俺達は数千年の月日を生きた。これからも生きる。100年と平和な時代があった事は無いだろうし、人が人である以上、平和と戦争は繰り返される」

『こここ、妾はそれが望みよなぁ。あれが再び修羅となる所が見れる。なんとも嬉しい事ではないか』


 一同の引き攣った顔に、御門も玉藻も同意する。この三人は、否、全ての魔術を知る者達は次の大戦をこう、予想している。魔術と重力による古代と次世代が入り混じった戦争、と。

 そして、この勝敗を分けるのは、どれだけ早くカイト達が重力場防備網を形成するか、敵側がどれだけ素早く日本を攻め落とせるか、だった。煌士の帰国は、これを睨んだが故の、カイトの手はず、だった。


「でだ・・・貴様ら、一つ忘れていないか?」

「・・・え?」

「その前に。今のままだとその戦争の前に貴様ら死ぬぞ」

「・・・あ」


 フェルに言われて、一同がようやく、本来の目的を思い出す。そう、そもそもそんな数年以上先、しかも本当に起こるかどうかもわからない戦争を心配するより、明日の命の心配なのだ。そんな4人に、フェルがため息を吐いた。


「はぁ・・・」

「あ、あはは・・・まあ、でも、あんなの聞かされたんだから、しょうがないと思ってくれ・・・それで、どうすれば良いんだい?」

「はぁ・・・魔術を覚えろ。特に解呪系統と、逃げる為の方法だ」


 苦笑して問い掛けた侑子に対して、もう一度、フェルがため息を吐いて今後の方針を伝える。まあ、それでも言葉が足りていなかったので、御門が補足する羽目になるのだが。


「そう簡単に出来る様になるわけじゃない。出来るようになるには、修行から、だ。まあ、そう言っても魔力増大の訓練と、魔術を使えるようになる訓練だけだ。早ければ半年で終わる」

「あの・・・一つ聞いていいですか?」

「はい、木場くん」

「それ、先生達が覚えて、使ってもらう事って、出来ませんか?」


 最もな疑問だった。なにも自分達が習得しなくても、もともと実力のある者達が習得してくれれば、修行の問題は無いのだ。だが、当然、そうしない理由はあった。


「出来ないんだよ、俺達には。特に俺・・・軍神インドラは戦の神様だ。それ故、戦いに関する術式等は習得出来るんだが・・・如何せん解呪は戦闘には直接関係無い。どうにも神様は関係のなさ過ぎる術式は習得出来ても適正が低い様に身体が出来ているらしくてな。まあ、概念の存在なんだから、仕方がないっちゃあ、仕方がないんだろうが・・・で、来た面子はものの見事に、戦闘オンリー。まあ、もともと荒れるだろう、という理由だから仕方がないんだけどな」


 肩を竦めて御門がため息混じりに告げる。神様故に、他人のイメージに影響されやすいのだ。まあ、そう言ってもインドラクラスにまで有名でなければ、多少は使えるのだが。ここまでなのは彼がひとえに有名であるが故、だった。


「ま、頑張れ。俺達も支援はしてやる。後はお前たちが頑張るだけだ。まあ、とりあえず。まずは瞑想できちんと魔力を認識出来る様になってから、だ。まあ、放課後に一週間程度やっておけば、使えるようになるだろう。本格的な訓練は、それからだ」

「あのー・・・部活はどうすれば?」

「はぁ・・・魔力の扱いを習得してからは、部活が休みの日だけで良い。それまでは諦めろ。後は各自訓練は怠るなよ。死ぬぞ」

「良かった・・・」


 浬の質問に対して、フェルが呆れ顔で告げる。まあ、実際の所、使いこなしてしまえば訓練にしてもそんな大それた物にはならない。各自の自宅でも出来る物だったのである。

 確かに色々と甘くはあったが、あまり強くしすぎてしまっても逆にそれを狙う者達が現れかねない。この程度が、丁度良かった。

 ちなみに、浬にしても何も何も巫山戯てこんなことを言っているわけではない。実は同じように、侑子も少しだけ、不安だった。なにせ、今度の8月にある大会は、彼女らの中学最後の大会だった。そして、幸運な事に、二人共レギュラーに選ばれている。出来れば、出場したかったのだ。


「ああ、海瑠。お前は特に鍛錬に注意しろ。あまり強くなると、今度は逆に狙われる。出来れば、朝一の瞑想と与えられた訓練メニューだけにしろ。カイトは居ない。あまり無茶をやって狙われると、私が面倒だ」

「え・・・」


 どうやら海瑠はようやく強くなれるかも、と思っていたらしい。目に見えて残念そうな顔をしていた。まあ、そんな海瑠の心情を見越して、フェルが告げたのだが。


「さて、じゃあとりあえず、瞑想から、だ。全員、正座でもあぐらでも掻いて、5分瞑想。海瑠、お前が一度やって見せてくれ」

「はい」


 御門の指示に従って、海瑠が正座で瞑想に入る。そうして、この日から密かな訓練が開始されるのだった。




 一方、天道邸では彩斗と煌士、詩乃が魔力を使い熟す為の訓練を行っていた。意外に思うかもしれないが、魔法陣が使えるからといって、魔術行使が出来る様になるわけではないのだ。

 魔法陣も確かに個人の魔力によって起動は可能だが、足りなければ、世界に満ちる魔素(マナ)と呼ばれる魔力の元となる物質を以って、足りない魔力を補給するのだった。まあ、それでも足りなければ、起動しないのだが。


「と、言うわけです。感じれる様になり、見れるようになり、使えるようになり、という感じです」

「ふむ・・・そういうことですか。わかりました。とりあえず、一度お願いしても良いでしょうか?」


 流石に親とほぼ同程度の年齢の相手にいつものテンションでは、と思った煌士が、丁寧な言葉づかいで彩斗に願い出る。それに、曲がりなりにも相手は自分の先達で、講師役だ。それぐらいの礼儀作法は心得ていた。

 此方も此方で彩斗から扱い方に関する講習を受け、実際に使い熟す為の訓練を開始する所だった。とは言え、此方はマンツーマンだし、そもそもで目標が急場だ。かなり急ぎ足になったのは、致し方がないだろう。


「わかりました・・・では、楽な姿勢になってもらいます。その後に、私が魔力を背中から流し込みますから、それに意識を集中してください」

「頼みます」


 煌士は少し悩んだ挙句、あぐらでは無く正座で呼吸を整える事にする。彼が武術の鍛錬を行う際に瞑想する時は、正座が基本だったのである。それを見て、彩斗が背中に手を当てて、魔力を流し込むイメージで煌士に魔力を流していく。

 ちなみに、今彩斗は煌士の背中に手を当てているのだが、最も効率が良いのはお互いにもろ肌を脱いで後ろから抱き竦める形が最も効率が良い。まあ、効率が良いだけで異性で無くてもそんな物はこっ恥ずかしいし、そのせいで意識が集中できなくなる可能性があるので初心者の練習方法としては推奨はされないが。


「・・・なるほど。何か温かいような力の流入が感じられますね・・・」

「それが、魔力です」

「わかりました」


 そうして、この訓練を繰り返すこと数度。日も暮れた頃になって、一時的に帰国した覇王が道場を訪れた所、それに気付いて、詩乃が腰を折る。


「旦那様、お帰りなさいませ」

「よう、詩乃、煌士。訓練は進んでるか?」

「お・・・父上! 何時お帰りになられましたか!?」

「ははは、さっきだ。すまねえな、巻き込んじまって」

「我輩これでも大興奮・・・と申し訳ありません」


 ついいつものテンションで返そうとして、彩斗が居ると苦笑して丁寧な口調に戻す。


「いやいや、それで良いですよ。私も娘が同い年ですからね」

「いえ、それでも、武術は礼に始まり礼に終わる、ですので」


 どうやら煌士なりの考えがあっての事らしい。まあ、それでも興奮すると忘れるので、やはりこだわりに近いのだろう。そして少し後には普通の口調に戻っているので、やはりこだわり、という所だった。


「それで、父上。如何な御用でしょうか?」

「ああ、まずは・・・俺の本当の姿を見せておこうと思ってな」

「父上の・・・真の姿?」

「ああ、俺は祖先帰りでな。まあ、ちっと見てな・・・はっ」


 訝しげな煌士に覇王はそう告げると、意識を少しだけ集中する。そして、短く息を吐くと、彼の身体に変化が訪れた。彼の頭には2つの角が現れて、見開いた彼の瞳孔は縦に割れていた。

 そして、その縦に割れた瞳孔の左右に幾つかの奇妙な紋様が浮かんで、明らかに人間ではない眼となっていた。龍眼、と呼ばれる龍族特有の眼だった。


「おぉ! なんとかっこいい! それは竜の角ですか!? それにその眼! まさに龍眼!」

「お、嬉しい事言ってくれんなー。おう、こいつは龍の角だ。龍な、龍。難しい方の龍。で、眼は龍眼だ」


 息子が大興奮で自らの父に生えた角と龍眼を褒めそやすのを見て、覇王が照れ臭そうに笑う。とは言え、こんな所を何も知らない使用人達に見られると大問題なので、一応見せるだけ見せて、即座に元の姿に戻った。


「でだ・・・彩斗。訓練の進み具合はどんな程度だ?」

「まあ、今日の朝始めたばっかで、ぼちぼち、ってとこですわ。つい三時間ほどまえにようやく魔力の扱い方の訓練を開始して、今も続けとるとこです」

「そうか・・・でだ。此方で大まかなプランを練った。二人も確認してくれ」


 覇王はそう言うと、連れて来た使用人に命じて二人に行程表を渡し、予定を確認させる。だが、そこに書かれた内容を見て、思わず二人は顔を顰める。


「半月後、ですか?」

「7月中頃のみずがめ座流星群は知っているか?」

「そりゃ、まあ・・・」


 二人は当然、年に3つあるみずがめ座流星群について知っている。だが、それとこの試練の日程の関連性が理解出来なかったので、二人は首を傾げる。


「先ほど、先方から連絡があった。みずがめ座流星群に併せて何か儀式を行うらしくてな。幸いここ最近はこの間の一つ目が終わった所で何ら問題は無いそうだが、儀式の準備だなんだとこの機会を逃すと、今度は9月頃にまで借りれなくなるらしい。儀式の準備で一ヶ月程必要で、その間『天穹の水瓶』の貸出は出来ない、だそうだ。6月中頃までが、ギリギリ待てるデッドラインだと」


 もっと早めに言ってくれ、と覇王が愚痴る。とは言え、その代わりとして、今回失敗してももう一度試験を受けれる様に交渉をし、更には一回目限りだが、試練の合格基準を変更させ、大人一人を加えた6名限りで参加者全員の捕獲へと大幅譲渡を見事成功させている。この点は、抜かり無いと言えた。


「でだ・・・それに関して、お前の援護の人員を選定中だ。煌士、お前から何か望む人員は居るか?」

「そう・・・ですね。ではまず、詩乃、彩斗さんをお願いします」

「頼めるか?」

「承りました」

「受けましょ」


 覇王の問い掛けを聞いて、詩乃も彩斗は二つ返事で了承を示す。もともと詩乃は煌士の護衛兼ストッパーだし、彩斗にしても乗りかかった船だ。それに、煌士は曲がりなりにも彼の弟子に近い。参加を拒む理由が無かった。


「それと、天城家の空也。運動神経は私を上回るほどで、彼は剣道では世界大会の優勝者。魔術による身体強化を可能とすれば、私の強い右腕となってくれるはずです」

「ああ、空也くんか。わかった。星矢にも言っておこう。数年前に攫われた事もあるし、個人防衛が出来るのなら、拒みゃしねえだろ。どっちにしろソラくんか空也くんのどっちかは魔術を習得してもらわないと困るしな。早いか遅いかの差だ」


 空也とは、ソラの弟で、煌士の幼馴染だ。星矢とはその父親で、覇王の幼馴染であり、現職の内閣総理大臣だった。彼は兄と同じく運動神経が抜群だった。実績については、煌士が告げた通り、世界大会で優勝出来るぐらい、有数の運動能力を持ち合わせていた。

 それ故に、煌士は援護として慣れ親しんだ相手を望んだのだ。そこまでは、良かった。だが次に出た名前を聞いて、思わず彩斗が顔を顰める。


「次に、彩斗さん。貴方のお子さん二人をお願い出来ますか?」

「は?」

「おいおい・・・天音家の二人は一般人。なんのつもりだ?」


 彩斗はぽかんと口を開き、覇王でさえ意図が掴めず苦笑を浮かべた。だが、これは当然、煌士なりに考えがあってのことだった。


「まず、姉の浬さんですが・・・彼女は運動神経バツグンです。が、メインは彼女ではありません。彼女はあくまで、弟の海瑠くんを引き込む為の方便です」

「方便?」

「ええ、彩斗さん。今回の試験は危険は無いです。なので、今日帰ってからで良いので、天道財閥が新規に開発している映像技術のモニターを探している、ということをお二人の前で密かに話してください。その後、試験の数日前・・・そうですね。三日ほど前で良いです。その際に、モニターの二人が急に怪我で参加出来なくなり、急遽代役を探している、ということで二人に申し出てください」

「まあ、そりゃ、危険も無いし構いませんけど・・・ウチの二人は役に立ちませんよ?」


 当たり前だが、一般市民の二人に対して、何の理由も無く魔術を教えるつもりはこの場の面々には一切存在していない。なので、大前提は魔術無し、だ。それ故、運動神経が幾ら高かろうとも、魔術でブーストを掛けなければ使い物にはならないのだった。

 それ故の、彩斗の問い掛けだった。だが、この意図を理解した覇王は、思わず自らの子の才覚の高さに唸り声を上げた。


「なるほど・・・お前、何故、気付いた?」

「一年前。彼の入学式の時に気になる事を言われて、つい先日魔力の事を伺って確信しました」

「どういうことです?」

「海瑠くんが魔眼持ちだということを、こいつは自分で見抜きやがった」

「なっ!?」


 覇王の言葉に、彩斗が思わず目を見開く。海瑠が魔眼持ちだということは、当たり前だが天道家は把握している。そもそもで海瑠の魔眼が発露したのは、カイトがエネフィアへ渡るより遥かに昔だ。それ故に隠蔽は不可能で、天道家も把握していたのである。

 だが、当然こんな情報は天道家の中でも極限られた者だけが知っていた事だ。個人情報にもなるし、魔眼は悪用されれば拙いので、個人情報として煌士にさえ、告げていなかった。今回の一件で魔術の事を知らなければ、親である彩斗さえ、知らされないまま一生を終えただろうぐらいだ。


「そういうことです。彼の魔眼であれば、もしかすると、かのゼウス神の神獣の転移の兆候を見抜いてくれるかもしれません。とは言え、流石に普通の一般市民として何も知らず魔眼に折り合いを付けて生きている彼にまでこの一件に巻き込むのは私も一人の先輩として、生徒会長として、心苦しい物があります。なので、モニターとして、ゲーム感覚で楽しんでもらおうかと」

「なるほど・・・浬はその為の隠れ蓑、つーことですか・・・そういうことやったら、受け入れましょ。あいつらにはちょっと悪いけど、兄貴の為や。まあ、少し我慢してもらいますわ」


 どうやら考え込んでいた所為で、彩斗は本来の口調になってしまった様だ。まあ、それほどまでに真剣に考え込んでいたとも言える。

 ちなみに、これは別の意味で正解だった。実はこの場面はアマテラスに見られていて、そこ経由でゼウスに知られていたのだ。

 そして、当たり前だが彼らは浬と海瑠の事を知っている。となれば、必然、鷲には手加減する様に言わないといけなくなってしまったのだ。そんな彩斗に、煌士が頭を下げた。


「有難う御座います」

「よっしゃ、分かった。天音もすまねえな。じゃあ、俺はこれから星矢のとこ行って、空也くんも連れてこれるか聞いてみる。できたら、空也の方もお前が鍛錬頼むわ」

「わかりました」


 全ての手筈の相談が終わり、覇王が星矢に相談する為に立ち上がり、使用人達を引き連れて道場を出た。それを残る三人が見送って、再び訓練を開始するのだった。

 お読み頂き有難う御座いました。

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