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18 あっ、そういうのだったの?

「それじゃあ、後でカイ陛下とハイデマリー様のところにも報告に行きましょうか」

「そうね。お二人とも、驚くかしら……」

「どうでしょうね。……ああ、そうだ。バタバタしていて準備ができなかったので、今度の休みに指輪を見に行きましょうか」

「……ゆびわ?」

「それから、陛下が褒賞として僕用の屋敷をくださるそうなので、早めに家具を発注しましょう。アレクシアさんの好きなものもたくさん置きたいので、好みを教えてくださいね。ベッドも、大きなものを用意しないといけないし」

「う、うん……?」

「それから、ドレス。人気の針子の店はすぐに予約がいっぱいになるとハイデマリー様がおっしゃっていたので、早めに注文しましょうか」

「あ、あの、フィル?」


 庭園を散策しながら話をしていたのだけれどなんだかフィルがあらぬ方向に向かって突っ走っているようなので、待ったをかけた。


「指輪もお屋敷もドレスも……それってなんだか、結婚するみたいじゃない?」

「えっ、しますよね?」


 フィルが当然とばかりに問うてきたので、「するの!?」と言いそうになるのをなんとか堪えた。ここで馬鹿正直に言うとフィルが落ち込むのは目に見えていた。


 結婚、結婚……マジか!?


「アレクシアさん、栄典授与のときにも会場にいらっしゃいましたよね? だったら僕が陛下にお願いしたことも聞かれていたのではないですか?」


 ええと……それは、あれか。妻云々のことか。


「聞いていたわ。でも、その、まずはお付き合いからかと思ったから……」

「もちろん、まずはお付き合いからです。でも僕はアレクシアさん以外の女性と人生を共にするつもりはないので、結婚を大前提とした交際のつもりで申し出ましたし、そのつもりでこれまであなたと接してきました」


 フィルが至極真面目に言うので、言葉を失ってしまう。


 これまで……これまでってことは、フィルは私に対して「恋人にしたい」とか「付き合ってみたい」じゃなくて、「結婚したい」とわりと早い段階から思っていたってこと!?


「え、ああー……そうなのね、気づかなかったわ、あはは……」

「あなたはそういう人ですからね。……僕との結婚、嫌ですか?」


 少し困ったような顔で聞かれたので、首を横に振る。


「嫌ではないわ! ただ、交際はともかく結婚となると、私たちだけの問題じゃなくなるし……そ、その、私はまだお仕事も続けたいし……」

「そういうところは、これから一緒に話しあっていくから大丈夫です。僕はあなたの希望を最優先させますし、あなたを屋敷に閉じ込めようとかなんてことも言いませんので、安心してください」


 おお……それは確かにほっとできる。

 私が自己肯定感上げ上げしてきたからか若干執着心強め男子に育ったフィルだけど、束縛監禁系ではないのなら一安心だ。


「そう言ってくれると助かるわ」

「あなたのためですから。……ただ僕、あなたのことを諦めるつもりはさらさらないので、全力で結婚までこぎ着けます。これだけは妥協しないことをご了承ください。だから、先に謝っておきます。すみません」


 そう言って律儀に頭を下げるものだから、噴き出してしまった。ここまでくると、なんだかもう全部許せてしまう。


「分かったわ。私も……あなたのことをもっとよく知って、もっと好きになっていくわ。それに……これからも、たくさん構って褒めてあげる」

「アレクシアさん……」

「だから……よろしくね、騎士様?」


 ふふっと笑って顔をのぞき込むと、頬を赤く染めて口元を手で覆っていたフィルにさっと抱き寄せられた。


「……もちろんです。僕のお姫様」


 ささやき声に続いて降ってきたキスは、限りなく優しかった。











 ここからは、『光と闇のレゾンデートル』には描かれなかった……ありえなかった、誰にも分からない新しい物語。


 私はそんな物語を、闇堕ちエンドから救うことのできた推しと一緒に、生きていきます!

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