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09 ドラゴン戦


 迷宮の主は、アリアを殺したあのドラゴンだった。


 血が滲むほど掌を強く握る。

 一瞬、殺意で視界が真っ赤に染まりかけるが、大きく深呼吸して冷静さを取り戻す。


 主であるテイマーのコンディションは、使い魔の性能に影響する。

 テイマーである僕が、使い魔の足を引っ張るわけにはいかない。


 冷静に……そうだ、僕は今、冷静だ。


 冷静に、僕は《使い魔(ファミリア・)強化(エンハンス)》をルーシアに施した後、彼女へ命じた。


「ルーシア、殺せ」

「了解、ご主人様――私に任せて」


 僕の命令(オーダー)に従い、ルーシアが影を脈動させる。

 ドラゴンが喉奥に力を溜めた。息吹(ブレス)の予兆。


「でも――遅い」


 地を蹴ったルーシアが爆発的な速度で加速し、跳躍、ドラゴンの下顎を思い切り蹴り飛ばした。


 ドラゴンの口が強引に閉じられ、息吹(ブレス)がその口内で暴発する。

 その口から鮮血が滴る。ドラゴンは悲鳴を上げた。


 激昂したドラゴンは無造作に暴れ狂う。

 巻き込まれては堪らない。僕は後ろへ下がった。


 ルーシアはそのまま地面に着地すると、まるで水の中に落ちるように、するりと影の中と身体を沈めた。


 影が延びる。

 壁へ、天井へとひとりでに影が動いていき、延びた影が天井まで到達すると、そこからルーシアが飛び出した。


 完璧な奇襲。

 ルーシアの右腕に影が纏わりつき、巨大な鉤爪を形成する。


 《影爪シャドウ・クロウ》だ。


 目にも止まらぬ速度で腕を振るうと、影爪がドラゴンの左の眼球を抉った。

 噴水のようにドラゴンの左眼窩から血が流れる。

 爪の先端に付着した血液を舐め取り、ルーシアは艶然とした笑みを浮かべた。


「《影嵐(シャドウ・ミキサー)》」


 詠唱。同時に、無数の影の刃がドラゴンへと襲い掛かる。

 ドラゴンが悲鳴を上げた。強靭な鱗を貫き、影の刃がドラゴンを切り裂いていく。


 有効打だ。

 しかし――それでも尚、ドラゴンは死んでいない。


 強靭なまでの生命力。

 Sランクに認定されるほどの力は伊達ではない。


 ドラゴンが咆哮した。

 その喉元が赤く輝くと、ドラゴンは再び息吹(ブレス)を放った。


 対象は――僕だ。

 ドラゴンは高い知性を有している。

 ルーシアにとっての弱点が僕であることに気付いたのだろう。


 そして、それは正しい。

 だが……正しい判断であるが故に、非常に読みやすい。


 僕にドラゴンの息吹を防ぐような防護魔術は使えない。

 だが、来るとわかっていれば回避くらいはできる。

 テイマーはあくまでも後衛職であるが、迷宮探索において、魔獣の攻撃を回避する程度の能力は後衛であろうと必須だ。


 ドラゴンの息吹(ブレス)を横に跳躍して回避する。

 僕のすぐ横の空間を火炎が炙った。余波の熱が肌を炙る。僕は耐熱の支援魔術をすぐに自らに施した。


「……許、さない……!」


 ルーシアが呟く。紅い瞳に狂気的な輝きが宿った。

 確かにルーシアにとって僕は弱点である。

 だが同時に――逆鱗でもあった。


「《生命爆発(エナジー・バースト)》――!」


 影の魔術は基本的に光に弱い。

 つまりは炎にも弱いため、ルーシアが選択したのは別の魔術だった。


 先程の魔獣の巣で回収した生命力の一部がエネルギーに変換され、莫大な衝撃波を発生させる。

 衝撃波は炎の息吹を軽々と消し飛ばすと、そのままドラゴンに激突し、その巨体をよろめかせた。


「ご主人様に手を出すなんて……万死に値する」


 悍ましい殺気。

 周囲の空間の温度が下がったかのような錯覚すら覚える。


 否――錯覚ではない。


 死霊種(アンデッド)の殺意は冷気という現象として、現実に発生する。

 満身創痍のドラゴンが気圧されたかのように震えた。


 ルーシアの力がどんどん上昇していくのが分かる。

 死霊種は負のエネルギーを根本とする存在だ。

 故に、彼女たちの力は殺意や悪意などといった負の感情に満たされているほど増大する。


 ルーシアが腕を振るった。

 それだけで迷宮が震撼し、ドラゴンが吹き飛ばされて広間の壁に激突する。

 ルーシアはそのままドラゴンに高速で接近すると、倒れ伏すドラゴンの頭を思い切り踏み潰した。


「これで……終わり」


 この世のものとは思えない絶叫を響かせて、Sランクの最強種――ドラゴンは、ついに絶命した。



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