22 復讐①
申し訳ありません、プロットを修正したため、18話以降からの展開を少し修正させていただいております。
「よう、レイン」
街を出て、迷宮へと向かう道中。
背後から聞き覚えのある声で呼びかけられる。
シンシアからの報告で、このタイミングで来るのは分かっていたため動揺はない。
振り返る。そこにはアベルたちが完全武装した状態でこちらを睨んでいた。
《勇者》アベル、《剣聖》ロジェ、《魔女》ユミナ、《聖女》シンシア。
かつてのパーティー、《覇者の翼》の面々だ。
「久しぶりだね、アベル。僕を囮として殺しかけておいて、よくも僕の前に顔を出せたものだと感心するけど」
「黙れ」
アベルがこちらを睨んだ。どろりとした殺気がこちらを刺す。
「《勇者》として、お前みたいな雑魚に嘗められるわけにはいかねぇんだよ。だから、復讐だ。お前とその使い魔をぶっ殺してやるッ!」
――残念だが、これから復讐するのは僕の方だ。
「一応聞いておこうか。迷宮内で僕を囮にしたことを謝るつもりはあるかい?」
こうして襲撃を仕掛けてきている時点で謝るつもりなど皆無だろうが、一応訊ねる。
まあ――尤も、謝られても許すつもりはないけれど。
「謝る? はっ、雑魚のお前に囮って役割を与えてやったんだから、むしろ感謝して欲しいくらいだな」
「おい、もういいだろアベル。さっさとレインのやつを殺そうぜ――それに、俺の剣を折ったあの女だけは許さねぇ。だが、見た目だけは良かったからな、あの女は両手足を切り落としてからじっくり嬲ってやる」
「駄目だ。あの女は再生能力があった。油断せずに殺せ」
「全く、ロジェは品性に欠けてるわねぇ」
好き勝手に話すアベルたち。その様子にはこちらへの侮りが見え隠れする。
恐らく、日中でルーシアがその本領を発揮できないと高を括っているのだろう――その油断が命取りであると知らずに。
「皮算用するのは構わないけど――ルーシア一人に負けていたくせに、本当に僕に勝てるつもりなのかい?」
「ふん、強がりも大概になさい? 昨日とは違って今は太陽が出ているわ。あんたの使い魔は吸血鬼でしょう? 本来の力は発揮できないはずよ」
「それに、こっちには聖職者のシンシアもいる。死霊種なんて敵じゃねぇよ」
「そうか」
どうやらシンシアは上手くやったようだ。少なくともアベルは彼女のことを完全に味方として認識している。
その盲目さには哀れみすら覚える――が、容赦をするつもりはない。
「さて……どうするか」
迷宮の中に入れれば太陽の光は届かない。アリアの索敵を上手く利用すれば迷宮内の魔獣をアベルたちにぶつけることも可能だろう。
一番有利な状況を取れるのは、迷宮内で戦うことなのだが……ここから迷宮まではまだだいぶ距離がある。
尤も、アベルたちもそれが分かっていてこのタイミングで襲撃を仕掛けてきたのだろうが。
「ライラ、いけるか?」
「はい――お任せを。ご主人様に勝利を捧げましょう」
声が聞こえる。僕の影の中から。
ルーシアの《影魔術》によって僕の影の中に隠れていたライラがその姿を現す。
同時に僕は彼女へと支援魔術を施した。
「《使い魔強化》」
美しい光精霊。彼女を見て、アベルたちが瞠目した。
「なッ……光精霊か!?」
「――やられた。吸血鬼以外にも戦力を用意してたのね」
ユミナがいち早く状況を理解したようで、苦虫を噛み潰したような表情をした。
彼女は気付いたのだろう。
僕がその日のうちに戦力を用意したという事実から、アベルたちの襲撃を僕が予期していたということに。
「ライラ、頼む――《多重・使い魔強化》」
ライラ、ルーシア、アリアへと支援魔術を重ねがけする。
強化される能力も凄まじい代わりに対象への負担が大きいため、普段は決して使わないのだが、絶対に負けられない戦いだ。使える手は使う。
「――《光の天蓋》」
支援魔術で強化された状態でライラが《光精霊魔術》を発動する。
「なにッ!?」
「嘘……」
アベルたちの動揺の声。それほどまでにその精霊魔術の効果は劇的だった。
《光の天蓋》――それによって、辺りが急激に暗くなっていく。
空が虫食いのように、みるみるうちに真っ暗な闇に侵食され……周囲はまるで夜のように暗くなっていく。
《光精霊魔術》の本領は光の操作。
ライラはそれによって、降り注ぐ太陽の光を全て遮っているのだ。
場は整った。
既にここは太陽の光すら届かぬ地――ルーシアから感じられる魔力が瞬く間に増加していく。
「さあ、始めようか」
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