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19 聖女の決断

申し訳ありません、プロットを修正したため、18話以降からの展開を少し修正させていただきます。


 シンシアはレインが取っている宿の前で、レインが戻ってくるのを待っていた。


 レインは先日までは同じパーティーにいたためにアベルたちと同じ宿に泊まっていたが、流石にあの騒ぎの後も同じ宿に泊まる気にはなれなかったのか、別の宿へと移っている。


 こうしてシンシアがここでレインを待っているのは、アベルの動きを彼に伝えるためである。


 頭に血が上っているアベルは、すぐにでも報復に乗り出すだろう。そのことをレインが予想しているとは知らないシンシアは、そのことをできる限り早く伝えた方が良いと思っていた。


 深夜。今日はもう帰ってこないのではないかとシンシアが不安を感じ始めた頃。

 ようやくレインたちが宿へと戻ってきた。彼はアリアとルーシアの他にも、美しい光精霊(エルフ)の女性を連れている。


 レインがシンシアに気付き、声を掛けた。


「やあ、シンシア。奇遇だね」

「あの……レインさん、大変なんです!」

「大変? 一体何が?」


 レインは分かりきったことを聞くような調子で訊ねていたが、焦っているシンシアはそれには気付かなかった。


「レインさん……アベルさんに気を付けてください。あなたに報復しようとしています」

「そうか。気を付けさせてもらうよ。ありがとう」

「いえ……」


 シンシアの瞳をじっと見て、レインは言った。

 

「それで、シンシアはアベルに協力するつもりなのかな?」


 何気ない問いかけ。

 だが同時に、背後に控えるルーシアが身構えた。


「い、いえ……私は既に《覇者の翼(フリューゲル)》を脱退したので」

「へぇ、そうなんだ。なら良かった、ルーシアは祓魔術(エクソシズム)が苦手だからね」


 レインの言葉にルーシアは唇を尖らせた。


「心配しすぎです、ご主人様。たとえ相手が聖職者(プリースト)であっても……私は負けるつもりはない」

「だけど、絶対ではないだろう? ルーシア、君がいくら強くとも、祓魔術は死霊種にとって致命的だ。万が一の可能性がある以上、それを埋めるのがテイマーの……僕の役目だ」


 ルーシアとレインの会話を聞いて、羨ましいなあとシンシアは思う。互いが互いを思いやっているのが分かる。


「あの……もしよかったらなんですけど、私をレインさんのパーティーに加えさせてもらえませんか?」

「うーん……」


 シンシアは思わず、レインにそう頼んでしまった。

 断られるだろうから、言わないようにしようと思っていたのに。


 シンシアの予想通り、レインはあまり乗り気ではなかった。

 レインの目を見れば分かってしまう。

 彼は、シンシアのことを信頼していなかった。


 レインがこんな残酷な目をするようになったのも……アベルの致命的な裏切りによるものだろう。シンシアは唇を噛んだ。

 

 レインは僅かに逡巡した後、言った。


「別にシンシアだから信頼してないわけじゃないけど……」


 今のレインは、己の使い魔以外の全てを信頼していなかった。

 だが、《使い魔契約ファミリア・エンゲージ》により支配された使い魔は、主人であるテイマーには決して逆らえない。


 そのため、使い魔だけは決して裏切る心配はない――信頼することができる。


 レインとしては、シンシアを信じたいという思いはある。

 《覇者の翼(フリューゲル)》時代には何度も助けられたし、先日はアリアを蘇生して貰ったという恩もある。

 信頼はしたい――が、どうしても、裏切られた場合の想定をしてしまう。


 言葉を区切り、レインは続けた。


「まさかあのタイミングでアベルに囮にされるとは思ってなかったからね。二度と同じようなことが起こらないように、パーティーは使い魔で固めることにしたんだ」

「それは……」

「君たちみたいな強者とは違って、僕は……弱いんだ。それでも冒険者を続ける以上、できる限りのことはしないといけない」


 そのために、レインが真っ先に不要と切り捨てたのが、他者への信頼だった。

 幸い、テイマーであるレインは、使い魔という決して己を裏切ることのない存在でパーティーを固めることができる。パーティーを構成する上で問題は起こらない。


 実際にアベルに裏切られている以上、その判断が不合理であるとはシンシアには言えなかった。


「そう……ですか」


 葛藤する。レインからの信頼を得るための方法は、既にシンシアの頭には思い浮かんでいた。

 レインが、使い魔しか信用するつもりがないのならば――使い魔になればいいのだ。


 だが、《使い魔契約ファミリア・エンゲージ》を結んでしまったら、後戻りはできない。使い魔側から契約を解除することはできないからだ。


「けれど――私はレインさん、あなたを信じています」


 シンシアはずっと見てきたのだ。アリアと二人で、《覇者の翼(フリューゲル)》の一員として頑張る彼の姿を。

 だからシンシアはレインのことを信頼している――たとえ、レインがシンシアへの信頼を失っていようとも。


 迷いを振り切る。

 意を決して、シンシアは言った。


「でしたら《使い魔契約ファミリア・エンゲージ》を――私を、レインさんの使い魔にしてください」


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