15 使い魔認定
「さっそくだけどこの子、ルーシアの使い魔認定が欲しいんだけど」
「あの、失礼ですけど。あれだけ暴れといて……正気ですか?」
ルーシアを引き連れたまま静まり返ったギルドに入り、青い顔をしていた知り合いの受付嬢に声を掛けて返ってきた第一声がこれだった。
「正気だよ。だから殺さないように手加減をさせたわけだし」
「そもそもどうしてパーティーメンバー同士で乱闘騒ぎなんて起こしてるんですかっ!? Sランク同士の決闘なんて悪夢ですよ悪夢!」
涙目の受付嬢。名前はセシル・リザイア。
僕たちが冒険者に登録した頃……五年前からずっと変わらず受付嬢をやっている、古株のエルフだ。
尖った耳に、金色の綺麗な長髪。
そして種族特有の整った容貌。
彼女が僕の使い魔になってくれたらなあと僕は会う度に思っている。何度も断られているが。
「色々あって僕は《覇者の翼》は抜けることになったんだ」
「えっ!?」
「そういうわけで、脱退手続きの方もよろしく」
「は、はい……」
僕に言われるがまま、セシルが《覇者の翼》からの脱退の手続きを済ませた。
「ええと……はい、これでレインさんはソロの冒険者になります。けど、どうして突然脱退を?」
「元々抜けるつもりだったんだけど、今回の迷宮攻略の最中に囮扱いされて殺されかけてね」
「それは……最低ですね」
セシルは眉を顰めて吐き捨てる。
長年ギルドの受付嬢を勤めているだけあって、彼女はそういった行為が大嫌いな性格をしていた。
「ですが……申し訳ありません。ギルドの方ではパーティー内での諍いには関知できないので」
心底から申し訳なさそうにセシルは頭を下げる。
それは知っているし、別に僕はギルドにそんな期待はしていないのだが……。
それに元より、僕の復讐心はギルドを介してアベルを貶めたところで満たされはしないため、ギルドが動こうが動くまいが……どうでもいい。
「それはどうでもいいから、次はルーシアの使い魔登録の方をお願い」
「……え、ええと」
渋るセシル。
まあ事もあろうにギルドの前で大立ち回りをしてしまった以上、その反応も無理はない。
「じゃあルーシアの代わりにセシルさんが僕の使い魔になってくれるんならそれでもいいけど?」
「!?」
「ご、ご主人様!?」
セシルとルーシアが揃って慌てる。
ちょっとした冗談だったのだが。
「分かりました! 死人も出てないですし、ルーシアさんはレインさんにちゃんと従っているみたいですし、今回だけ特別ですよ! 今後は本当に気をつけてくださいね!?」
「まあ、善処はするよ」
セシルがなにやら羊皮紙を取り出し、そこにさらさらと文字を記入していく。
「それで、ルーシアさんの種族は? 死霊種であるのは雰囲気でなんとなく分かるんですが……」
「吸血鬼だよ」
「っ!? 吸血鬼ですか……大物ですね」
「問題があったりする?」
「い、いえ……前例はないですけど、特に使い魔にする対象の種族に制限はないので」
その後もいくつか質問され、それを僕やルーシアで答えていく。
そうして、セシルがルーシアの登録を終えた。
「はい、これでルーシアさんは冒険者ギルド側からも正式に使い魔として認定されました」
「ありがとう、助かったよ」
これが他の職員だったならばもっと長引いていた可能性もある。
まあいざとなったら、《覇者の翼》のおこぼれで至ったSランクの称号で強引にでも認めさせるつもりだったが。
とはいえ、普通に認定されるに越したことはない。
受付にいたのがセシルで幸運だった。
「それで、《覇者の翼》を抜けてレインさんはソロになったわけですけど……今後はどうされるおつもりで?」
「そうだね……もう少し、冒険者を続けるつもりだよ」
元々冒険者は僕の憧れだ。
前までは《覇者の翼》を抜けたらそのまま辞めようと考えていたが……今は違う。
ルーシアという新たな仲間も増えたことだし、もう少し冒険者を続けていくつもりだ。
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