表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Realize  作者: 星野☆明美
8/9

第7章☆祐二の能力・京子の能力

「京子姉さん」

「?」

祐二が私の手を握った。


二年前。

新婚旅行に行っていなかった両親を小型機の後部座席に乗せて、兄貴が操縦席に座った。副操縦席には飛鳥が乗るはずだったけれど、体調不良で飛鳥は他の人と交替した。その小型機が、山岳地帯で墜落して、乗員は全員死亡だった。

大学進学が決まっていた私は、自宅に火をつけて自殺未遂をした。偶然通りかかった山元博士に火は消しとめられ、私は山元博士の元で働くようになった。


「だから、家に入れてくれないのか?」

祐二が聞いた。

「私の記憶を読んだの?」

「この時間軸の過去をたどった」

「もういいでしょ!」

私は祐二の手を振りほどこうとした、が、彼は決して離さなかった。

「京子姉さん、二年前に戻ろうか?」

「そんなこと、できるの?」


気がつくと、セーラー服姿で、私は自宅にいた。

「京子」

両親と兄貴が食卓で食事をとっている。

「なあに、数日間旅行して、すぐ帰ってくるよ。それまで一人で留守番できるかい?」

「待って!行くの、やめて。中止!」

三人はびっくりした顔で私に注目した。

「副操縦席に飛鳥が乗る予定だけど、体調不良でべつの人に替わって、その飛行機が墜落するのよ!だから、やめて」

「なにいってんだ?」

兄貴が鼻で笑い飛ばした。

駄目だ。なんらかの力で「あの時」に戻っているけれど、過去は変えられない。

「あんまり心配しないで」

そう言って三人は航空サービスへ出かけてしまった。

「祐二。祐二!どうしたらいいの?」

でも、祐二はここにはいない。

「祐二。せっかくあなたがしてくれたこと、私にはどうしようもない」

柱にもたれて涙を流す。この柱は火事で真っ黒にすすけているはずなのに、今はきれいだ。

また同じことを繰り返すの?

「いいえ。私は生きる。また祐二に巡りあって、あの子のそばで生きていきたい」

Realize。覚醒。私は目覚める。新しい力。

「京子!」

「えっ!」

三人が帰ってきた。

「京子が言ってたように、飛鳥がスタンバイと替わったから、縁起担いで旅行は中止にしたよ」

「本当?」

なんて嬉しいことだろう?

みんな生きるんだ。

祐二、祐二。あなたに会いたい。

私は心からそう思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ