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第70話 農民、野草を採取する

「おっ! なんだ、この辺、いっぱい生えてるんだな」


 俺が『鑑定眼』を使いながら、辺りを散策していると、程なくして、一種類の草がいっぱい生えているところを発見した。

 そこにたどり着くまでは、『鑑定眼』が効かない植物とかが多かったのだ。

 どちらかと言えば、その辺を飛んでいる虫の方の鑑定ばかりされてしまったというか。

 ちなみに、この平原には蛇とうさぎだけじゃなくて、虫のモンスターもいた。

 もっとも、ゲームとかで現れるような、俺たちと同じぐらいの大きさで、いきなり襲って来るようなモンスターじゃなくて、向こうの虫とそれほど大きさが変わらないというか、手のひらサイズの虫が多かったというか。

 

 例えば、見た目はテントウムシみたいで、ちょっとお尻が光っている虫などは。



名前:ヒカリムシ

年齢:1

種族:光虫種(モンスター)

職業:

レベル:2

スキル:『◆◆』『◆◆』『◆◆』『◆◆』『◆◆◆◆』



 こんな感じで鑑定できた。

 何だか、蛍とテントウムシを合わせたような虫なんだが、その名前の通り、身体が淡く発光したりしていて、その光が大きくなったり小さくなったりを繰り返しているので、何となくきれいなんだよな。

 俺が近づいても攻撃してくるでもないし。

 試しに、頭を撫でてみると、ちょっとだけ光が大きくなった後、俺の周りをくるくると飛んでから、そのまま離れて行ってしまったんだけど。

 一口にモンスターって言っても、敵性の高いやつばかりじゃなさそうだ。


 というか、虫のモンスターはいっぱいいるのな、この平原。



名前:ベルベルバタフライ

年齢:1

種族:音蝶種(モンスター)

職業:

レベル:3

スキル:『◆◆◆』『◆◆』『◆◆』『◆◆◆』『◆◆』



名前:ロックころがし

年齢:1

種族:転虫種(モンスター)

職業:

レベル:2

スキル:『◆◆』『◆◆』『◆◆』『◆◆』



名前:スロウワーム

年齢:3

種族:蠕虫種(モンスター)

職業:

レベル:6

スキル:『穴掘り』『◆◆』『◆◆』『◆◆◆◆』『◆◆』



 ベルベルバタフライ、ってのは白くて手のひら大の小さい蝶で、羽ばたく時に鈴を鳴らしたような音を発するモンスターらしい。

 あっちこっちの花に止まっては、蜜のようなものを吸っているのが何匹も確認できた。

 ロックころがしは、拳大の石を転がして、それを蹴り飛ばしてくるモンスターのようだ。他の虫モンスターと違って、近づくと、いきなり石をこっちに向かって蹴飛ばしてきたし。

 ただ、距離を離れれば、そのまま、また、別の石に近づいて延々とそれを転がし続けているので、それだけ見ていると割と愛嬌があるモンスターだった。

 攻撃してきたので、倒そうかなと思ったけど、とりあえずは実害がないので後回しにしておくことにした。

 そもそも、こっちと大きさが違うので、あんまり脅威には感じないんだよな。


 で、スロウワームってのは、その名の通り、大きなミミズって感じのモンスターだな。

 俺が確認できたのは一匹だけだが、ゆっくりゆっくりと穴を掘って、そのまま地面の下へと行ってしまった。

 そういえば、カミュが地面の中にもモンスターがいることがあるって言ってたから、この手のワーム系のモンスターとかが地中に住んでいるのかもしれないな。


 ただ、ここまでで四種類の虫モンスターを鑑定したんだが、このスロウワームだけは、スキルのうち、ひとつだけ確認することができたのだ。

 この『穴掘り』ってスキル。

 というか、他のスキルに関しては一切読み取ることができなかったんだよな。

 レベルだけ見ると、俺の方がレベルが高いことを考慮すると、『鑑定眼』の読み取れるかどうか、ってのはレベル差だけが条件じゃないってことのようだ。

 

 前に戦ったミスリルゴーレムやラースボアの場合、明らかにレベル差が原因だろうとは思っていたんだが、今、鑑定した虫系モンスターはそんなに強い感じのモンスターじゃないのに、スキルに関しては読み取れなくなっている。

 うーん。

 純粋に、『鑑定眼』のレベルが低いからなのか?

 スキルを読むためには、それなりに『鑑定眼』を鍛えないとダメだとか。


 とりあえず、すぐに答えが出なそうなので、それは保留にして。

 改めて、たどり着いた野草の群生地から、草を採取していく。



【素材アイテム:素材】ルロンチッカ草

 イーストリーフ平原に生えている野草。虫系モンスターが好んで食べるため、草の周辺には虫のモンスターが多く生息している。根っこには毒がある。採ったばかりのため、新鮮でまだ毒はほとんどない。



「おい!? ちょっと待て!?」


 何だよ、この説明文は。

 詳しい話はサティ婆さんも教えてくれなかったけど、この『ルロンチッカ草』って、毒草でもあるのか?

 新鮮だから、まだ(・・)毒はほとんど(・・・・)ないって、裏を返せば、鮮度が落ちれば、毒草になるってことだろ?

 うわあ、さすがは、薬の素材だなあ。

 普通に、採取しやすい草の方から、毒草とはちょっとびっくりだよ。

 というか、この平原って、イーストリーフ平原って名前なのか。

 この辺って、何とかリーフって名前で統一されているのかね?

 と、そこまで考えて、ふと思う。


「……あれ? というか、毒があるってわかるよな?」


 もしかすると、これも俺の『鑑定眼(植物)』のスキルのおかげなのか?

 いや、植物の『鑑定眼』を持っていない人と一緒に素材を採取したことがないので、比べようがないんだが、もし、『鑑定眼』なしでも、毒があるかないかの情報が説明されるなら、毒草を食べちゃうなんてことはやらかさないよな?


 あるいは、鑑定できない草を食べたとか?

 まあ、その辺は考えてもよくわからないな。

 案外、毒草だとわかったうえで、チャレンジする人もいるかも知れないし。


 とにかく、根っこには毒があるってことなので、根っこごと引き抜かず、草の部分だけをナイフで刈り取って、どんどん採取していく。


 あ、そうそう。

 一応、『採取』のスキルに関しても、『けいじばん』で情報が触れられていた。

 別にスキルを持っていなくても、採取自体は可能だが、もしスキルを持っていると素材を採取する際に、少しだけプラス補正がかかるのだそうだ。

 簡単に言うと、一度に採取する量が少しだけ上乗せされるのだそうだ。


 まあ、俺も直接見たわけじゃないので、詳しいことはわからないが。

 例えば、今俺がひとつの『ルロンチッカ草』をそのまま摘んでも、アイテムとしての『ルロンチッカ草』はひとつ増えるだけだ。

 だが、『採取』のスキルを使うと、何本かに一本、採れる数が増えるのだそうだ。


 後は、他のスキルの補助と同様に、ちょっとだけ作業を簡略化もできるらしいな。

 『解体』とかみたいに、目の前にたくさん素材が生えていた場合、いっぺんに採取することも可能なんだとか。

 もっとも、スキルを使った場合とそうでない場合での採取量の差は、まだ検証中って話だ。

 まあ、『解体』や『調合』でもデメリットがあった以上は、『採取』にも、スキルによる補助を使った際のデメリットはあるんだろうな、たぶん。

 

 俺なんかだと、結局、地道が一番って結論になるんだが。

 もちろん、体力も消耗するし、手間もかかるから、その分、お腹もすくけど、やっぱり、手間暇を惜しんで、手に入るはずのものを失うのはちょっともったいないと思うのだ。

 その辺は、実家の考え方の影響だな。

 農業の場合も、効率化すべき作業も当然あるけど、それでも決して手を抜いてはいけない工程も多いのだ。

 わずかなことの手間暇を惜しむと、結果としてそれが収穫の時に返ってくる。

 

 だから、というべきか。

 この手の地道な作業ってのは嫌いじゃないのだ。

 黙々とラースボアの解体をやり続けたのもそのことが身体に染みついていたからだ。


 なので。

 この『ルロンチッカ草』の採取もちまちまと作業を続けていく。

 根っこの部分の毒を残さないように、丁寧に採取して……と、待てよ?


「念のため、根っこは根っこで別にして持っていくか」


 根っこだけだとアイテム表記が出ないんだが、毒は毒なりに使い道があるって、サティ婆さんも言ってたもんな。

 そんなことを考えながら、俺は野草の採取を続けるのだった。

実はモンスターモンスターしていないモンスターも結構多いです。

虫系モンスターは町の周辺にもいますが、いちいち鑑定してもきりがないので描写は省略してます。

森の方に行けば、大型で襲ってくる虫もいます。

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