第367話 農民、水の精霊と相談する
【素材アイテム:素材】アクアドリアードの残滓(枝)
水棲のドリアードの切れ端。樹木としての属性もあり。
魔素が満ちている。燃料として燃やすのは難しいが、何か別の使い道があるかも?
【素材アイテム:素材】アクアドリアードの残滓(根)
水棲のドリアードの切れ端。樹木としての属性もあり。
魔素が満ちている。燃料として燃やすのは難しいが、何か別の使い道があるかも?
【素材アイテム:素材】アクアドリアードの残滓(葉)
水棲のドリアードの切れ端。樹木としての属性もあり。
魔素が満ちているため、散った後も枯れにくい。
【素材アイテム:素材】アクアドリアードの残滓(幹)
水棲のドリアードの切れ端。樹木としての属性もあり。
魔素が満ちている。燃料として燃やすのは難しいが、何か別の使い道があるかも?
よし、よし!
イズミンの『樹』の擬態からも素材が得られるんだな?
さっきからの『嫌がらせ』以降、少しずつではあるが、『樹』から一部が剥がれ落ちたりもして、それが素材として拾えることがわかった。
『これなら、例の家造りに使えないか?』
『材木としてー?』
『意外と柔らかいから、ちょっと厳しいか?』
ただ、特殊素材の一種ではあるようだから、生産職の人たちにも相談してみよう。
何かの役に立つかもしれないしな。
とはいえ。
『素材集めもいいけど、そろそろイズミンをどうにかしないと体力がまずいか?』
『んー、もうちょっとは大丈夫かなー? 今はウルルの体力も残ってるしー』
『そう。でも、急ぐのは大事』
『ですね』
リディアさんの言う通りだよな。
やっぱり、イズミンの正体が『水』だってわかっても、そこから先が打つ手なしなんだもんなあ。
基本的に、殴る蹴る、斬った張ったは通用しないし、今俺が使える魔法とも相性が悪いし。
せめて、『火魔法』とか使えれば、蒸発させたりとかも狙えたかもしれないのになあ。
いや、さすがにこの泉の水を全部蒸発させる前に俺の魔力が尽きるだろうけど。
『今の自分に使える能力がないのが悲しいな』
結局、ウルルちゃん経由の『水魔法』頼みになってるし。
『あれーっ? ねえねえ、セージュー』
『どうかした?』
『セージュって、まだ使えそうな能力があったよねー?』
『……え?』
ウルルちゃんの言葉に一瞬、考え込む。
『土魔法』はダメ。
『農具』系統は武器攻撃だから能力としては無効。ただし、『鎌』の特殊効果はそれなりに有効そう。
『爪技』も物理無効の相手とは相性が悪い。
……あとは戦闘に使えそうな能力はないぞ?
『ウルルちゃん、どれのことを言ってるの?』
『その『解体』ってのはどうなの? そのスキル、ウルルもあんまりよく知らないんだけど』
『え? 『解体』スキル?』
いや、これって、倒したモンスターから素材をはぎ取るためのスキルだろ?
そもそも、まだ生きているモンスター相手に『解体』を使ったことはないぞ?
……おや?
もしかして、使える……のか?
とりあえず、ものは試しなので、周囲の『水』に向かって。
『――――『解体』!』
ナイフを突き立てて、『解体』……これで手順はいいんだよな?
『…………』
『…………』
『…………何も起こらないね』
『まあなあ』
そりゃそうだろうな。
そもそも、刺さるところがないからなあ。
せめて、あっちのイズミンスライム相手なら、生きたままでも可能なのかも知れないけど、あっちはそもそも、きちんと倒せてるから。
今更、生きたまま『解体』とかできたとしても、あんまり意味がないし。
『じゃあ、『鍛冶』はー? 確か、おまつりの時、ドワーフの人が使ってたよね?』
『ペルーラさんのやつだな? でも、無理だな。俺のスキルじゃレベルが低すぎるし、それ以前に、武器攻撃が刺さらないって』
『あー、ダメかあー』
残念だよー、というウルルちゃんの声が頭の中にこだまする。
うん。
ウルルちゃんも知恵を絞ってくれてるから、とっても嬉しいけどな。
現状を打破する方策にはなっていないよな。
『うーん、うーん……あ、セージュ、このイズミンも『水』っぽくなってはいるけど、元はドリアードなんでしょ?』
『そうだとは思うぞ?』
『だったら、あれだよー。セージュの『手』!』
『『緑の手』か?』
『そうそうー!』
まあ、確かに。
相手が植物系統なのは間違いないから、相性は悪くないよな、うん。
問題は――――。
『いや、ウルルちゃん。この能力、ステータスには載ってるけど、俺も使い方がよくわからないんだよ』
自在に使えるなら、色々と試してみたいんだが、今のところは思い通りに使えた試しがないという、謎スキル。
なのに、レベルが少しずつあがっているから、本当に意味がわからない。
もうちょっと、こう、使い方の説明とかがあるといいのにな。
そんな感じで思わず、本音を愚痴ってしまったんだけど。
『え……? セージュの『鑑定眼』って、説明はないのー?』
『――――はい?』
ちょっと待って?
今、ウルルちゃんは何て言った?
『……もしかして、ウルルちゃんって、『緑の手』の使い方とかの説明が見えるの?』
『うんー。ウルルの『精査』と『精霊眼』でね』
『それ……早く言ってよー!?』
よし、よーし、落ち着け。
ウルルちゃんは、俺も見えるとばかり思っていたそうだ。
いや、本当に、改めて、精霊種の凄さというか恐ろしさがわかったな。
『視る』ことに関しては、かなり秀でている種ってことか。
前々からわかっていたつもりだったけど、もっと深く考えておくべきだったな。
『ウルルちゃん、使い方を教えてもらってもいい? その、『緑の手』の』
『うんー、じゃあ、よく聞いてねー』
そのまま、ウルルちゃんから『緑の手』の指南を受ける俺なのだった。




