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第356話 農民、『迷いの森』の中を進む

【素材アイテム:素材】ラージボアの皮

 『迷いの森』周辺に生息するラージボアの皮。加工することで色々なものを生み出すことができる。傷が少ないため、品質は良好。


【素材アイテム:食材】ラージボアの肉

 『迷いの森』周辺に生息するラージボアの肉。その独特の風味によって好みが分かれるが、この辺りでは貴重なタンパク源。どうにかして食べましょう。



【素材アイテム:素材】ヤドクアカガエルの皮

 『迷いの森』に生息するヤドクアカガエルの皮。毒液でコーティングされているため、取り扱いには注意。加工などの際にそれなりの対処をしなければ、被毒することがある。どちらかと言えば、装備品というより、薬などの材料にする方が向いているかも。

 傷が少ないため、品質は良好。


【素材アイテム:素材】ヤドクアカガエルの血

 『迷いの森』に生息するヤドクアカガエルの血。強い毒性があるため、この血を武器の刃などに塗るなどの使われ方がされている。ただし、作業の際に被毒する可能性があるので取り扱い注意。素人は触れないのが吉。


【素材アイテム:素材/食材?】ヤドクアカガエルの肉

 『迷いの森』に生息するヤドクアカガエルの肉。

 猛毒。そのままでは食べられません。こちらも薬などに使うのが吉。

 傷が少ないため、品質は良好。



【素材アイテム:素材】グリーンバットの羽

 『迷いの森』周辺に生息するグリーンバットの羽。しなやかで、加工することで色々なものを生み出すことができる。ただし、大きさはそこそこなので量が必要かも。

 傷が少ないため、品質は良好。


【素材アイテム:素材】グリーンバットの歯

 『迷いの森』周辺に生息するグリーンバットの歯。硬度があるため、加工することで色々なものを生み出すことができる。傷が少ないため、品質は良好。



【素材アイテム:素材】ヤドクアカガエルロードの皮

 『迷いの森』の中ボス(暴走個体)であるヤドクアカガエルロードの皮。毒液でコーティングされているため、取り扱いには注意。少なくとも貴重な素材であることは間違いなく、持ち込む場所によっては嬉しいことになるかも。持ち運びの際は、直接触れない方が良い。傷が少ないため、品質は良好。


【素材アイテム:素材】ヤドクアカガエルロードの血

 『迷いの森』の中ボス(暴走個体)であるヤドクアカガエルロードの血。強い毒性があるため、この血を武器の刃に塗るなどの使われ方がされている。ただし、作業の際に被毒する可能性があるので取り扱い注意。特に! 素人には絶対おすすめできない!

 『耐毒』スキルが弱い場合、致死毒にもなり得るので扱う自信がなければ、放置する方が良いだろう。


【素材アイテム:素材/食材】ヤドクアカガエルロードの肉

 『迷いの森』の中ボス(暴走個体)であるヤドクアカガエルロードの肉。

 そのまま食べたら昇天する味。必ず血抜きはすること。というか、食べることをおすすめしないお肉。勇者になりたければ止めないが、別の意味で勇者になること請け合い。

 傷が少ないため、品質は良好。



「ふぅ……結構、モンスターが多いな」

「そう? 『山』だともっと頻度が激しいところもあったわよ、マスター」

「森の中のモンスターさん、身体が大きいのが多いんだね」

「きゅい――――!」

「ぽよっ!」


 一息つきながら、ぼやく俺に対して、周囲から色々と返事が返ってくる。

 今、俺たちがいるのは『迷いの森』の一角だ。


 『オレストの町』から、一段階、『グリーンリーフ』の奥へと踏み込んだ場所で、まだまだこの辺は難易度が低い場所なのだそうだ。

 それでも、踏み込んだ直後から、モンスターの襲撃が続いたのには驚かされた。

 たぶん、『鳥モンさん大行進』や『コッコさん来襲事件』のふたつ以外では、ここまで連続して、モンスターと戦うってのはなかっただろうし。

 普通のフィールドでの戦闘としては、かつてないほどに密度が高い場所だ。モンスターとの遭遇率も高いしな。


 ……これで難易度低めかあ。


 確かに、テツロウさんとかが、ある程度人数を固めていかないと厳しい、って言っていた理由がよくわかるな。

 もっとも、今、俺たちが移動しているルートは、『ラルさんの家』の側の特殊な入り口から直接繋がっていた場所だから、それでって理由もあるんだろうけど。

 普通の迷い人(プレイヤー)さんが踏み込んだ場所とは、大分勝手が違うようだしな。


 おかげで、モンスターを倒しても、いちいち解体している余裕がなくて、結局、『解体』スキルに頼っている始末だし。

 あと、全部自分たちで拾っている余裕もなかったので、その辺はリディアさんに任せている部分もあるな。

 なので、すべてのアイテムが確認できているわけじゃないのだ。

 リディアさんの例の不可視の能力と、持っているアイテム袋の自動吸引のおかげで、一瞬でモンスター素材がその中に消えている、というか。


 うん。

 やっぱり、一流の冒険者ってすごい。


『それでも、セージュたちはまだ楽だと思いますよ。少なくとも、『ヒッチコックリーダー』が味方についているでしょう? そちらの襲撃は『暴走個体』を除けば、一切ありませんからね』

「ですよねー」


 クリシュナさんから指摘に、素直に頷く。

 ベニマルくんたちが味方になってくれたおかげで、『森の護り』……鳥モンさんたちからの襲撃がまったくないのだ。

 むしろ、たまに遭遇すると上空から魔法なんかでサポートしてくれたりもするし。


 いや、『迷いの森』の中でも、緑色のハチマキをした鳥さんに遭遇することがあるんだな?

 情報収集の任務中、とからしいけど。

 そのおかげでかなり助かっている部分はあるな。


 ……本当、十兵衛さんってば、よくもまあ、単独でここを切り抜けられたよなあ。


 俺とルーガ、ビーナスとなっちゃん、それにあの後で合流したみかん。

 今はこの五人が中心で戦っているんだが、それでも結構きついもんな。

 まあ、みかんに関しては、戦力というよりビーナスの『足』みたいになってるけど。

 もちろん、それはそれで助かる。

 大分大きくなったおかげで、みかんが宙に浮いたままでビーナスを乗せられるようになったので、すごく便利だしな。


 というか。

 みかんって、騎獣だったのか? 獣というよりも果物だけど。

 ビーナスが空飛ぶフルーツに騎乗して戦っている姿は、結構シュールではあるぞ?


 もっとも、リディアさんなどに言わせると、空を飛べる騎獣ってのはかなり貴重なのだとか。それこそ、竜騎士(ドラゴンライダー)が飼っている飛竜などぐらいしか成功例がないため、そう考えると、みかんってすごい! ってことになる。

 飛行速度はそれなりだけど、上下にもある程度ふわふわと自在に移動できるし。


 ちなみに、今、俺と一緒にいるのは、基本パーティ以外では、一日護衛のリディアさんとクエスト報酬として同行役を買って出てくれたクリシュナさん。

 それと――――。


『ねーねー、セージュー。さっきの赤くて大きなカエルさん、美味しいのかなー?』

「やめなさいよ、ウルル。カエルを食べたりしたのが後でばれたら、オットーから嫌味を言われるのよ? しかも延々と。私たちにとってはそれほど美味しいものじゃないから、食べない方がいいわ」


 もしかしたら、『森』の精霊種に会えるかも、ってことで一緒についてきているフローラさんと、俺に『憑依』してくれているウルルちゃんだな。

 以上で、同行者はすべてとなる。


 あの話の後、アルルちゃんとシモーヌちゃんはサティ婆さん預かりになって、『精霊の森』組も二手に分かれたって図式かな。

 ともあれ、何だかんだで大所帯ではあるのな。

 戦力的にも過剰気味ではあるんだけど、そこはそこ、俺たちが主導で戦っているというか、戦わなくてはいけないというか。


『仕方ありません。セージュたちが奥に進むための資格を得る必要がありますから。さすがにわたしたちが矢面に立っては意味がありませんから』

「ん、露払いはする」

「はい、それで十分ですよ。俺たちも今のうちに確認しておきたいことが色々とありますから」

『もっとも、今のセージュでしたら心配ないでしょう。ウルルが『憑依』している状態が功を奏しましたね』


 『迷いの森』を最短で突っ切ることができていますから、とクリシュナさんが微笑む。

 その通りだ。

 ウルルちゃんが『憑依』することで、使える能力のうち。


 『精霊眼』。


 これが、この『迷いの森』だと殊の外、威力を発揮しているんだよな。

 『小精霊』の様子が見て取れる、ということは、だ。

 『迷いの森』にかけられている、侵入者を惑わそうとする仕掛けのほとんどを見破れるってわけで。

 そのおかげで、これってズルじゃないの? ってぐらいのペースで『森』の中を進めてしまっているらしいのだ。


 どうやら、『迷いの森』の攻略向けスキルとしては最上のものだったらしいな、この『精霊眼』って。

 仕掛けた方にしてみれば、たまったもんじゃないだろうけど、こっちはこっちであまり時間に余裕もないので、ひたすら先を進むだけだし。


 既に、中ボスというか、侵入者の実力チェックのための『暴走個体』ってやつも撃破してるしなあ。

 巨大な毒ガエルではあったけど、やっぱりな、さっきのクリシュナさんの異常さに比べると、まだ普通というか、俺のそっちの感覚もおかしくなっているのかもしれないけど、ウルルちゃんの『精霊眼』と組み合わせると、中ボスの攻撃とかがすごくゆっくりに見えたんだよなあ。

 もちろん、猛毒警戒ではあったけど。

 その毒攻撃も、みかんが吸収して防いだりしてくれたので、まあ、というか。

 いつの間にか『耐毒』みたいなのも覚えてるし、みかんの成長っぷりにはびっくりだよ。


 まあ、それはそれとして。


「クリシュナさん、もう少しで『ヴィーネの泉』ですか?」

『はい。こちらのルートからですと遠回りでしたけど、そろそろ見えてくる頃だと思いますよ。目的の前に、先に『暴走個体』を倒せて良かったです』


 俺たちが目指しているのは『ヴィーネの泉』だ。

 既に、他の迷い人(プレイヤー)さんもクエスト等によって到達している、例の『きれいになる水』が湧き出ている泉。

 そこが最初の目的地となる。


「よし、あんまり時間もないし、このまま進もう。クリシュナさん、それでよろしいですね?」

「――――――」


 無言で頷くクリシュナさんを確認して。


「それじゃあ、俺たちは引き続き、能力のチェックもしながら進むぞ」

「うん、ちょっとずつできることがわかってきたよ」

「そうね、もうちょっとみかんに乗りながらの動きになれておきたいわ」

「きゅい――――!」

「ぽよっ♪」

『セージュー、魔力の回復は忘れずにねー』

「ああ、わかってるよ」


 内側からのウルルちゃんの言葉に返事をしつつ。

 そのまま、『迷いの森』を進む俺たちなのだった。

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