第330話 農民、クエストの内容を確認する
『もっぐもぐ♪』
『もぐー!』
「コケッ♪」
「ピヨコ♪」
ケイゾウさんとヒナコさん、二羽のコッコさんに先導されて、『家』を建てる予定地のチェックをするもぐらさんたち。
どうやら、地盤とか、色々な確認をしているようで、あるもぐらさんはぴょんぴょんと飛び跳ねては土を踏み固めたり、また別のもぐらさんは荒れ地の土をそのまま口へと運んで食べたりしているのだ。
というか、だ。
次から次へとデフォルメもぐらさんが地面の中から現れて、気が付けばけっこうな人数になっているんだよな。
たぶん、あのつるはしを肩にかけてるのがリーダーっぽいけど、それ以外にも二十匹ちょっとのもぐらさんが手分けして、地面の状態をチェックしているし。
それを周囲のコッコさんや他の鳥モンさんたちがサポートしているというか、もぐらさんたちに何かを聞かれて、それに答えたりしているって感じだな。
その一方で。
「うーわー、この『お城』を作るための素材の数、ちょっとやばそうだな」
「いや、テツロウ。『砦』や『集合住宅』の時点で大概だぞ。ふむ……思った以上に時間を要するクエストになりそうだな」
「量もそうだけど、『一定ランク以上の石材』って言われても、そもそも、石素材ってどの辺に落ちてるのかも知らないしね」
「『お城』に必要な『核素材』ってのは何なのかにゃ?」
「一応、『木材も可』って書いてるよね?」
「伏字になってる項目もあるしなあ」
クエストに追加された内容に関して、チェックしながら悩んでいるのが俺たちだ。
実際の作業とかは、もぐらさん部隊に任せるようだけど、そのためには、まず素材を俺たちが集める必要があるわけだしな。
ちなみにそれぞれの『家』を建てるのに必要な素材の一覧がこんな感じだ。
【素材一覧:城タイプ】
・『一定ランク以上の石材』
・『一定ランク以上の木材』
・『一定ランク以上の土素材』
・『一定ランク以上の土素材(加工済)』
・『一定ランク以上の鉱物素材』
・『一定ランク以上の鉱物素材(加工済)』
・『一定ランク以上のモンスター素材』
・『核素材(木材も可)』
・『特殊な薬品類(必須ではない)』
・『魔晶系アイテム(必須ではない)』
・『◆◆◆の協力(必須ではない)』
・『◆◆◆の協力(必須ではない)』
・『◆◆◆の協力(必須ではない)』
・『◆◆◆の協力(必須ではない)』
・『◆◆◆◆の協力(必須ではない)』
・『その他(必須項目以外はすべてのタイプで共通)』
※必要な素材の量
1平方メートルあたりのポイントが120以上になること。
なお、階層が上層になるにつれて、必要ポイントは大きくなるので注意(例:2階層の場合、240以上)
計算については、持ち込んだ素材を算出式にかけると数値が判明する。
【素材一覧:砦タイプ】
・『一定ランク以上の石材』
・『一定ランク以上の木材』
・『一定ランク以上の土素材』
・『一定ランク以上の土素材(加工済)』
・『一定ランク以上の鉱物素材』
・『一定ランク以上の鉱物素材(加工済)』
・『一定ランク以上のモンスター素材』
・『その他(必須項目以外はすべてのタイプで共通)』
※必要な素材の量
1平方メートルあたりのポイントが90以上になること。
なお、階層が上層になるにつれて、必要ポイントは大きくなるので注意(例:2階層の場合、180以上)
計算については、持ち込んだ素材を算出式にかけると数値が判明する。
【素材一覧:集合住宅タイプ】
・『一定ランク以上の石材』
・『一定ランク以上の木材』
・『一定ランク以上の土素材』
・『一定ランク以上の土素材(加工済)』
・『一定ランク以上の鉱物素材』
・『一定ランク以上の鉱物素材(加工済)』
・『一定ランク以上のモンスター素材』
・『その他(必須項目以外はすべてのタイプで共通)』
※必要な素材の量
1平方メートルあたりのポイントが60以上になること。
なお、階層が上層になるにつれて、必要ポイントは大きくなるので注意(例:2階層の場合、120以上)
計算については、持ち込んだ素材を算出式にかけると数値が判明する。
【素材一覧:家タイプ】
・『一定ランク以上の石材』
・『一定ランク以上の木材』
・『一定ランク以上の土素材』
・『一定ランク以上の土素材(加工済)』
・『一定ランク以上の鉱物素材』
・『一定ランク以上の鉱物素材(加工済)』
・『一定ランク以上のモンスター素材』
・『その他(必須項目以外はすべてのタイプで共通)』
※必要な素材の量
1平方メートルあたりのポイントが30以上になること。
なお、階層が上層になるにつれて、必要ポイントは大きくなるので注意(例:2階層の場合、60以上)
ただし、このタイプでは3階層以上の建物は建てられない。
計算については、持ち込んだ素材を算出式にかけると数値が判明する。
【素材一覧:教会タイプ】
・『一定ランク以上の石材』
・『一定ランク以上の木材』
・『一定ランク以上の土素材』
・『一定ランク以上の土素材(加工済)』
・『一定ランク以上の鉱物素材』
・『一定ランク以上の鉱物素材(加工済)』
・『一定ランク以上のモンスター素材』
・『ガラス系素材(必須)』
・『◆◆室作成に必要な魔法素材(必須)』
・『◆◆◆作成に必要な魔法素材(必須)』
・『◆◆◆作成に必要な魔法素材(必須)』
・『◆◆◆作成に必要な魔法素材(必須)』
・『その他(必須項目以外はすべてのタイプで共通)』
※必要な素材の量
1平方メートルあたりのポイントが30以上になること。
なお、階層が上層になるにつれて、必要ポイントは大きくなるので注意(例:2階層の場合、60以上)
計算については、持ち込んだ素材を算出式にかけると数値が判明する。
※すでにこの町には教会が存在するため、設備が被らないことが条件となる。
孤児院併設か、修道院型、あるいは要塞型にする必要があるため、それによって素材の必要量が変化することがある。注意。
一応、こんな感じだな。
うん。
単純に、一種類あたり、何個素材が必要か、ってことについては正確な数値が出ないようになっているみたいだな。
素材ごとのランクによって、それぞれ『ポイント』っていう数値が設定されていて、その品質によって、必要量が変化する仕組みになっているようだ。
おまけに、各素材の比率はある程度自由なようで、ぶっちゃけ、土素材とかモンスター素材だけでもポイントは稼ぐことができるらしい。
さっき、試しにテツロウさんたちと一緒に、今すでに持っている素材を試しに、このクエスト画面の算出式にかけてみた結果、そのことが判明したのだ。
いや、そもそも、ここにいる迷い人が持っていた素材をかき集めても大したポイントにはならなかったんだよなあ。
というか、みんなのほとんどがモンスター素材か、鉱物系の素材しか持ってなかったから仕方ないんだけど。
後は、野草系とかのように調合で使用したり、収集系クエストで買い取ってもらうものがほとんどだったしな。
実際、家を建てるための素材となると手持ちが少ないというか、そもそも木材とかは勝手に森の樹を切り倒したりするのはダメだって、『けいじばん』でレイチェルさん言ってたこともあって、みんながそれを守ってたからなんだけど。
だから、木材に関しては、所持数がゼロだもんな。
「気になるのは、『核素材』だな」
「たぶん、それって、家を建てる時の基礎となる素材じゃないの?」
「でも、『木材でも可』なんだよな? 石造りのお城で、木材が基礎になるのかね?」
「あー……これはたぶん、この辺り限定の条件だな」
「あれ? わかるのか、カミュ?」
いつものシニカルな笑みを浮かべたまま、カミュがぼやくように言ったのでちょっと聞いてみた。
俺の問いに対して、カミュが頷いて。
「ああ。『魔境』ならではの木材がある。下手な鉱石とかよりもずっと丈夫でしなやかな素材がな」
『あー、僕も何となくわかったっすよ』
「え? ベニマルくんも?」
『そうっす。品質とか強度ってことなら、まず間違いないっすよ。『森』の中心でしか手に入らないっすけど……『千年樹』の素材っす』
「ええっ!? ベニっち! あの山みたいな樹を切り倒せってこと!?」
『いや、切り倒しちゃダメっすよ!? そうじゃなくって、剪定した枝とかそっちっす!』
さすがにそんなことをしようとしたら僕らも怒るっすよ! とテツロウさんの言葉をばっさりと否定するベニマルくん。
横でカミュも苦笑して。
「廃材なら、ってこった。枝って言っても、その辺の樹の幹ぐらいは余裕であるしな。もっとも、あたし的には賛同しかねるがな。やっぱり、こんなとこに城を作るのはやめといた方がいいと思うぞ? あるいは、別の『核素材』を探してみるか、だな」
『そうっすねえ。さすがに中央までたどり着くのは難しいと思うっすよ?』
「えーっ!? それじゃあ、お城は諦めるの!?」
「いや、そもそも、何で城を建てることになったんだよ? 確か、『けいじばん』だと、お風呂付の宿屋を作るって話じゃなかったのかよ?」
「なんとなく?」
「その辺はノリで」
「にゃはは、面白そうだからにゃあ」
「まあ、テスターだから、どんなに荒唐無稽なことでも試してみないと」
カミュの突っ込みにそれぞれが答える。
というか、カミュも途中まで『けいじばん』に目を通していたんだな。とはいえ、お城の話が出たのって、今日の今日だし。それはさすがに知らなかったようだ。
うん。
まあ、でも、意外なところに道があるもんだよ。
俺たちが『精霊の森』を目指したのも、カミュに言わせれば無茶だったろうし。
でも、こうして話が進んでいるわけだし。
「無理なら、他のにすればいいって」
「そうそう」
「ふふ、まあ、好きにすればいいさ。何にせよ、素材集めが重要になるな」
そうだよな、ここからは素材集めの時間だよな。
まずはそっちの作戦を練るとしよう。
話はそれからだ。




