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農民さんがVRMMOを楽しむらしいですよ  作者: 笹桔梗
第8章 家を建てよう編
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第306話 情報通剣士→重戦士、盤面調整に挑む

《クエスト『コッコダンシング』》

《テツロウ視点》



 さあ、祭りだ祭りだ。

 忙しくなるぞ!

 範囲を広げたことで大量に流れて行くログの情報へと目を遣りつつ、俺は心の中でそう思う。



【◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆は様子を見ている】=【十兵衛の攻撃!】=【十兵衛のサイドステップ!】=【◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆に15のダメージ】【メイアは◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆に『鑑定眼(モンスター)』を使った】=【ターゲット確認、ブリリアントコッコ1】【◆◆◆◆◆◆◆はケイゾウに向けて、『火魔法』を放った】=【クリシュナによる『妨害』】=【『火魔法』が地面に落ちる】【カガチによる『身体強化』発動】=【周囲にいるパーティメンバーにも効果あり】【クラウドから写る楽へ『傷薬』四つ譲渡】=【クラウドは『影走り』を使った】=【写る楽による『絵師』スキル発動】=【◆◆◆◆◆◆◆は動けなくなった】【テツロウは『身体強化』を使った】【ビーナスによる『音魔法』】=【だが、◆◆◆◆◆◆◆◆には効いていない】【◆◆◆◆◆◆◆による『火魔法』】=【リクオウに34のダメージ】=【リクオウはそのまま◆◆◆◆◆◆◆へと『体当たり』】=【リクオウの『締め投げ』】=【◆◆◆◆◆◆◆に50のダメージ】



 既に状況は動いている。

 それはログの流れていく速度を見てもよくわかるな。

 本来であれば、自分と敵、あるいはパーティ内に限定してログ情報を表示する、ってのがわかりやすい使い方なんだろうな。

 『けいじばん』でも戦闘系のスレッドで話題にのぼった時にも、設定をエリア指定にしたら、情報量が多くなりすぎて、戦うどころじゃなくなったって話も聞いたしな。


 本当本当。


 今、俺が目で追っているログを見れば、そういう意見も多いのはわかる。

 何せ、敵味方全員の挙動が次々と時系列順に表示されていくのだ。

 ターゲットを絞らないと、使い辛いことこの上ない仕様だよな。


 ただし、だ。


 こと、こういう大規模戦闘に関して言えば、このログ、本気で情報として役に立てようと思ったら、そこで諦めていたらお話にならないんだなあ、これが。


「情報集積中」

「『鑑定眼』を持ってる人はどんどん頼む」

「現時点で確定情報を『フレンド通信』と『けいじばん』に同時に吹き込んでいくぞ」

「聞き漏らした人は、『コッコダンシング』関連のスレッドを追ってくれ」

「ちなみに、もう二枚目に入った」

「スレの消費が速い」

「一番大きなモンスターは『ブリリアントコッコ』。今のところ1のみ」

「炎系の攻撃を使ってくるのは『レッドコッコ』。今のところ1から13まで確認」

「妖精種で飛べる人、上空から様子確認頼む」

「この戦闘域を俯瞰した状態での分布図を簡易的に描いていくから」

「写る楽さんの『絵師』スキルな」

「あれ、パーティの中なら、描いた地図とかに関しても共有可能だから」

「なので、各パーティのリーダー担当は段階をずらして、俺とパーティを組んでくれ」

「あ? やり方がわからない? 『けいじばん』の『まとめスレの21枚目』に詳しい説明が吹き込まれているから、そっちを見てくれ」


 情報の取捨選択は慣れだ。

 こんなのは他のゲームとかでの大規模戦闘でもたまにあることだしな。

 次々と流れて行く情報の中から、今、この場にいる敵モンスターに関する情報を抜き出していく。


 その種類、属性、特徴、大きさ、攻撃方法、などなど。


 それらの確定情報を『フレンド通信』で伝えながら、同時に『けいじばん』の専用スレの方にも吹き込んでいく。

 これも『けいじばん』が音声入力だからできることだよな。

 ログの画面、『フレンド通信』の画面、『けいじばん』の画面…………といった感じで複数の画面を戦闘中も横に表示しておくのも可能だ。

 場所などについては、個々で設定を弄ることもできるしな。

 その辺は、ステータス画面について調べた時に、散々チェックしたことだ。

 思った以上に、基本的なシステム部分に隠し要素があるんじゃないか、って疑った時に俺ひとりじゃなくて、黒さんとか、リクオウのおっさんとか、ユウとか、まあ、そっちのゲーム繋がりのみんなと一緒に、かなり調べたもんなあ。

 意外と、ゲームに興味が薄そうな人の中にも、その手の検証とかが好きなテスターさんもいたので、そっちも加えて、まあ、規模的には小さめだけど、自称検証班も立ち上がったしな。


 もっとも、検証班の多くもログの使い方に関しては賛否両論があったけど。

 少なくとも、今回の戦闘で俺が指揮を執ることにあっさり賛同してくれたり、周囲のテスターさんたちを説得してくれたのも、『検証班』の人たちだったしな。


 現時点においては、俺が一番、ログについては上手に使えるから、って。

 みんなは呆れてたけどさ。

 えー、でも、楽しいじゃん、こういうの。

 何だろう。

 この手の『運営』とか『製作者』からの不可能ギリギリの挑戦状って燃えない?

 前にそう聞いた時、みんなから苦笑されただけで終わってがっくりだったけど。


 情報量が多すぎて、役に立たない?

 戦闘しながら、ログに目を通すなんて不可能?


 いやいや、意外とそうでもないって。

 人間どんなことでも、どんな状況でも続けて行けば慣れるもんだって。

 少なくとも、ゲームにどはまりして、なんちゃってセミプロゲーマーへと至った俺としては、そういうもんだって認識がある。


 というか。

 ネットゲームで廃人プレイをやったことある人ならわかってもらえると思うけど、人多すぎでシステムダウン寸前まで行くような状況だったら、単なる会話表示だけで、この程度の情報はあっという間に流れていくって。


 ――――おっ!?

 そうこうしているうちに、助っ人が間に合ったようだな。

 ラングレーさんを始め、冒険者ギルドの人たちも来てくれたようだ。

 これで不利だった状況が持ち直してくるだろう。


 ゲームでNPCに助けを求めるのは邪道って説もあるけどさ。

 そういうことで躊躇するのはやめた。

 さっきのセージュたちとの話も原因のひとつだけど。

 これ、俺たち迷い人(プレイヤー)だけで、どうこうするタイプのクエストじゃないって。


 こっちとあっちのレベル差がちょっとあり得ない状況になってるからな。

 おまけに、殺さずに無力化しろ、って?

 それ、相当の力量差がないとできないだろ?

 だったら、ってことで、目一杯、俺の知ってる人たちに助けを求めたんだ。

 今も続々と駆けつけてくれているようで、俺宛てでメールの返事も来ているし。




【サンディコッコ11は『穴掘り』を行なった】=【サンディコッコ11は地面の中を移動している】【バードマンは『マジックボム(火)』を上空から落とした】=【ブリリアントコッコ1に命中!】=【ブリリアントコッコ1に10のダメージ】【ケイゾウは『共鳴啼き』を放った】=【ヒナコは『共鳴啼き』を放った】=【オレストコッコ4は『共鳴啼き』を放った】=【『護衛』の防御力が20上昇】【ヴェルフェンの『跳躍』】=【そのまま、ブリリアントコッコ1の頭部に『爪』攻撃!】=【ミス!】=【ブリリアントコッコ1は回避した】【コッコゴースト3は『骨乱舞』を使った】=【ビーナスの『つるの鞭』にヒット】=【ビーナスの『つるの鞭』が破損】【みかんの『樹霊吸収』が発動】=【周囲に『樹霊』が存在しないため、コッコゴースト3の『小精霊』を奪う】=【コッコゴーストに45のダメージ】=【コッコゴースト3は動けなくなった】=【みかんの『小精霊』が30増加】=【一段階、巨大化】



 おっ! やるなあ、セージュの連れているテイムモンスターたち。

 他のパーティだと苦戦を強いられている『コッコゴースト』を最初に撃破か。

 これは、他のところにも派遣だな。

 セージュたちと直接話をしつつ、この情報に関しては『フレンド通信』と『けいじばん』にも流していく。


「コッコゴーストへ攻撃の通し方がわかった」

「セージュんとこのみかんちゃんが霊体みたいなのを奪えるみたいだ」

「こっちがひと段落したら、あっちこっち救助に行ってもらうから、今のうちに、ヘルプ要請を『けいじばん』に頼む」

「強敵はブリリアントコッコだな」

「今のところ、弱点が不明。属性的に『闇魔法』に弱いかと思えばそうでもない様子」

「攻撃が通らない」

「あるいはダメージを与えても、一瞬でダメージが消えてしまう」

「物理攻撃が効いていない?」

「『鑑定眼』でもスキルに関しては、読み取れないとの報告あり」

「誰か、確認できたら報告頼む」

「ラングレーさんが持ってるのって、『宝具』の盾らしいぞ?」

「『如意自在盾』だってさ。何か、重戦士系にとって元気が出る話じゃね?」


 少し余裕ができてきたから、雑談も交える。

 そうすると、笑いとか、冗談交じりの返事も増える。

 まあ、俺も含め、みんなも楽しんでいるようだな。

 こういう時に笑えるのって大事。

 

 ――――あっ!


 少しずつ、空腹値があがってきてるのが増えてきたな。

 そちらをリストアップしつつ。


「ユミナさん、ドランさん、食料の配布お願い!」

「今、戦闘不能直前になってる順で、リストアップしてるから、そっちを確認後、よろしくっ!」

「黒さんも手伝って……あ、もう動いてる? さすがぁ!」


 よっし、じゃあ、今のうちに、目の前の敵を片付けるか。

 フローラちゃんとかベニっちも手伝ってくれてるし。

 そのおかげで、キャパオーバーにならずに済んでるし。


 そのまま、ベニっちに続いて、俺は目の前のレッドコッコに盾で攻撃するのだった。

テツロウですが、『レッドコッコ』と対峙、牽制をしながら、盤面調整を行なっています。

そちらの描写については、スピード感を優先して省略してます、ごめんなさい。


※この話については、実験的な内容になってます。

正直、雰囲気が伝わるかどうか、少し不安になっていますので、『突っ込み』や『おかしな点』などございましたら、ぜひ感想の方にお願いいたします。


……これでも、思い描いたものにはまだ足りないのですよね。

要精進です!

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