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農民さんがVRMMOを楽しむらしいですよ  作者: 笹桔梗
第4章 畑始めました編
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第117話 農民、畑クエストを確認する

「畑をいくつかの区画に分けて、それで色々と試してみようかな」


 冒険者ギルドの畑作業クエストの手順。

 それに準拠したやり方で作るのを広めにして。

 でも、それだけじゃなくって、色々と、俺が向こうで培ってきたやり方みたいな感じのやつも色々とやってみておく、と。


 昨日の時点で、グリゴレさんから畑作業のクエストについては教わってある。

 この町の冒険者ギルドで発注がかかっているのは、以下のクエストだ。



『クエスト【日常系クエスト:アルガス芋作りの手伝い その一】

・依頼者:冒険者ギルド

・依頼内容:アルガス芋を畑で育てる作業を手伝ってほしい。

・報酬:半日(6時間)拘束報酬が5,000Nプラス現物支給。仕事の内容次第では追加報酬あり。

※アルガス芋の手伝い『その一』は、『芋を植える』からの初日の仕事の手伝いを頼む。』



『クエスト【日常系クエスト:アルガス芋作りの手伝い その二】

・依頼者:冒険者ギルド

・依頼内容:アルガス芋を畑で育てる作業を手伝ってほしい。

・報酬:半日(6時間)拘束報酬が7,000Nプラス現物支給。仕事の内容次第では追加報酬あり。

※アルガス芋の手伝い『その二』は、成長途中の畑の管理業務を手伝ってもらう。

 一部トラブルなどが発生することがあるため、報酬は割高。

 そして、『討伐系』クエストの経験が浅い者は受けられない。』



『クエスト【日常系クエスト:アルガス芋作りの手伝い その三】

・依頼者:冒険者ギルド

・依頼内容:アルガス芋を畑で育てる作業を手伝ってほしい。

・報酬:半日(6時間)拘束報酬が5,000Nプラス現物支給。仕事の内容次第では追加報酬あり。

※アルガス芋の手伝い『その三』は、芋の収穫などの仕事の手伝いを頼む。

 なお、条件によってはその二でのトラブル駆除の作業が不十分のこともあるため、その場合は報酬を上乗せする。

 その場合、『その二』の条件同様、『討伐系』クエストの経験が浅い者は受けられない。』



 まずは、アルガス芋関連のクエストだな。

 一応、畑の状態によって三種類に分かれているらしくて、『その一』ってのが早い話が種芋の植え付けから行う、芋作り初日のクエストらしいな。

 穴を掘って、種芋を植えて、上から土を被せて、水を撒く。

 その間、時々休憩時間を挟みつつ、畑の様子を見て、トラブルなどに対応。後は芋の成長に合わせて、その都度、水を撒いたりする、と。

 ちなみに、土作りとか、そっちに関しては、このクエストでは行わないのだそうだ。

 そっちは、別の担当がやっているから、って。


 続いて、『その二』ってのが翌日以降の作業だな。

 芋が育っている畑を引き続き管理するお仕事なのだそうだ。

 初日に比べるとトラブルが発生する可能性が高いので、『その二』と『その三』については、『討伐系』のクエストをいくつか達成しないと受けられないようになっている、とまでは聞いていたんだが。


 いや、さっきまでの穴を掘ったりの作業で、このトラブルの原因ってやつが何となくわかったぞ。

 この畑作業の途中で、虫型モンスターとかに襲われたりするってことだよな?

 グリゴレさんの話だと、畑仕事の初日はそうでもない、って聞いていたから、少し油断していたけど、それがこの虫モンによるものだとすれば、アルガス芋が育つにつれて、現れる『トラブル』ってやつも増えるってことなので、もっと強めのモンスターとかも寄ってきたりするのかも知れない。

 少なくとも、条件付きである以上は、油断しない方が良さそうだ。


 で、最後の『その三』は、収穫の作業だな。

 しっかりと育った芋を掘り起こして収穫する、と。

 後は、芋ではない、茎の部分などを収穫が終わった穴に埋め直して、それに土をかけると、それが緑肥のような形になるのだそうだ。

 芋を掘って、穴を埋め直せば、作業完了って感じで。


 ただ、芋の可食部分以外は、適当に土に埋め込んでしまえばいい、って内容については、俺も驚いたけど。

 そのまま適当に埋めるって。

 せめて、少し鋤き込んだりしなくてもいいのかよ?

 まあ、今、俺たちがいる畑も、昨日までは『その三』のクエストが行なわれていたみたいだし、それなりに良い土に仕上がっているので、それで良いのかもしれないけどさ。

 

 さすがはゲームというか、大分農業もイージーモードになっているようだ。

 まあ、さもなければ、専業の農家でもいないと、ロクな作物が育たないだろうから、その辺はご都合主義でも仕方ないんだろうけどな。


 俺からの突っ込みはさておき。

 この『その三』で注意が必要なのは、条件次第というか、芋の成長次第では、『その二』の行程が省略されることもあるってことについてだ。

 うまく『その一』をこなすと、早く芋が育つらしくて、そのまま、『トラブル』駆除の行程が『その三』まで回ってきたりもするので、気を付けるように、って。


 要は、芋が早く収穫できる代わりに、モンスターの駆除の行程が一緒になってしまう場合があるってことだよな?

 そこはちょっと警戒だな。

 まあ、それなりに強いモンスターって言っても、町の中でそこまで危険があるとも思えないけど、念のため、だ。


 ちなみに、これらのクエストは発注者が表向きは『冒険者ギルド』になっているけど、本当の発注者は領主である、ラルフリーダさんだそうだ。

 俺は条件は満たしているから、ってグリゴレさんから、その情報を教えてもらったし。

 まあ、以下のクエストを見れば、何となく想像がついたけどな。

 アルガス芋関連のクエストは、誰がやっても育てるのが容易なので、オープンクエストになっているらしいけど、オルタン菜については、ちょっと難易度があがっているのだそうだ。

 一応、隠し系のクエストになっているらしくて、ここからはラルフリーダさんに認められていないと、受けられない、と。



『クエスト【栽培系クエスト:オルタン菜作りの手伝い その一】

・依頼者:ラルフリーダ

・依頼内容:オルタン菜を畑で育てる作業を手伝ってほしい。

・報酬:半日(6時間)拘束報酬が5,000Nプラス現物支給。仕事の内容次第では追加報酬あり。

※オルタン菜作りの手伝い『その一』は、種から苗まで育てる作業です。

※こちらは『栽培系』のクエストのため、作物の品質によって、報酬が増減します。

 失敗扱いの場合、拘束報酬のみとなる場合がありますのでご注意ください。



『クエスト【栽培系クエスト:オルタン菜作りの手伝い その二】

・依頼者:ラルフリーダ

・依頼内容:オルタン菜を畑で育てる作業を手伝ってほしい。

・報酬:半日(6時間)拘束報酬が5,000Nプラス現物支給。仕事の内容次第では追加報酬あり。

※オルタン菜作りの手伝い『その二』は、苗の植え付けと畑の管理業務です。

※こちらは『栽培系』のクエストのため、作物の品質によって、報酬が増減します。

 失敗扱いの場合、拘束報酬のみとなる場合がありますのでご注意ください。



『クエスト【栽培系クエスト:オルタン菜作りの手伝い その三】

・依頼者:ラルフリーダ

・依頼内容:オルタン菜を畑で育てる作業を手伝ってほしい。

・報酬:半日(6時間)拘束報酬が5,000Nプラス現物支給。仕事の内容次第では追加報酬あり。

※オルタン菜作りの手伝いその三は、オルタン菜の収穫などの作業です。

※こちらは『栽培系』のクエストのため、作物の品質によって、報酬が増減します。

 失敗扱いの場合、拘束報酬のみとなる場合がありますのでご注意ください。



 うん。

 クエストの内容だけ見ると、オルタン菜関連のクエストの方が安いように見えるけど、実はこっちって、出来高というか、その作業までの成功報酬の上乗せ分が、アルガス芋のクエストとは段違いなのだそうだ。

 というか、そもそも、この町で栽培しているオルタン菜については、作った分を料理屋とか、宿屋とか、そっちを中心に卸しているらしくて、そのままだと個人が購入するのが難しい野菜なのだとか。

 たまに、収穫量が多ければ、商業ギルドが不定期で行なっている『市』などで、販売をしたりもするらしいけど、芋と比べると収穫量が少ないので、いつでも自由に購入できるわけではない作物らしい。

 

 なので、この場合、現物支給ってのが、かなり大きいのだ。

 まあ、肉と芋さえ食べていればいい人なら別だけど、やっぱり、料理なり何なりに興味がある者にとっては、あったら嬉しいオルタン菜だ。

 こっちの世界のキャベツだけあって、それなりに甘味もあるし。


 ただし、その分、育てるのは芋よりも難しい、と。

 『栽培系』のクエストってのは、植物を育てるのがそれなりに得意な能力を持っている相手限定で、解放されるクエストみたいだし。

 確か、『土魔法』は必須だ、って聞いたし。

 後は、ラルフリーダさんとそこそこ親しいってのも条件のようだ。


 まあ、ルーガとなっちゃんにも『栽培系』のクエストは発生してるから、親しいというよりも面識があるかないかが重要なんじゃないのかね?

 俺も、一応はスタート時から『土魔法』とかは持ってたけど、『栽培系』のクエストを受けられるようになったのって、ラルフリーダさんと会ってからのようだし。


 それはそれとして。


 オルタン菜は作業手順を見る限り、やっぱり、向こうのキャベツに近いようだな。

 一日目で種を植えて、苗を作って。

 その工程の分だけ、アルガス芋よりも手間がかかるようになっているようだ。

 まあ、手間って言っても、たった一日で苗が育つ辺り、そこまで手間でもないけど。

 向こうだったら、植え付けの四十日ぐらい前から播種箱の作業を進めないと、苗の植え付けに間に合わないからなあ。

 そう考えると、ショートカットもいいところだよな、こっちの農業って。


「まあ、メインは芋だな」


 アルガス芋の作付面積を広めにして、それと並行して、オルタン菜の苗を育てていくって感じにしてみよう。

 まずは、一度、最初から最後までの行程をやってみないことには、どうやったら成功なのか失敗なのか、その判断もつかないしな。

 虫モン発生の件もそうだけど、トラブルの内容がどうなのかも、きっちりチェックする必要がありそうだし。


「よし。それじゃあ、芋を植える作業を始めるか。ルーガ、なっちゃん、手伝ってくれ」

「きゅい♪」

「うん、わかったよ。さっき掘った穴に、埋めていけばいいんだよね?」

「ああ、そうだ。ルーガたちは、クエストの手順通り、丸ごと一個の芋を植えて行ってくれ。俺はちょっと別のやり方も試してみるから」

「うん。頑張るね」

「きゅい――!」


 そんなこんなで、俺たちは畑仕事へと取りかかった。

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