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好戦

二人が駆け出すと同時に、敵の男たちも動き出した。


こちらの二人がフローリア王国の王子だとか、側近だとか、未来の宰相様だとか、魔王だとか、悪魔だとか、(多勢に無勢とか)関係なく、一斉に襲い掛かる。


敵の頭が持つ重たそうな両刃の剣は、殿下に避けられて当たった壁面がえぐれた。なんという破壊力なのか。剣が刃こぼれするのも気にせず勢いに任せて振り回している。あれは切っているのではなく、殴っているのではないかと思うほど。腕の太さだって女性の足くらいありそうな太さで、動きは早いとはいえないかもしれないが、怪物的な力を発揮している。


一方殿下の持つ剣は細みで、剣と剣を合わせようものなら簡単に折れてしまいそうな、とても繊細なものだ。だからなのだろう。先ほどから殿下は避けてばかりで、攻撃を仕掛けるのではなく最小限の動きで攻撃をかわしている。動き読み、力を受け流し、真正面からぶつかるのではなく流れるような動きで相手を翻弄する。剣舞のような身のこなしについ見とれてしまう。


一方コーリア様は・・・・・・・・・圧倒的な闇のオーラで相手を威圧し、動きを封じている。ちょ、震え上がっているじゃないですか。大の男が。


それから狙うのは急所ではなく、相手の足元や手ばかりで、決して致命傷を負わせているわけではない。「おっと。なかなか当たりませんねぇ。」と口角を片方だけ上げてにやりと冷笑を浮かべている。


命を奪うことはせずに情けをかけているのかとも思ったけれど、いや、あれは違う・・・。相手を徐々に追い詰めていく様子がなんとも楽しそうに見えるのは気のせい・・・ではないだろう。「この塵共がっ」と台詞を吐く姿が某浮遊城を舞台にしたお話に出てくる大佐に重なって・・・いやいや。やはり気のせいということにしておきましょう。


私一人分くらいすっぽり収まるような大きさの壁際に置いてあった酒樽の影に隠れ、お芝居のように現実離れした光景をはらはらどきどきと見ているうちに一人、また一人と敵が減っていく。


私的には、こう、背中合わせになって互いを守りながら戦う姿を想像したんだけれど。



「コーリア、大丈夫か。」


「ふっ。誰に言っているのですか。王子の背中は私が守りますっ!」



そういうシーンは一度たりとも無かった。



「危ないっ!」


「コーリアッ!!お前、なぜ!?」


「ゴフォッ!お・・うじ・・・」


「コーリア!無理にしゃべるな!」


「おう・・・じ・・・無事でよか・・・・」


「!!コーリアーーーッ!!」



とかって相手を庇う感動のシーンも。二人とものびのび戦っているように見えたから互いに信頼してのことかもしれないけれど、ちょっと見たかったです。


背後からの不意打ちも、挟み撃ちも余裕で交わしていたしね。むしろ私の叫び声に気を取られて剣が掠っていました。慌てて口を閉じましたよ。ええ。


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