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賢者の剣  作者: 陽山純樹
星の神を求める者

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一瞬の攻防

 俺の行動に対し、リーダー格であるスキンヘッドの男はいささか驚いた様子だった。まさかたった一人で仕掛けるとは……そんな風に考えたのかもしれない。

 そして俺の攻撃に対しては……一番近くにいた剣士が受けた。五人の中では一番地味な印象の男性。気配を探ってみるが、それほど魔力を抱えているわけではない……おそらくこの中では一番能力的に低いか。


 俺はチラッと二階から出現した貴族風の冒険者に目を向ける……表現としてはなんとも微妙だが、そういう風に形容するのが似合っている。まあ本当に貴族かどうかは不明だけど……感じ取れる気配は他の人間と比べても明らかに違う。

 ローデンから力を与えられた存在なのか、あるいは転生者なのか……俺は剣を受けた男に対しさらに前へ踏み込んだ。途端、相手は苦しそうな表情を浮かべながらどうにか押し返そうとする。


「おっと」


 このまま一気に――そう俺が思った矢先、スキンヘッドの男が横から仕掛けてきた。俺の攻撃を妨害する形で割り込み、こちらは一度回避する。


 ……もし、魔力無効化が効いていなければ、どういう状況になっていただろうか。この中に転生者が混ざっていたとしたら、俺が勝つにしても町は無茶苦茶になっているだろうな。

 さて、敵は……ここでスキンヘッドの男は俺を見据えた。


「結構やる手合いのようだな……人がいるとわかった上でここに単独で踏み込んだ以上、勝算があってのこと、というわけだ」


 事実を確認するかのように呟くと、彼は剣をゆっくりと構え、


「なら――本気を出すか」


 魔力を発する……転生者なのかは不明だが、少なくとも魔力無効化があっても魔力を発露し強化できる……それだけの実力者ってわけだ。


「ローデンから信頼された人間、ってところか?」

「問答に付き合うきはない」


 スキンヘッドの男は告げると、


「ジム=ハイデンだ。一瞬の付き合いになるが……まあ、よろしく頼むぜ!」


 名を告げ、その直後明らかに魔力が高まった。そして俺へと間合いを詰め……それは言葉通り一瞬で片付けるための動きに違いなかった。

 瞬発力と踏み込み、そして剣の技量……魔力無効化という条件下でも魔力を出せることもあるし、相当な実力者ということだろう。間違いなくここにいる五人は、ローデンから何かを託されて潜伏していた。今まで公園や施設などを制圧できなくとも隠れているだけの何かがある。


 五人とも、ここで倒すしかなさそうだ……俺はジムが一瞬で迫る間に、どう戦うか算段を立てた。間近に迫る相手の刃。それに対し俺は――右手に魔力を集めた。

 それをどうやらジムは感じ取ったらしい。こいつも魔力を表に出せるのか……そんな風に顔が語っていた。ただそれは驚愕といった感情ではなく、どちらかというと興味……どれほどの力を持っているのかという、純粋な好奇心だった。


 それと同時に、彼は自分が相当な力を持っていると自負し、どれだけあがこうとも自分には勝てない……という上から目線のような意識も垣間見られた。ジムという人物にとっては、俺の能力が如何ほどのものなのか見えていない……それが勝敗を分けた全てだった。

 戦いはジムの思惑通り一瞬で決まった。俺の剣を相手の剣。それがぶつかった瞬間魔力が弾ける。刀身から離れた魔力は一瞬で霧散し、余波による剣風が舞った。


 そして俺達はまったく同じタイミングで互いの剣を弾くと切り返した。ジムの動きはまさしく達人のそれであり、洗練され見るものを惚れ惚れさせるほどのもの……老剣士が人生を捧げ会得するような技術が、確かにジムの身の内にはあった。

 それは間違いなく驚愕するほどの事実……だが今回、相手が俺だったことが最大の問題だった。こちらは剣を翻し――相手がこちらに刃を振るより前に、一閃した。


「な――」


 斬られると同時に驚愕の声を発するジム……その間に俺は、追撃の剣を叩き込んだ。それで相手は倒れ伏し、一瞬の戦いが終了する。剣には十分な魔力。そして体にはこの場を圧倒できるだけの力が備わっていた。


 残る四人の剣士へ目を向ける。ジムがやられたことにより全員が動きを止めていた。しかし援護するつもりだったのか三人があとほんのわずかで俺を剣の間合いに入れようとしていた……それがこちらにとって好都合だった。

 その攻防もまた一瞬の出来事だった。俺が剣を薙いだ瞬間、三人は同時に吹き飛び、床へ倒れ伏した。唯一、貴族風の冒険者だけが距離を置いていたため、難を逃れた。ただそれは元々一番遠いところにいたため、偶然助かったといった状況だろう。


 四人は全員気絶した。三人は名を告げることすらなく……もし名乗っていたら戦いが長引いたかもしれない。それで負けることはないにしても、逃げられる可能性はゼロじゃなかった。ここについては非常に幸運だった。

 で、残る人物だが……こちらが視線を送ると、剣を構え一歩も引かない構えを見せる。ただこちらの技量は認識したはずだ。


「……おとなしく、捕まってはくれないようだな」

「当然だ」


 ぽつりと……俺のことを見ながら、俺なんて視界に入っていないようなどこか虚ろな視線だった。

 操られているのかと一瞬考えたが、どうやらそういうわけでもない……なんだろう、俺の背後に何かいるような目線だ。


「……何か気になることがあるのか?」


 試しに問い掛けてみるが、反応はなし。まあ情報が得られるとは考えていないけど。


 で、最後に残った人物についてだが……仕掛けるべく攻撃するタイミングを見計らっているのだが、相手がそれを意図的に外してくる。微妙に後退し、間合いを外し……そういうやりとりをしている。

 彼もまた達人級の実力者であることは間違いないようだが……俺はここで、何か違和感を抱いた。目の前の男性……彼は――


「……どこかで、会ったことはあるか?」


 質問に男性は答えない。ただわずかに瞳が揺らいだ。どうやら当たり……いや、正解と断定するのも違うだろうか。

 違和感は消えないが、これはもしかすると……俺はある考えを抱きながら、とうとう相手へ向け仕掛けた。


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