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賢者の剣  作者: 陽山純樹
星の神を求める者

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組織の一団

 その日は、ずいぶんと穏やかな朝を迎えた。天気は晴れ、風も弱く絶好の洗濯日和……という感じの日。


 王城側は警戒はしているが、それを決して表沙汰にはしていない……のだが、さすがに何か動いていることは人々もわかるようで、何か不穏だと噂し合っていた。それに対し王城側は近隣に魔物が発生し、その影響が都にまで来る可能性が……そんな説明を施している。一応それについて効き目はあったようだが、リヴィナ王子の騒動からそれほど日にちも経過していないため、また何かあるのでは……そんな不安を吐露する人も見受けられた。


 そうした状況ではあったが、王城は十分な準備をした……俺達は屋敷で待機する組と、城の中に入り込んで警戒に当たる組に分かれることにした。俺やソフィア、さらにリーゼを含め城を最初に訪れた際、パーティーに参加した面々が城内にいる。まさか再び異国の人間が王城へ……城内の人間にどういった説明をしたのかわからないが、俺達のことを驚くような態度を見せる人はいるにしろ、怪しむような人は見受けられなかった。


 俺やガルクは相手の動向を観察し、馬車で王都へ突き進んでいることがわかった――準備をする最中に先んじて仕掛けることを進言する人間もいたのだが、結局それはしなかった。というより、できなかった。

 そもそも、彼らはまだ何もしていない……組織の行方不明者を引き連れているという時点で干渉する材料がないわけではなかったのだが、現時点で彼らは何もしていない……むしろ、行方不明者を連れてきたという解釈ができなくもない。


 実は道中で大所帯であったためか兵士に呼び止められる機会もあった。そこで彼らは冒険者ギルドとして王都へ戻るという旨を伝えている。持ち物検査などにも応じており、特に怪しい部分がまったくなかった……こちらが攻撃する理由を完全になくしているというわけだ。

 さすがに、国側としてはまだ何もしていない状況で行動を起こすのは難しい……もし仕掛けたら仕掛けたで、何かしら対策を練ってくるだろう。むしろそれが狙いかもしれない……と、いうことで手出しができなかったわけだ。


「何事もなく王都まで辿り着く……敵としては狙い通りだろうな」


 使い魔を通して観察する俺は、そんな風に呟く……ずいぶんと人数の多い冒険者パーティーだが、和気あいあいとしているし、表面上は何も問題はない。

 あと、肝心のローデンについてだが……結局、調査した限りだと誰なのかわからなかった。ここまでの時点で彼らの行動は完璧だった。俺達に存在を露見してはいるにしろ、王都へ来るという目標について止める手立てがない。だから、後手に回るほかない。


『ルオン殿』


 ふいにガルクから声がした。


『こちらは準備が終わった』

「ありがとう……さて、相手が来たな」


 王都の手前に到着。郊外に存在する馬車の停泊所で下りると、彼らは自分の足で追うとの城門へ足を向ける。


『確認だが、城門で止めるというのは無理なのだな?』

「少なくとも、あの一団の中で何か……例えば指名手配されていたりとか、そういうことがわからなければ押し留める理由にはならないな」


 国側としては王都に入らせたくはないはずだが……商人達が彼らを見て怪訝な表情を見せる。人数がパーティーにしては多いのが理由だろう。とはいえ誰かが咎めるようなこともしていない。

 そして、城門へ辿り着いた。彼らは普通に手続きを行い、城門を抜けようとする。


「……ずいぶんと人数が多いようだが」


 眉をひそめる門番の声。そこで男性の一人が、


「ギルドの方で召集命令が掛かったんですよ。ここへ来るまでにほとんどのメンバーが集まってしまいましたが」

「……そうか」


 門番はそう言うと、


「いいだろう。ただし、くれぐれも変な行動はしないようにしてくれ」

「はい」


 ギルド所属だから大丈夫だろう、ということで門番は彼らを通した。さあ、相手はどう出るのか。


「――ソフィア」

「はい」


 観察を続ける中、俺はソフィアの名を呼ぶ。


「一団が王都へ入った」

「わかりました」


 その言葉と共に彼女は駆けていく。城側も情勢はつかんでいるはずだ。いよいよということだ。


「相手はどこか建物に入るか? それとも、宿屋にでも――」


 その時、俺は違和感が生まれた。俺にではなく、使い魔を通して……不自然な、これまでなかったような魔力を感じ取った。

 あくまで使い魔越しであるため、どういうものなのか判然としなかったが……俺は間違いなく敵が何かをしたのだと判断した。


「ガルク、どうやら彼らは魔法を行使している……これまで気づけなかったのは星神由来だからか、あるいは王都に入り込んで発動させたか……」

『後者だろうな。ここまで遠方から観察していたにしろ、魔法を使っていたら気づかないはずがない』


 俺は頷く……既に戦いは始まっている。彼らはどこまで表面上穏当に動けるか……それを推し量っているように思える。

 では、こちらは……その時、一人の騎士が冒険者一団へ近づいていった。


「そこの者達、止まれ」


 言われて全員立ち止まる。大通りの真ん中であり、彼らは騎士に応対するようだった。


「はい、何でしょうか」


 先ほど門番と会話をした男性が口を開く。


「すまないが、君達を見聞させてもらう」

「見聞?」

「国の命令で、冒険者達の身分証などを確認している。城門で行っただろうから二度手間になるが、協力して欲しい」


 ……エメナ王女達の差し金かな。とりあえず、大通りで動きを拘束しておいて、密かに包囲網を完成させるとか。


『ふむ、人が動いているようだな』


 どうやら俺の予想は当たりらしい……少々強引ではあるのだが、このまま城へ迫られたら何が起こるかわからない。よって時間を稼いで相手の手の内を暴こうということなのだろう。


 俺達も協力するべきだが……その直後、冒険者が動く。

 それは明らかに――今までの動きと違っていた。来る、と判断した時、俺は使い魔を通して相手を観察しながら、全身に力を入れた。


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