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賢者の剣  作者: 陽山純樹
星の神を求める者

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イレギュラー

 その日、訓練は中断して夜までひたすら資料とにらめっこをした。いくらか怪しいと感じた点についてまとめ、デヴァルスと話せないかこちらから連絡をとってみたのだが……運良くつながってくれたため、一連の報告を行った。


『転生者か……確かに、紛れ込んでいる可能性があるな。アランのこともあるし、色々と警戒するべきだったか』

「ここまで転生者がいるという兆候はなかったし、考慮していなかったのは仕方がない話ではあるんだが……」

『表面上、ルオンさんの言う物語の筋書き通りに進んでいるから、尻尾を出していないだけかもしれないぞ』

「そういう可能性が一番面倒なんだよな」

『怪しい存在を見つけて、報告すればいいんだな?』

「できるか? けど、そもそもいるかどうかまったくわからないわけだし、無理はしないでくれよ」

『わかっているさ……しかし、転生者か』

「どうした?」

『アランのこともそうだが、同じように知識を持っていても、どういう行動をとるのかはわからないものだな』

「そうだな……俺は目前に脅威があったから強くなった。そして結果的に星神という存在を認識し、対抗できるだけの強さを持っていたから動いた。むしろ俺の方が例外だろ」

『例外……か』

「剣を振れば振るほど、それこそ最終的に神霊すら圧倒するほどに強くなるなんて、普通は考えられないだろ?」

『確かに、な』

「そして俺のやり方は俺にしか通用しない……実際、組織を設立して訓練していた際も色々試したけど、結局俺のやり方は俺にしか通用しなかった……他の転生者だって、もしかしたら同じなのかもしれない」

『ふむ、変な訓練をしているやつがいたら調べればいいか?』

「そういうやり方はどうなんだろうな……? そもそも、俺の手法は奇抜なやり方というわけじゃなくて、ひたすら愚直だからな」


 結局、賢者によりルオン=マディンという人間に転生したことが、俺にとって唯一無二であり、強くなれる条件だったのだろう。他の転生者についてはどうか知らないけど……賢者の影響があるのなら、相応の力を持っていてもおかしくないはずだが――


『……なあ、一ついいか?』


 ここでデヴァルスの声が……いつものトーンと違う。


「どうした?」

『ルオンさんの存在というのは、星神にとって例外的な……それこそ、イレギュラーな存在だと思うか?』

「どう、なんだろうな……? 少なくとも俺は星神が介入した……いや、この世界にいる星神を利用した存在を倒して回っているけど、未来を変えるには至っていないわけだし」

『しかし、邪魔はしているわけだ、ルオンさんの関わったことは、一歩間違えれば紛れもなく世界の崩壊を招いていた』

「……幻獣の出来事については、俺達が介入したからああなったと言えなくもないか?」

『それについては、少し見解が違うな。あの出来事に遭遇して思ったのは……おそらく、あれも崩壊の未来の道筋だった』

「どういうことだ?」

『ルオンさんは、今いるリズファナ大陸で起こる出来事こそが、世界崩壊のきっかけとなると考えているわけだ』

「まあ、そうだな」

『これはあくまで天界の長としての勘なんだが……今回の一件、かなり条件達成には難しいように思える』

「……どうしてそう思う?」

『ルオンさんが魔王討伐を行う際に思ったことと、おおよそ同じだ。リーベイト聖王国の王族を脅かし、それをきっかけに星神が……物語という枠組みであれば、十分あり得る話だが、現実になっている場合、相当難しい』

「裏組織が密かにその出来事を目指しているとするなら……組織単位であれば、十分可能じゃないか?」

『あくまで表層部分に触れた段階での感想だが、そう確信させるだけの材料は少ないな。歴史が古く、星神に触れている者だっているかもしれないが……組織構成員全てをどうにかできるだけの権力を有している人間はおそらくいない。世界を壊す賛同者を得られるにしても……幸運がなければ辿れないと思う』


 調査をしていて感じ入ることがあったということか……。


『俺の考えだが、この世界には火種がいくらでもある。リズファナ大陸の騒動が一番最初で、それに失敗しても幻獣の領域で……と、星神がよみがえるケースはあるというわけだ』

「つまり……俺達はこの大陸内における出来事によって世界が崩壊すると思って行動しているが、実際は失敗する可能性があり、その場合は別の場所で……ってことか?」

『そうだ』

「それなら止めることに意味はあるのかもしれない。ただ、その場合でも……」

『早いうちに星神を仕留める手段を構築しておくべきってところは同じだな。それと何より、当の星神が時間経過ごとに力が増幅していくと仮定すれば、早いうちに対処しておくべきなのも変わらない』


 結論は同じだが……最悪、このリーベイト聖王国の出来事を抑え込むことができれば、星神との決戦を引き延ばせるかもしれない……そういう可能性を見いだしたことは、収穫だろうか。


『まあ、具体的にどうやって星神降臨をさせるのか……というか、この組織の人間がどうやって動いているのかを調べないことには、降臨を止めるという手法も非現実的だが』

「次はそこを調べるのか?」

『んー、どうだろうな。今日調べ回った感想だが、組織の上層部と接触するには時間がかかりそうだ。それに、転生者の一件もある……少し様子を見てもいいな。これ以降、今までのように情報がとれるかは保証はないぞ』

「むしろ今までが上手くいきすぎていたと解釈しているから……時間はあるし、ゆっくり調べてくれ」


 それで会話は終わり、俺は改めて資料と向かい合う。エメナ王女達に渡す資料についても、こちらがわかっていることを参考情報として色々と付け足しておく。

 その作業は深夜にまで及び、まとまった段階で俺は就寝することにした……この日は作業に没頭し続け、結局賢者が見せる夢の続きとか、その辺りのことを考える余裕もなく、眠る寸前まで夢のことすら忘れていたのだった――


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