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賢者の剣  作者: 陽山純樹
真実の探求

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物語の推移

 俺達は、このリズファナ大陸で起きる騒動のことを知っている。だからやりようによってはハッピーエンドにすることはできる……無論それは、星神のことを考慮に入れなければ、の話にはなるが。


「……俺が魔王との戦いについて、どう考えたか話をするか。それが一番参考になるはずだ」


 そうは言いつつ領主フォルナへ目を向ける。彼女だけは事情をよく知らないのだが、協力者ではあるし、聞く資格はあるか。


「私のことは気にしなくてもいい……いや、話の流れである程度内容はつかむぞ」

「……まあ、前提くらいは話をしておかないと、理解できない部分も多いから、概要程度には話すか」


 というわけで、転生した以降のことをかいつまんで話した後、


「重要なのは、魔王を倒す条件だ。俺は知識を有しているし、なおかつ魔族をなぎ倒せるだけの力を手に入れた。でも、肝心の魔王を倒すことだけは絶対にできなかった。それは無類の強さを得たからといって解決できる問題ではなかったためだ」

「賢者の血筋というファクターが必要だったから、ですね」


 ソフィアの言葉に俺は首肯。


「その通り。で、シナリオ……というか、賢者の予知した内容を俺は知識として保有していた以上、とにかく条件を満たすために動こうと決めた。もちろん俺が八面六臂の活躍を見せて大陸を救い、主導的な形で五大魔族を倒して回る、なんて方法もなくはなかった。でも、肝心の魔王がどんな風に動くのかわからない。そもそも大陸へ侵攻するということだけで、魔王の目的についてはわかっていなかったからな……結果論になるけど、俺は賢者の予知した道筋を辿ることで正解だったとは思う。魔王の目的は大陸征服ではなく、大陸を犠牲にして力を得ること……であれば、最悪部下達を見捨てて力を手に入れることに注力していたかもしれない。そうなっていたら、魔王を倒すことはできたにしても、大陸は荒廃していただろう」

「目先の出来事に捕らわれず、大局を見据えていたというわけね」


 カティが声を上げる……俺が能力を行使すれば彼女の郷里だって炎に巻き込まれることはなかった。それに対してフォローはしたけど、できることなら最初から救いたかったはずだ。


「ま、ルオンは全能というわけではないし、生身である以上はやれることも限られていた……そう解釈するのが妥当ね」

「そうだな……」

「その状況は、今も当てはまっていますね」


 ソフィアが述べる。うん、まさしく現状がそれだ。


「星神が出現することは確定。私達としては出現直前に全て準備を調え、現れる場所で待ち構える……これが理想だと思います」

「ああ。違いないな。問題は俺達としてはそこからが本番ってことだけど……ま、今から言っても仕方がないな」

「まずはそこへ至るまでの過程から、ですね」

「その通り……さて、理想的な展開に持ち込むためには当然、リーベイト聖王国における騒動については無視することが得策だ。俺達がいるということ自体が不確定要素ではあるけれど、現在のところ事件は賢者の未来通りに進んでいる……そこで、これを壊して事件そのものを解決するかどうか、相談させてくれ」

「ここからエメナ王女はどんな風に動くのかしら?」


 リーゼが問う。それに俺は、ゆっくりと説明を始めた。

 現在、エメナ王女は仲間と共に王都へ向かうべく突き進んでいる。しかし、道中でリヴィナ王子が――というより、王子の一派がよこした刺客に襲われる。それによって王女はこのまま帰るのは危険と判断し、まずは王子を糾弾する材料を集めることになる。


「星神の研究には外部協力者が必要だ。エメナ王女はリヴィナ王子がやっていることは把握しているわけだから、彼が懇意にしている者達……王子を支持する領主などを回って糾弾できる証拠を集めることになる」

「だからリーベイト聖王国内を回ることになると?」

「そうだ」


 ゲーム的な視点で見ても、あちこち国内を回ることになるので都合が良い。中には国外に出る……俺達が立ち寄ったトルバスへ訪れるということもあるようだ。


「そして、明確な証拠と星神に関する情報を手に入れる……証拠については、別の場所だが星神のことについては……ここだ、フォルナさん」


 俺はフォルナと視線を合わせる。ただそれは予想できていたようで、


「そういう流れであれば、自然ではある……が、私自身は星神の研究について秘匿している。何故ここに情報があるとわかる?」

「ここに務めていた人の情報だ」

「ああなるほど、仮にエメナ王女が身分を明かし情報を調べていると聞けば、私のことを言及してもおかしくはないな」


 納得するフォルナ。そこで俺は話を進める。


「そして、エメナ王女は王都へ帰還する……この時点でリーベイト聖王国内では不穏な空気が流れ始めている。身分を隠しているとはいえエメナ王女とその一行が狙われているんだ。何か騒動があるんじゃないかと、人々が噂にし始める。そこにきて現国王もどういうことなのかを調べ始める。で、リヴィナ王子もエメナ王女にけしかけていることは寝耳に水……どうやら執拗に刺客を送り続けていたのは、完全に支持者の独断専行らしい」

「王子はそこからどうするの?」

「とはいえ、王女を放置することはできない。証拠を得ているなんていう情報まで保有していることを王子は理解するからな。そこで、あえて王女を誘い出した。それはもちろん王都ではなく、別の場所……そこで決着をつけることになる」

「王子と王女の対決、というわけか」


 腕組みをしてフォルナは呟く。思うところはあるだろう。まして彼女もまた当事者なのだから。


「……王女がここを訪れたら、必要な情報は渡すぞ?」

「ああ、それでいい。俺達が姿を現すかどうかが問題だな。密かに護衛を付けている以上、王女は俺達がまだこの大陸にいることを認識しても驚きはしないだろうけど」

「私達がどこまで干渉するか、ですね」


 ソフィアが重い口調で語る……まずはそこだ。


「では、それについて相談しようか」


 俺の言葉により、いよいよ本格的な話し合いが開始となった。


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