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賢者の剣  作者: 陽山純樹
真実の探求

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仲間との検討

 その日の午前、エイミの語った内容について気になり、作業は遅々として進まなかった。よって早々に切り上げて町中を散策。彼女から渡された宿について下見を終えてから、昼食時に仲間達と合流し、話された内容を語った。


「……ふむ、本物と考えて良いかしら」


 俺の説明を受けた直後、リーゼがそんな風に呟いた。


「ルオンが大陸外の人間であることに加え、さらに遺跡について調べていた……そこから情報を提供するというのは、なんというか出来過ぎな気がしないでもないけど」

「……俺達は、予言に従いこの大陸で星神のことを調べ始めた」


 俺は頭の中で色々と整理して、口を開く。


「それはエイミの主と引き合わせることを意味していたのかもしれない……と、彼女から話の内容を提言された時に思った。疑問点は山ほどあるけれど、俺達が予言によって導かれたことを考えると、それに近しい能力を持つ存在がいても、何らおかしくはない」

「けれど、出会って二日目……人となりなんかもわからない状況であっさりと情報を開示するというのは、疑問ではないかしら?」

「一日目、俺のことを訊いてエイミという女性は俺のことを主に連絡したんだと思う。それで話をすべきか判断を仰いで、結果的に話を持ちかけることになった」

「ふむ、それなら一応筋は通るのか……」

「ルオン様は」


 ソフィアが横から割って入る。


「今回の件、どのようにお考えですか?」

「……俺は、予言のような超常めいた能力を持っている存在がいると考える。現状から考えると、そのくらいしか俺達に話を持ちかける理由が見当たらないからな」

「私達はシェルジア大陸の人間であり、また同時に星神のことを調べていた……その二つに加え、何かしら判断基準があったと」

「そうだ。超常的な能力じゃないにしても、例えば大陸外の情報を集めていて、俺達のことを知っていたとか……この大陸においてルオン=マディンの名は知られていないけれど、他の大陸では色々と名前が上がっている……様々の大陸で情報を集めていれば、俺の名だって手に入るかもしれない」


 ただ、それにしたって疑問は残る。俺達と会うことが目的であるのなら、わざわざこんな場所で待たずとも、直接合いに行けばいいだけの話だ。エイミの主人が何らかの理由で動けないにしても、エイミ本人は動けているし、この大陸から外に出る手段だってあるはずだ。

 だからまあ、ルオンという名前に反応したという可能性は、おそらくない。エイミの主人については、この大陸に星神のことを調べに来た人間……それを探して俺達が適合したと考える方がしっくりとくる。そうであっても疑問ばっかりだけど、これはたぶんエイミの主人に会えば理解できる何かがあるのだろう


「結論としてはどうするの?」


 カティがパンを食べながら尋ねてくる。ソフィアやリーゼも言葉を待ち、フィリはどこか緊張した面持ちでつばを飲み込んだ。


「……核心的な情報を持っている可能性が出てきた以上、主人とやらに会わないわけにはいかない。ただその場合、一つ問題が残る」

「現在の調査を続けるか否か、ですね」


 ソフィアの指摘に俺は深く頷いた。

 最大の問題は、現状の調査を放り出してそちらへ行くかどうか。どのくらいの期間でここに戻れるかわからない以上、どうすればいいのか迷うところだ。


 エイミの主人が欲する情報を持っていたのだとすれば、ここでの調査は必要ない。だから仲間全員で行っても問題はないのだが……もしハズレだった場合、調査の期間をみすみす逃すことになる。それは下手すれば俺達にとって致命的な時間ロスになるかもしれない。


「分担するというのは?」

「……それも一瞬考えたけど、もし星神の核心的な情報であるとしたら、同行すべきなのはカティやソフィアになる。まさかフィリやリーゼに調査を任せるわけにもいかないし」

「そうね」

「俺にはわからないですからね」


 リーゼとフィリが相次いで表明。うん、どちらにしろ調査は中断する他ない。


「……エイミの主人がどこにいるのかが問題だよな。このトルバスから近かったら大したロスにはならないから、全員で行ってもいいけど」

「その辺りを訊けばいいのではないかしら?」


 もっともなリーゼの意見。うん、ならば、


「ソフィア、カティ。午後からの調査は一時中断して、エイミという女性と引き合わせることにするよ」

「わかりました」

「ま、それが無難ね」

「さすがに彼女が事の詳細を詳しく喋ることはないだろうから、後は俺達の判断になってしまうけど……有力な手がかりかもしれないんだ。これを逃す手はない」


 というわけで決定し、俺達は食事を終えると早速エイミがいる宿屋へ向かうことに。


「そういえば食事中に確認しなかったけど、リーゼ。情勢に変化はなしか?」

「さすがに一日二日で変化はないわよ……エメナ王女については?」

「もう少しってところだな……下手すると物語が始まるタイミングで全てが明らかになるかもしれないけど」

「そうなったら理想的な展開よね」

「そうだな……ただ、物語がどう転ぶかわからないし、注視しなければいけないわけだけど」


 エメナ王女の旅路に意識を集中させることができるのであれば、それに越したことはないよな……まあ俺達が直接介入するわけじゃないが。

 ここで気になったのは、エイミとその主人は物語の登場人物だったのだろうか、ということ。今回のエピソードが星神に関しての核心的な話とするなら、登場人物であってもおかしくはない。ならば俺達が介入するのは……いやでも、エイミの主人は他大陸の人間を探していたことを踏まえると、主人とエメナ王女が関連するかどうかはわからないな。むしろ関係なさそうにも思える。


 その辺りはさすがに解明されることはないだろうけど……色々と気になることを頭に思い浮かべながら、俺達はいよいよエイミの待つ宿へと辿り着いた。


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