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賢者の剣  作者: 陽山純樹
真実の探求

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再出発

 船に揺られ数日後、俺達は所定の場所に辿り着く。そこは小さな島……というより、諸島と言った方が良いだろうか。

 俺達のシェルジア大陸とリズファナ大陸との間には、島国がいくつか点在している。交易などを行うための中継地点として利用することもできるため、今後リズファナ大陸と結びつきが強くなれば、自然とこうした場所も開発されていくことになるだろう。


 俺達は船を停泊させ、宿へ。そこに、


「お、来たな」


 仲間――アルトの声だった。組織メンバーの代表として、ここへ来てもらう手はずとなっていた。彼の近くにはキャルンとイグノスもいた。


「こっちの船は出港準備ができているぞ」

「ありがとう……それじゃあ、俺達が乗ってきた船に乗って戻ってくれ」


 彼らの任務は船の護衛……さすがに海上で敵と戦うなんてことはないと思うのだが、念のために組織の人員を配置したわけだ。

 情報収集の必要性から、このタイミングで組織メンバーを全員引っ張り出して……というのも一応考えたが、さすがにシェルジア大陸側をおろそかにはできないし、今回は会談に同行したメンバーだけで乗り切ることにする。


「会談はどうだった?」

「すこぶる順調だよ……肝心の星神に関する情報についても、一応候補になりそうなものには辿り着いた」

「ひとまず、即座に舞い戻って動けるようにはできたわけだ……ただ、あんまり明るい顔じゃないな」

「時間との勝負なのが明確になってきたからかな……正直、かなり分の悪い戦いだと思う」

「けど、やんなきゃいけないと」


 キャルンの言葉。俺は頷き、


「ああ、そうだ……というわけで、俺達はすぐに出航する」

「おう。気をつけて」

「そちらも」


 互いに笑みで応じた後、俺はソフィア達と共にアルト達が乗ってきた船へ。大きさなどは同じだが見た目は異なる。交易船であり、実際にリズファナ大陸へ赴いて色々と貿易をする船である。

 海で商売をする商会に話を付けて、今回船を利用させてもらうことになった。その代わりこちらは護衛などを行う……という条件だ。後は俺達が帰れるようにリズファナ大陸へ留まってもらう……バールクス王国から正式な依頼だし、商会側も二つ返事で快諾した。それと都付近の港に行かなければ、俺達が戻ってきたことが露見する可能性は低いはず。


 目的地と定めた自由都市トルバスは会談を行った王都からずいぶん離れているし……見知った顔と鉢合わせする可能性は低いだろう。念のため、注意は必要だけど。

 俺達はすぐさま船に飛び乗り、出航する。忙しない動きだが、時間との勝負である以上は仕方がない。


「よし……」


 ここまでは予定通りに事が進んでいる……問題なく大陸まで舞い戻ることができそうだ。俺は船上で仲間を集め、今一度話し合いをすることに。


「現在、王女は順調に霊峰へと進んでいる。旅程から考えて、護衛が間に合うのは間違いない」

「確認だが、俺達はあくまで動向を見守るってことでいいんだな?」


 ラディの確認。こちらは頷くと、


「エメナ王女が旅立つ前、再度どういう風に支援するのか話し合った。基本的に隠れつつ行動してもらえればいい。王女自身が状況を把握している以上、隠れていてもこちらの動きに合わせてもらえるみたいだし、道中は問題ないと思う」

「問題は旅の期間だな」


 シルヴィが言う。俺は「そうだな」と同意し、


「エメナ王女とリヴィナ王子の争い……これがいつまで続くのか。王女が王都に戻ることができればひとまず護衛完了と言いたいところだが、リヴィナ王子をどうにかしなければ、根本的な部分は解決しない」

「しかも王子は星神に関する研究を行っている……」

「たぶんエメナ王女がそれを白日の下に晒す、というのがシナリオの大筋になってくるとは思う。その中で彼女は星神についても知ることになる……この情報が、俺達の求めているものである可能性は極めて高い」

「しかし、それが旅の終わりであったら、星神はすぐにでも降臨してしまうかもしれない」


 ラディの提言。そこで俺は深々と頷いた。


「物語の骨格部分は理解できた。けれど中身……話の長さまではわからない。この騒動は短期間で終わるかもしれないし、あるいは長期間の旅路になるかもしれない。あるいは王子をどうにかしても、また別の人間が動き出してしまうかも……こちらが情報を得るまでは、待っていて欲しいところだけど」


 そんな上手くはいかないだろうけどな、と内心で付け加えておく。


「現在、俺の使い魔は遠方からエメナ王女と従者の姿を捉えている。今のところは順調で、問題はない。で、シルヴィとラディの二人には俺から別の使い魔を用意する。もし何かあったら何かしら合図をしてくれ。それで情報交換をしよう」

「別の使い魔?」

「ネズミ型の小さなやつだ。懐にでも忍ばせて、何かあったら声を掛けてくれ」

「なるほど、それなら簡単に連絡できるな」


 そうやって打ち合わせを行う……基本的にラディとシルヴィ以外の面々は俺と共に情報収集に邁進することになる。人員的に大丈夫なのか、多少不安はあるが……ソフィアを含め、この場にいる面子は星神のことは頭の中に叩き込んでいる。情報の候補となる文献などについても、調べればある程度推測できるはずだ。


「他に何か質問はあるか?」

「それじゃあ私から」


 リーゼが小さく手を上げた。


「有力な情報が見つかった場合……それが例えば山中にある遺跡に眠っているとかだったら、どうするの?」

「場所や情報収集がどこまで進んでいるのかで、判断が変わるな……確度の高い情報ならそちらへ注力するのも手だが……基本は別行動だな。常に情報収集を行っている人員がいないとまずいとは思っている」

「確証が得られない限り、誰かが情報集めをし続けるというわけね。了解したわ」

「リーゼとしては不満か?」

「いえ、大丈夫。こう見えても資料漁りとかは好きなのよ?」


 ……そういえば彼女、バールクス王城でも結構率先して調べていたな。武闘派ではあるけど、知識についても貪欲……だからこそ、途中で入ってきても俺達の能力に食らいついていると言えるか。

 残る懸念は遺跡についてだが……ダンジョンといっても、俺達の敵ではないか。ただ求めるものがあるのかわからないので、短期間で調べる必要性がある。これは、以前入り込んだ迷宮と状況が似ているな……と思いつつ、俺は他に質問者もいないため、話し合いを終了することにした。


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