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賢者の剣  作者: 陽山純樹
真実の探求

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武具に対する疑問

 奪い取った剣を利用しながら俺達は魔物の撃破に成功。怪我もなく対処できたのはラッキーだったが……想像以上にまずい敵なのだとわかった。


『今はまだ魔物達が武具のポテンシャルを発揮できていない』


 右肩に現われた子ガルクは、魔物が消え失せた場所を見据えながら述べる。


『よって、対処は容易だったが……あれらの武具を利用して攻勢を掛けられた場合、非常に面倒なことになるな』

「……今回出現した魔物達は、全てオリジナルの武具を装備しているのか?」


 疑問にガルクは『わからん』と答えた上で、


『もしそうであればもう一つ疑問が生じる。これだけの武具を一体どうやって手に入れたのか? 天使の遺跡に存在していたにしろ、魔王は何かしら確信を持っていなければこれだけの数を集めることは困難なはずだ』

「そうだな……あと、数があるならこの大陸における戦いでも使っておかしくないはずだったけど」

『研究により魔族が使えるのか確信が持てなかったのだろう。五大魔族グディースが行っていた研究を考えれば、あのまま戦いが長引けば使っていたのかもしれん……ともあれ、魔物に持たせるだけの数があるというのは、魔王が侵攻した際に収拾していたと考えるのが妥当だろうな』

「……だろうな」


 同意しながらも俺は周囲を見回す。既に武具については回収しているのだが、これをどうするか。


「ガルク、ひとまず保管を頼めないか?」

『うむ、召喚魔法の応用でここに武具を入れる物を呼び寄せることは可能だが……』

「俺の方でも一応できるけど、ガルク達の方で管理した方がいいだろ」

『わかった』

『――ルオン様』


 ソフィアの声がした。使い魔による通信だ。


『魔物についてですが、撃破しました。こちらの敵も全て天使の武具……しかも本物を使用していました』

「かなり面倒だが、これを放置すればまずいことになる。ここで止めないと」

『はい……ただ、手に入れた武具をどうしようかと』

「放置するのもまずいよな……なら、一度村へ戻るか? こちらはガルクに頼んで武具を収納。探索を続行できるけど」

『そうですね、このままにしておくのはまずいですし、一度戻ります』

『ルオン、こちらも魔物と交戦し撃破した』


 今度はシルヴィの声。


『怪我人もなし。武具については回収して一度戻る』

「了解……ちなみに使ったりはしたか?」

『エーメルが興味あるような感じで使っていたよ。彼女でも扱えていたが、ピリピリすると言っている』

「ピリピリ?」

『魔族と天使の武具はやはり相性が悪いようだ。使えるようだが、魔力を思った以上に消費する上、多少なりとも腕が痺れると。反発しているんだろ』


 なるほど、強力ではあるが魔族へ使用する場合はそれなりに手順を踏む必要があるってことだ。

 エーメルの言う副作用については短時間使うのであれば問題はないけど、常に使い続けるのならまずいからな……こういう問題があるから、魔王としても使うことができなかった、ってことか。


 あるいは、人間達との戦争に打ち勝った後のことを考えていたのか……どちらにせよ、日の目を見ることはなかった。しかし今回、それが表に出ている。


「俺達は探索を続行する。再び山に戻ってきた場合は報告を」

『わかりました』

『了解』


 ソフィアとシルヴィが相次いで返事を行う。通信が切れ、俺達は再び山へ足を向けることとなった。






 再び行動を開始したわけだが、以降は敵の動きもなく俺達の探索は苦戦を強いられた。さすがにオリジナルの天使の武具まで用いて攻勢を掛けたのに失敗したわけだ。引きこもってしまうのも無理はない。

 俺達にとっては危険も少なくなり敵の拠点を見つけ出すチャンスではあるのだが……敵の居所はつかめない。


 首謀者の能力は不明だけど、魔物の技量を考えれば生成者自身はそれほど強くないと思うのだが……このままだと何の成果もなく引き返すことになってしまう。

 さすがにそれは避けたいのだが……どうすべきか相談しようかと仲間へ視線を向けると、フィリが山をじっと見据えていた。


「どうしたんだ?」

「いえ、怪しい動きがないかと思いまして」

「山の上はさすがに根城にしないと思うけどな……魔物を俺達にけしかけるのなら戦いやすいかもしれないけど」

「そうとも言えないかもしれないわよ?」


 と、俺の言葉にカティが反応した。


「例えば、そうね……この山は神聖な山ということであんまり人の手が入ってこなかった。とすれば、未踏波の遺跡とかが存在している可能性もあるのでは?」

「む、確かにありそうだな……そういう場所を根城にしているとすれば、ここまで見つからないのも納得はいくけど」

「遺跡の場所を全部把握するのは無理なのかな?」


 コーリが小首を傾げながら疑問を告げる。そこで俺は、


「デヴァルスさんに一度尋ねたことがあるけど、古の天使に関する情報は皆無だと言われた。またアンヴェレートにも聞いたけど、さすがに全部の拠点は把握していないってさ」

「ということは、遺跡があっても地道に探すしかないと」

「そうだな……山の上にあるのなら心底厄介だな。登るための装備だって必要だし」

「今よりさらに重労働になるわね」


 辟易するような声音でカティが呟いた。


「とにかく、今は山の麓を調べ回ろう」


 そこで俺は話をまとめることにする。


「それで見つからなければ、本格的に山へと入る……敵としてはそれを待っているのかもしれないし、もし交戦となったらおのずと拠点の場所が絞られてくる」

「それまで敵は動かないと思いますか?」


 フィリからの質問。俺は一考し、


「微妙なところだけど、今回の襲撃は天使の武具を持たせていたわけだし、かなり本腰を入れていたはずだ。それを余裕ではね除けられたことに加え、武具も奪われた……敵としても次の一手を打つのに時間が掛かると思うぞ」

「逆に攻めてきたら……」

「今以上の戦力を投入するか、あるいはまったく別の方法をとるか」


 魔物をさらに強化し、天使の武具を持たせて……といっても俺やソフィアならば対応はできるだろう。相手方としても単に天使の武具を装備させただけで手に負える存在でないことは認識しただろうし、様子を見るとは思う。

 もし予想外に攻撃を仕掛けてきたら、今度は一層警戒しなければ……俺はフィリ達へその旨を警告した後、さらに歩を進めることにした。


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