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賢者の剣  作者: 陽山純樹
星神の使徒

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他種族の魔法構築

 使徒に対する作業中に、訓練場へ赴く……そうした行為は幾度となく行われたが、今回もまた特異な内容だった。


「よーし、それじゃあ始めるか」


 デヴァルスが気合いを入れるように声を上げる。一体何をするのか皆目見当がつかない俺としては、ただ流されるだけである。

 ここにいる面子は俺にデヴァルスと、ガルク(本体)。他にも呼んだらしいのだが、今日は忙しくて来れなかったらしい。


 で、それに加え何かあると聞きつけたかソフィアとリーゼが来ている。


「二人は別にここにいなくてもいいんじゃないか?」

「息抜きよ、息抜き」


 リーゼはそんな感じで返答した。まあ、気分転換になるならそれでいいけどさ。


「で、何をするんだ?」

「早速やるとするか。まずは、そうだな……神霊ガルク」

『うむ』


 俺へ近づくガルク。思わず身構えそうになるのだが、


『自然体のままでいてくれればいい。そして指示をした瞬間に、その通りに動いてくれればいい』


 俺は頷き待つことに。するとガルクは自身の体から魔力を発すると……俺を取り巻くように漂わせる。

 加え、その魔力が内側に入り込んでくる……といっても、例えば体の自由がきかなくなるとかそういうわけではない。そういう効果の魔法は効かないように俺は防具を調整しているのだが……これは無害みたいだ。


『ではルオン殿、いつものように魔法を使ってみてくれ』

「障壁はこちらで構成しておく」


 デヴァルスは俺の真正面に魔力障壁を構築した。


「光弾か何かを撃ち出す魔法でいいぞ」


 それなら『ホーリーショット』かな。俺はガルクの指示に従って魔法を発動させようとした……のだが、次の瞬間異変が生じた。

 チリ、と魔法を使おうとした指先に熱いものを感じた。加え、そこからザワリと体が何が起こったのかと緊張し始める。


 おそらくガルクが何かをした――と思った矢先、今度は視界に異変が生じた。といっても空間が歪むとか、そういう類いのものではない。それは魔力――大気に漂う魔力を、光の粒子のように視覚に捉えている。

 さらに自分が魔法を放とうとする腕に魔力が伝うのを感じると、その魔力が体の内側を流れる感覚を明確に感じ取った。いつもならば熱が体の奥底から腕先へ流れるような感覚なのだが、今は違う。右腕を見れば、まるで透けているかのように、体の内側に存在する魔力が見えた。

 いや、それは実際に目で見ていたわけではない。どのように流れているのか……それを目で追うことで容易に想像できる、と言えばいいか。


「これは……」

『魔法の放ち方一つとってみても、やり方は人間とそれ以外では異なる』


 ふいにガルクが話し始めた。


『もっともそれは魔法の威力に関係はしない。あくまで魔法の使い方が違うというもので、違うから威力に強弱が出るとは言えないが……人間のやり方は少しばかり非効率なのは事実だ。基本、人間は目で魔力の流れを追うことはできない。そのような道具などを使っていれば話は別だが、そうでなければあくまで感覚で魔力を捉えることしかできないわけだ』

「けれど、精霊達はこのように目で追える……」


 つまり俺が見ている魔力の流れは、言わばガルクを始めとした精霊達が見ている世界なのか。


『加え、魔力の発動させる手法についても少しばかり違う』


 それはすぐに俺も理解した。光弾を放とうとした時、普段ならば腕から伝わってきた魔力が指先から放出されるのだが、今回は違う。手のひらに集まった魔力が一度滞留したかと思うと、手先に備わっていた元々の魔力と結びついた。

 言ってみれば、手の先に存在する魔力を取り込むことで威力が増した……『ホーリーショット』を放つ。障壁に直撃したのだが、俺が想定しているよりも、威力があるかもしれない。


「魔力の流れを理解するのに便利だろ?」


 デヴァルスが告げる。なるほど、精霊の技法を体験させて、参考にしてもらおうという魂胆なのか。

 ただ彼の言うことも一理ある……そして同時に彼が語っていた常識に囚われているという言葉も頷ける。俺は魔法を放つ手順については変えようがないことだと思っていた。しかし、ガルクが行う手法を目の当たりにして、それも改善できる可能性を見出した。ただ、


「これ、俺が真似るのは無理だよな? 自分なりに方法を模索しろってことか?」

「神霊と同じ魔法の構成方法をそのまま人間が扱うなんてことは、まあ難しいだろうな……しかし、これは普通の人間だった場合の話だ」

「俺は違うと言いたいのか?」

「ルオンさんはそれこそ、前世の知識を生かして魔法を習得した。イメージによって、神霊を圧倒できるほどの力を持ったわけだ。それ自体かなりとんでもないことだと思うし、また同時にそういう経緯で魔法を習得したからこそ、もしかしたらいけるんじゃないかと思っている」

「神霊のように魔法を扱えると?」


 にわかに信じがたいけど……疑うような言葉を投げかけると、デヴァルスは肩をすくめた。


「ルオンさんの存在は魔力の質からもわかる通り、極めて特殊な存在だ。だとすれば、イメージだけで技法を変えることができるかもしれない……まあ、こちらの目論見が仮に成功しなくとも、こうして神霊のやり方を学ぶことで色々と参考にはなるだろ? どちらにせよ、こうして体験させることに意味はあるのさ」

「……あの」


 ここでソフィアが小さく手を挙げた。


「私が体験することも可能ですか?」

『可能だが、ルオン殿のように体験を通して我と同じように……というのは、厳しいかもしれんぞ』

「その口ぶりからだと、俺ならできそうって言いたいようだな」

『ルオン殿ならば、まったく同じというのは厳しいにしろ、何かしら技術向上の糸口にはするだろう』


 ずいぶんと買われている……が、まあ俺の成長性を鑑みればそのくらい期待しても当然なのかな?


『我の方は終わりだが、そちらはどうする?』

「それじゃあ今度は俺の番だ」


 次はデヴァルスの方らしい。ここに来て俺としてはずいぶんと興味が出た。天使はどのように魔法を使っているのか……しかも天界の長だ。是非とも参考にさせてもらうとしよう――


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