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賢者の剣  作者: 陽山純樹
星神の使徒

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呼び寄せた者

「星神に由来しているという可能性は十分あり得る……が、星神そのものの行動を考えると、矛盾が出る。そもそも星神に統一した自我が存在するのか、などという検証も必要だが、そこは置いておくとして、だ。重要なのはルオンさんが誰に呼ばれたのか」


 ジンは俺へ向けそう語る。個人的にはどうやってルオン=マディンに転生させたのかとか気になるけど……まあいい。話の本筋とズレるし。


「そもそもルオンさんを転生……いや、アランという人物もまたこの世界へ転生したことを踏まえると、何者かの意図によるものと考えていいだろう。アランに対する星神の扱いについては、ルオンさんの話を聞く限りでは星神自身が呼んだ、とは思えない雰囲気がある……」

「確かにそうだが……で、俺の魔力の質的な問題もあるよな?」

「無論そこも説明できる。つまり俺はこう考えたんだ。星神そのものではなく、星神の力を手にした存在が、星神を倒すためにルオンさんなんかを転生させた、と」


 星神を……倒すために?


「例えばそれは星神に挑むために試行錯誤した結果、と考えてもいいんだが、そうするとルオンさんの魔力の質について疑問も残る。だがこう考えてはどうだ? その何者かは星神の力を利用している……あるいは星神の魔力の中で策謀を巡らせ、動いた」

「そうして俺やアランを転生させた、と?」

「そうだ」

「魔降の存在からあったように、星神を打倒する勢力がどこかにいるという可能性も考えられるけど……」

「それも一つだが、ルオンさんについての疑問が解決しないだろ?」


 ジンの言うことはもっともだが、俺の魔力に関することと結びつけるのも無理矢理な気がしないでもないが……でもまあ、俺の存在自体が異様だからな。つなげたいというのも理解はできる。


「だが、その仮定が確かだとすれば……俺を呼んだ存在は星神の中にいるということか?」

「そこで、ルオンさんの前に現われた存在だ。ネフメイザという敵と戦った後に、他の時とは異なる邂逅を果たした……これはもしかすると、その時だけルオンさんに会えたのかもしれない」

「星神を止めようとしている者が……ということか?」

「そうだ」


 現状、保有している情報からすれば一応理屈としては成り立つか……ジンの話には続きがあった。


「では、それは一体誰なのかについて……ルオンさんは候補があるのか?」

「ないよ。わかるのは異世界に干渉できるだけの力を有していること……その仮定であれば、星神の力を利用して実行したってことかな。とにかくその力を持っていることだけだ」

「そう……最大の問題はそれが誰なのか」


 ――なんとなく答えが予想できた。もったいぶった言い方になってはいるが、この場にいる全員が同じことを思っただろう。つまり、


「それはおそらく……古の賢者、という可能性を思い至ったわけだ」

「言いたいことはわかるけど、賢者が関与しているのか、というのはどうなんだ?」

「賢者は魔王と戦い、世界各地を回った。幻獣の住む場所にさえ来た。それはおそらく、魔王以上の……巨大な存在と戦うための何かを探していたということだろう」

「しかしそれは果たされず、星神の中へ……?」

「自分の力で抑え込むつもりだったとか、そういう可能性かもしれない」

「まあ、わからなくもないけど……」


 賢者か……とはいえ、無関係というわけでもない気はしてくる。

 そもそもゲーム上でも賢者がどういう生涯を終えたのかまでは詳しく語られていなかった。ゲームの情報がどこまで正確なのか今保有する情報では確証が持てないのは事実だが……ある程度正解だとすれば、ゲームでは後々語るべくボカした表現だと解釈することができる。


 ゲーム『エルダーズ・ソード』の新作が星神に関すること。そして賢者の設定……メタ的な考えになるけど、この二つが何かの形で関連していてもおかしくはない。


「……私達は、賢者の末裔です」


 と、ソフィアが語り出す。


「そうした私達にも、何かあるのでしょうか?」

「わからない……が、もしかするとこの戦いで賢者の何かを感じることができるかもしれない。もしそうであれば、確定だろうな」


 今後の情報次第ではあるけど……ただまあ、賢者が関与していたからどうなのだ、と言うのが実情だ。もし賢者について何かしらもっと調べることができたなら……そちらのアプローチから星神を切り崩せる可能性はありそうだけど、現状では時間もないし厳しいかな。


「今回の戦いだが」


 と、今度はデヴァルスが口を開いた。


「星神の使徒という存在である以上、もし賢者が星神の中に宿っているのなら、何かしら反応があるかもしれないな。もっとも、だからといってこの戦いで活用できるかは微妙だが」

「そこは仕方がないさ。ただこの仮説が正しいとするなら、星神との戦いで選択肢を増やせるかもしれない」


 賢者と話をすることができればなあ……ネフメイザと戦った時に邂逅した存在が賢者であるならば、どこかでもう一度顔を合わせたいところだ。

 あの時、彼は待っていると言っていた。そもそも彼はどこで待っていると言ったのだろうか? 星神の中か? それとも、どこかにそうした場所が存在するのか?


「賢者について調べてみますか?」


 ソフィアが問う。彼について詳細を調べるのも一興ではあるのだが、


「今回の戦いでは役に立たないだろうし、ひとまず棚上げでいいとは思う。もし、俺達が準備する間に何かしら干渉があったとしたら……それはそれで対応すればいいさ」


 そういう結論に至った。ただ賢者との関連性があるかもしれないという結論は、星神との立ち回りについても色々と考えさせられるな。


 なおかつ彼はどこで星神の情報を得たのか。もしかして魔王から直接とか? あり得ない話ではないか。例えば彼がなぜ世界を滅ぼそうとするのかと問い掛け、魔王がそれに応じる……その結果、彼はこの世界に眠る強大な敵を知ったとか、そういうヒロイック的な展開とか頭の中に浮かべる。

 魔王自体、様々な思惑による行動だったからな。賢者の真摯な問い掛けに対し真面目に答えた可能性はある。


 ともあれ、色々と情報を整理して推測はしたが……謎も同時に生まれた。この解決は星神の使徒を倒してから――というわけで、俺はこの場で話を終了とした。有意義な時間ではあったが、使徒との戦いには活用されることはないかなと思った。


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