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賢者の剣  作者: 陽山純樹
星神の使徒

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力の結集

 俺はひとまず技法について試さないか、という提案を行った。現時点でまだ連携も何もあったものではないのだが、どういうものなのかを理論ではなく実戦でやってみた方が検証もしやすいだろうということだったのだが、


「多少危険もあるため、口にはしなかったが……一番反動が大きいのはルオンさんだぞ?」

「俺なら平気……かどうかはわからないけど、その辺りのことを含めて試したい。俺の方も魔降の武具については実際に試さないといけないし、それは早い方がいい」


 デヴァルスとしては下手に怪我でもされると……という考えみたいだが、俺の言うことも一理あるはず。どう答えを提示するのか――


「……ま、確かに指標がないというのは問題かもしれないな」


 俺の意見に対し、肯定的な意見を述べた。


「よし、やろう。ただし、今回はあくまでお試しだ。現在時点でどのくらい力を出せるのかなど。推し量る」

「わかった」


 ――そういうわけで、俺達は訓練場へと今一度集まった。ただし今回は午前中とは趣が異なり、話し声など一つもない。


「……さて、やるのはいいが問題は収束した魔力をどうするか、だな」


 デヴァルスは周囲を見回しながら呟く。状況としては俺が訓練場の中心に立ち、他の種族達が周囲を固めている形だ。

 六角形の頂点にそれぞれ立っている、と表現すべきだろうか。俺の真正面――訓練場の入口を背にして立っているのがソフィアを始めとした精霊達。そこから時計回りに竜の面々に天使達。背後にエーメルやオルディアといった魔族組がいて、その次にジンや、彼に協力する組織の戦士組。そして最後に人間組、といった形になっている。


「デヴァルスさん、これって配置場所も考慮に入れているのか?」

「あー、その辺りも実際に試して考えるつもりだったな。天使達と魔族達とでは相性が悪いかも知れないから、隣同士は良くないか……いや、反対側とかの方がまずいのか?」

「疑問系なのか……まあいいさ。ここで解決すればいいだけの話だからな。で、俺はこのまま立っていればいいのか?」

「そうだな……あ、ちょっと待ってくれ」


 そう述べた後、彼はいくらか配下の天使に指示を出す。すると天使達は何やら魔法を使用。それは俺の頭上で形を成した。


「魔力障壁だ。収束した魔力を留めておくことができなければ、上に撃ってくれ。攻撃用でも下級魔法くらいなら大丈夫なくらいの強度を持たせている」


 今回はあくまでお試しだからな……俺としてもそこまで気合いを入れて魔法を使うこともないだろうし、とりあえず建物が壊れるようなことはないか? フラグのようにも思えてしまうけど……ま、まあ大丈夫だろ。

 デヴァルスはそこから周囲に指示を出し、中継者となるメンバーが前に出る。精霊はソフィア。竜がロミルダで天使は俺が生み出したレスベイル。魔族がオルディアでここまで一人。幻獣についてはラディが一番前に出て、その後ろでカティとクウザが支援する形。そして人間組については、リーゼが先頭に立っていた。


「そういえば……人間の力を結集したものというのは?」

「現段階で試作品の物を用意した」


 デヴァルスの説明はそれだけ。さすがに急な話だったしまだ人間側も準備は完了していないか。


「よし、それじゃあ始めるぞ。ルオンさんも準備を」

「ああ」

 俺は魔降の迷宮で手に入れたペンダントを取り出し、首にかける。使い方としてはこのペンダントへ魔力を注ぐ形になる。


 壊れてしまったらそれまで、というか迷宮に入ったことが徒労に終わるのだが……と、周囲の魔力がざわつき始めた。

 まず中継者の外側で魔力が生じ始める。六角形の頂点でそれぞれ魔力が高められ、ゆっくりと滞留し始めた。


 無論、今回は試すだけなので全力というわけではないはずだ。それなりに力を出しているとは思うけど……沈黙していると、その魔力が中心に立つ俺のところへ移動を始めた。

 そして中継者が魔力に包まれると、彼らは一斉に自身の力で魔力を留める。直後、それぞれの種族が発した魔力を取り込み、一つに束ねるように集まり始めた。


 なるほど、中継というのはこういう風にやるのか……ソフィア達がいるのは、俺が上手く制御できるように調整役を果たす意味合いというわけだ。際限なく俺へ魔力が注がれたらまとまることなんて絶対にない。そこでソフィア達が量などを調整して、丁度良い魔力量を供給するわけだ。

 問題は、その丁度良い量というのはどれくらいなのか、なのだが……こちらが考える間にソフィア達から俺へ魔力が注がれる。足下から上がってくる魔力は、様々な種族の力が混ざっているためなのか、ずいぶんと濃密だった。


 それを俺はペンダントへ収束するように上手く操作し……ペンダントの中へ集めていく。際限なく収束していき、その見た目とは裏腹にどこまでも内包しそうな雰囲気だった。


「ふむ、良い調子だな」


 デヴァルスが感想を述べる。


「魔力を集める器についても、どうやら問題はないようだ……それでルオンさん、魔力を手にした感想はどうだ?」

「攻撃的なものではないから、不思議な感覚だけど……ただ、俺の所へ来た段階で混ざり合っているから、この種族はもっとこうした方がいい、とかそういう助言はできなさそうだ」

「そこは中継者同士でやるべきかな……それぞれ自分の魔力量と他の種族を担当している者の魔力量を把握できるようにしているはずだが、どうだ?」

「――やはり、人間と幻獣が弱いですね」


 ソフィアが率先して述べた。


「魔力の供給量も少ないですが、なおかつ上手く伝わっていないようです」

「ここは残る日数でどれだけやれるか、ね」


 カティがどこか苦々しく呟きながらも、調整しているのか身じろぎを何度もしている。


「大きな課題は二つか。魔力量については試作品だし、今後に期待するとして……私達は調整についてより綿密にやらないといけないわね」

「少し、実験してもいいか?」


 俺が手を挙げる。デヴァルスは「どうぞ」と応じると、


「魔力量を調整して、六種族で均一になるようにしてもらっていいか? 同一にしたら今の状態とどのくらい違うのか知りたい」

「ああ、いいぞ」


 ――俺としては別段、特に深い意味はない要求だった。単に今の状態と比べて魔力の感触などが変わるのかと、興味本位のものだった。

 しかし、俺のこの言葉が……事態を予想しない方向へと進めていくものとなる。


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