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賢者の剣  作者: 陽山純樹
星神の使徒

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魔降の目論見

 悪魔が倒れたことによって発動した罠はたぶん効果は麻痺毒とか、そういう類いだと思うのだが……と、ここでソフィアが申し訳なさそうに、


「す、すみません……私の魔法で消滅させておけば」

「いや、あれは仕方がないと思うぞ……ただこれ、無茶苦茶面倒じゃないか?」


 他の場所から悪魔の声が聞こえてくる。で、そいつらが逐一罠を踏んでいたら……いかん、心底厄介だぞ。

 というかこれ、この迷宮の主である魔降はわざとやっているのか……まあ、そうなんだろうな。だって今まで徒党を組んでいた悪魔が突然単独行動だからな。


「仮に罠がさっきみたいな効果だとして」


 ふいに、リーゼが呟き始める。


「悪魔だってそれを踏む……けど、遠くであれば問題はないし、私達は真っ直ぐ次の階層へ向かうようにすればいいのではないかしら?」

「ああ、それがベターだとは思うんだけど……」


 ここでどこからかフシュー、とまた音がした。うん、悪魔が適当な罠を踏んだのだろう。おそらく侵入者がこの階層へ来たと同時に悪魔が動き出し、罠なんかも踏み始めた、と。


「……レスベイル」


 鎧天使を出す。魔力分析を行い、状況把握に努める。


「ちょっと待っていてくれ……うん、悪魔の気配はあるが概ね単独行動みたいだな」


 戦闘により侵入者を追い払うという気はまったくないようだ。これ、間違いなく罠でここから進ませないという強い意志を感じる。


「問題は、この罠により発動するのがさっきみたいな毒の類いだけじゃないだろうってことだ。以前説明したと思うけど、罠の中には下の階層へ続く通路を変更したりするものも存在する。もしそれが実在していたとしたら――」


 その時、階段へと続く道に変化が。突然突き進む道が遮断されたかと思うと、別の場所に通路ができた。


「……あー、悪魔が踏んでも通路が変わってしまうな」


 ということは、倒さなければいけないってことだ……これは辛い。


「ねえ、怖いこと考えたんだけど」


 ふいにリーゼが通路を見ながら告げる。


「これ、もし通路が変わる場所に私達がいたら……」

「中に閉じ込められるな」


 俺の冷静な分析に仲間達の顔が引きつる。


「けど、一瞬というわけじゃないみたいだ。罠が発動して魔法が動作。次いで通路が動き始め、通路の構造が変わる、といったところか。だから魔法でいきなり通路に変化があるのではなくて、魔法により壁が動くといった方が正しい」

「壁の中に押し込められるというより、分断されるのを警戒すべきってことかしら?」

「そうだな……どういう仕組みなのか興味が尽きないけど、とにかく先へ進むためには悪魔を倒して通路が切り替わらない状況を作るしかなさそうだ」


 全部倒す必要性はない……と思いたいところだけど、一体残っていてさて行こうかという時に通路が変わってしまったら目も当てられないので、フロア内の敵を全部倒す方が無難かな。


「しかし、嫌がらせの極みねえ」


 今度はカティが感想を述べる。うん、俺も心底同意する。

 一層目と二層目については、侵入者を魔物により排除しようという意図があったのでまだわかりやすかった。三層目についても仕掛けなのでこれも先へ進ませないという目論見は理解できる。


 けれど、そこからさらに進んだ者については、面倒な障害によって退くことを考えさせる……これはたぶん、二層目までで魔物が通用しないという判断をして、なおかつ三層目の仕掛けについても突破できるだけの知識を保有している。つまりかなりの難敵だということがわかり、ならばこういう処置を施した、ってことか。

 さすがにゲームでこんな仕様にはならなかったなあ……というか、魔物が罠を踏むというのはゲームではあり得なかったけど、現実に照らし合わせればむしろ当然の話である。こういう罠を組んでもおかしくはない。


「できるだけ急いで攻略する、という目的の私達には最悪の障害ですね」


 ソフィアが告げる。うん、まさしく。

 たぶんこの迷宮を作った魔降は、侵入者を排除するよりも徹底してあきらめさせることを目的としたのだろう。仕掛けを作った目的がそういうことなら、目の前の状況についても理解はできる。


「けど、これ冒険者からすればよほどのお宝が眠っているということで、逆に燃えるのではないか?」


 と、クウザがそんな考察を行う。あー、そういう見方もありだな。


「この迷宮を作った魔降はたぶん、冒険者の心理状況なんて理解できなかったんじゃないかな……」


 俺の感想にクウザは「あり得る」と一言告げて沈黙。さて、状況は把握できたので、


「面倒だが、罠を注意しながら敵を倒すことにしようか、時間は掛かるが、ここまでそれほど時間を消費しているわけじゃないし、たぶん問題はないだろ」


 ただ、嫌がらせを徹底するのであれば、下の階層がどうなっているのか心底不安ではある。それは仲間達も同じように思っているようで、ソフィアやエイナに至っては険しい表情のままだ。

 これについては下へ進まなければわからないので、今は考えないでおこう……そういう結論に至りつつ、俺達は行動を開始した。






 通路が変化する罠については魔物を全て倒すという目的であれば障害になることはなく、俺達は魔力を辿り悪魔を倒し始める。基本的に単独行動なので、戦闘時間は恐ろしく短い。罠さえ踏まなければ問題ないレベルだった。


 例えば床に罠である場所が敷き詰められていたら……という懸念はあったのだが、どうやらそんな風になっている様子はない。ただこの三層目については大したことがないというだけで、下層についてはどうなっているかわからない……が、俺達の足は止まらないので、なるようにしかならないな。


 ただ、三層目の迷宮はそう広いというわけでもなかったので、それほど経たずして悪魔を倒すことができた。無論このロスは後々響いてくることになるとは思うが……仕掛けのあるフロアなどで時間短縮をして、挽回しないといけないだろう。


「よし、それじゃあ進もう。あ、悪魔を倒し終えても罠は当然残っているから、注意するように」


 仲間達を見回す。まだまだ余裕だし体力を回復する薬などを使う必要性はまだなさそうな雰囲気。


 ただ、罠を踏まないよう気を抜かず動いていたので知らず知らずのうちに疲労は溜まっているはずだ。それがどこまでこれから影響が出るのか……色々と懸念材料を抱えながら、俺達は下の階層へと進むことになった。


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