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賢者の剣  作者: 陽山純樹
魂の聖域

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遺跡への旅路

 四人で旅を開始したわけだが、女性陣は元々古なじみであることもあってか、仲が悪くなったりとかでトラブルもなく、順調に行程を消化し、最初の遺跡へ足を踏み入れた。

 本来天使の遺跡は隠されているのだが、デヴァルスがそれを暴くことができる道具を提供してくれた。よってそれを使い俺達は侵入することができたのだが……、


「うーん、見事に何もないな」


 遺跡内を見回り俺は呟く。


 とりあえず魔物についてはいるけど気配だってすぐに察知できるし、現在のレベルなら瞬殺なので問題にもならない。さすがに建物が崩れるとかそういう危険性があるのなら勘弁願いたいが、そういうこともなく探索は順調。とはいっても遺跡に資料らしき物が何もないし、ここがどういう施設だったのかもわからない。


「ここの天使は引き払ったのかもしれないわね」


 ふいにリーゼの発言。どういうことかと尋ねようとしたら、彼女から説明が。


「天使がこの大陸から去る時、見られたくない物とかは持って出ていくでしょうし……資料として残っているとすれば、道半ばで倒れた天使とかかしら?」

「道半ばってどういう意味で?」

「例えば研究していた際、魔物に襲撃されてしまったとか」


 ……俺はふとアンヴェレートのことを思い出す。そういえば彼女はロスタルドを打倒するべく堕天使になりながら動いていたわけだが、根源的な理由は天使として活動していた時のことが関係しているだろうか。


 ともあれ、今まで遺跡に潜ってアーティファクトを得たなんて報告がギルドには多数存在しているし、俺達も魔王との戦いの際、それを得るため遺跡に入り込んだこともあった。よって引き払うことなく物資を置き去りにしているケースもあるだろう。


 なので成果がゼロという可能性は低いと思うのだが……最悪なのは人間達が既に調査に入った場所に資料があるケースか。これが国の組織した調査隊なら国と話をして資料を提供してもらえばそれで終わりだし、たぶんデヴァルスはやっているのだろうけど……冒険者が遺跡に潜っているようなケースだと、資料が破壊されている可能性もゼロじゃないんだよな。彼らが故意に破壊することはないにしても、魔物との戦いで魔法を放ち、その余波で……そんなケースもありそうだ。


 未踏の遺跡に資料があることを祈るとしよう……そう考えながら俺達は遺跡を調べ続ける。


「――実は天使の遺跡について私なりに調べたのですが」


 遺跡を調べている最中、ソフィアが口を開く。


「場所が判明している遺跡であっても、未調査ということで放置されているものもあるみたいですね。今回赴く場所にはそうした遺跡も何ヶ所かあります」

「未調査……冒険者が関心を示さなかったってことか?」

「そうなのかもしれません。あるいは魔物に勝てず引き返したとか」


 放置されていた理由なんてわからないか……で、この遺跡の探索は短時間で終了し、成果もなく外へと出る。


「さすがに最初から何か得られるとは思っていなかったけど、これは前途多難かもしれないな」

「元より天界の長もそう期待しているわけではないんじゃない」


 と、これはリーゼの言。


「現状『神』に関する情報を少しでも得るために、可能性のありそうな場所を探している……そんなところではないかしら」

「そうかもしれないな。ま、こればかりは焦っても仕方がない。ともあれ次の遺跡へ向かおう」






 ――そうして俺達は旅を重ねていく。成果がないことで少しばかり徒労感みたいなものを感じるけれど、旅そのものはのんびりとしているし、まあこういうのもいいかと思ったりもする。

 魔界から帰還して城にほぼ缶詰状態だったからな……気分転換的な意味合いとしてこの旅はなかなか良い。それに久しぶりの旅路であるため、勘を取り戻すにも最適だ。


「次の場所はどこですか?」


 ソフィアの問い掛けに俺は資料を確認し、


「ここから少し南だな。徒歩で半日くらいの距離だ……ところでソフィア、遺跡探索ということで俺達は外に出ているけど、期限とかはあるのか?」

「特にありませんよ。ただ一つ言うなら、重臣達はできるだけ早く帰って来て欲しい様子でしたが」

「そこは仕方がないさ……そういえばソフィアに仕事について聞かなかったけど、やっぱり大変なのか?」

「魔王襲来前とは仕事内容も変わっていますからね」


 なるほど、彼女は彼女で大変そうだな……ただこれを言ったらソフィアは自分の心配をしてくれとツッコミを入れてくるだろうけど。

 俺の方も仕事はたくさんあるからな……当面の目標は俺が書類仕事から脱却し、きちんと『神』との戦いに備え力を付けることができるようになることか。今は人手も足りていないし、まだまだ組織が確固たるものになるまで時間が掛かる。


 ゲームにおける最新作エピソードに到達するまでに、きちんとやっておきたいところだ……と、考えているとリーゼから一つ話題が。


「そういえばルオン、今まで気になっていたのだけれど」

「何だ?」

「私達が所属する組織の名前って、きちんと決めていないわよね?」


 ……現状組織とか「英雄の組織」とか、そういう呼び方で俺達のことは語られているな。名前をどうするかについては相談したこともあったのだが、城の重臣とかが言及してきて混乱したこともあったため、結局正式な名称というのがまだ決まっていない。


「ああ、それについてはいつかは……と思っているけど、近い内に決めないと体裁も悪いかな」

「大々的に人を募るような組織でもないから、別に名前がなくても支障がないと言えばないけれど……」

「名前は必要だと思います」


 これはソフィアの意見。


「組織に名が付いた方が愛着が湧いたり使命感も増すでしょう。皆さんの士気も上がりますよ」

「そんなものかな……組織を設立してからずいぶん経つし今更という感じでもあるけど……どうするかは近い内に相談しようか」


 話をとりまとめつつ、俺達は次の遺跡がある場所を目指す。この調子なら次の宿場町で今日は休むことになるだろう。

 移動については馬車などを利用しているので、遺跡に潜る時間よりも移動時間の方が長そうな雰囲気だな……遺跡の場所が南部にも存在するので、デヴァルスの見立てよりも時間が掛かるかもしれない。


 ただこの旅自体、必要に迫られたものとはいえ急がなくてもいいのでのんびりといこう……横を見ればソフィア達が和気あいあいと話している。彼女達にとってもリフレッシュできる良い機会かもしれない。

 とはいえ、できれば成果の一つでも獲得したいところだが……そんなことを思いながら、俺達は町へと進み続けた。



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