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賢者の剣  作者: 陽山純樹
英雄の下に集う者達

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兵器破壊

 おそらく、門を破壊できなければ別のプランを用意していたはず――というか本来はリーゼ達と共にいる精霊達が対応する手はずだったのだが、どうやらその必要もなさそうだった。

 刹那、使い魔の視界を通して広がるのは、門へと直撃するロミルダの魔法……轟音が周囲に響き、砦を守る魔族達が絶句。そしてリーゼ達を始めとした味方も彼女の力に瞠目した様子だった。


 結果は……門は、破壊された。大穴とまではいかないが、それでも大人が並んで数人入れるくらいの規模のものができている。


「突撃! 行くわよ!」


 気合いを入れたリーゼの声と共に、五つ目の部隊は動き出す。魔族達は即座に対応しようとしたのだが、まず城壁の上にいる悪魔や魔族達に対し、精霊達の魔法が一斉に放たれた。

 属性は風、雷、炎といったもの。それらが地上から矢の如く注がれ、さしもの魔族達もたじろぎ中には足を踏み外し城壁から落っこちる者までいた。


 その間に敵は破壊された門へ部隊を送る。突破されなければ良いという判断らしく、徹底抗戦の構え。

 けれどそれを最初に崩したのは――またも精霊達だった。


「放て!」


 声と共に精霊達が魔法を射出する。炎や雷も多かったが、特に風――敵を吹き飛ばす目論見のある魔法が多かった。

 その複合攻撃により、魔族達はたじろぎ――回避もできず飲み込まれる。魔法を受けて倒れる者も多く、前方の味方を盾にして難を逃れた者達も、後続から巻き起こる風の魔法によって吹き飛ばされ、散り散りとなった。


 これなら――リーゼ達は即座に隙を突いて入り込む。同時、さらにロミルダの光が炸裂する!


「っ……!?」


 使い魔を通してわかるくらいの、叫び声が聞こえた。紫の色の光は一直線上に魔族達を消し飛ばし、さらに精霊が追撃を掛けて押し込んでいく。


「私に続いて!」


 リーゼはそう指示を送りながらハルバードを握り斬り込んでいく。敵もそれに応じるべく迫った――果たして大丈夫なのか。

 そう思った矢先、彼女のハルバードが豪快な横薙ぎを見舞う。直後、魔族達は吹き飛び、倒れ伏し誰も動かなくなった。


 さらに彼女がハルバードを振るうと、それだけ敵が吹き飛んでいく……豪快の一言。正直見た目からこんなど派手な戦法を繰り出すとは思えない。無論魔力強化を用いている以上、見た目とか体格というのは一因となるだけで十分彼女もこうした戦法をとれるわけだが……それにしたって無茶苦茶である。

 で、敵としてはどうやらリーゼの動きに恐怖でもしたか足が止まった。まあ突然ハルバードを振り回す女性が目の前に現われたのだ。驚くのも無理はない。


 さて、動きを止めた敵についてだが……そこへ追撃を掛けるのは騎士アティレ。風の魔法をまとわせたその槍は、正確に敵を射抜いていく。リーゼの派手さに気を取られているが、こちらも負けず劣らず敵を倒す。


 気付けば砦内にいた敵の数はかなり減っている。敵側もそれに気付いたようで、


「ま、守れ……!」


 慌てて叫び兵器へ向かって動き出す。けれど攻撃ではなく防御というのは、正直言って悪手も悪手だった。


「ロミルダ」

「はい」


 魔法の収束が始まる。それで敵も気付いたらしい――守ることすら無意味であると。

 すぐさま彼らは一転して突撃を開始した。けれどそれをリーゼやアティレが確実に対処する。さらに精霊達が砦内からやって来た敵を抑え込み、完全に封殺する流れとなる。


 そして、ロミルダの魔法が三度放たれる――しかもそれは、今まで以上の出力。


「た、退避! 退避!」


 即座に魔族達は身を守るべく後退を始めた。それと同時、ロミルダの魔法が――光の槍が射出され、兵器に直撃した。

 まばゆい閃光と共に爆音が天高く鳴り響く。どうなったかは見る必要もなかった。そうした中でリーゼ達は作戦成功として、離脱を始める。彼女もまたどういう結果なのか、見なくとも理解した様子だった。


「……クロワ、作戦は成功だ」


 そして俺は隣にいる彼の名を呼ぶ。


「五つの拠点に存在していた兵器、その全てが今まさに破壊された」

「よし、ならば――進むぞ」


 進軍が始まる。クロワの号令により、決戦に赴く部隊が、ビゼルの本拠を目指して出発した。






 今回は悠長に移動するというわけではなく、まさしく電光石火の動きで進軍していく。前回移動をした経路などを参考にして、どこをどう進めば効率が良いのか……そこについてもクロワは理解し、だからこそスムーズに進んでいる。


「ルオンさん、敵の気配はあるか?」

「いや、進軍経路に敵は控えていない」


 ビゼルとしてはクロワとエーメルが反旗を翻したばかりでなく、重要な兵器を破壊されたというオマケまでついている。混乱もあるはずだし、そもそも現状把握に相当時間が掛かるはずだ。

 しかし油断はしない。俺は使い魔を操作してビゼルの領内に動きがないかを確認し続ける。もし六つ目の兵器が存在しているとしたら、兆候があるはずだ。


「クロワ、ビゼルの領内を使い魔で見て回っているが……兵器が他にある様子はどこにもないな」

「だとするなら好都合だ。ビゼルは相当浮き足立っているはず。この調子でひたすら進む」


 無人の荒野を駆けるように進軍する俺達に対し阻む存在がいないのは、混乱しているからなのか……このまま居城近くまでいければ何よりだが、そう簡単にはいかないだろうな――


「考えている間に……来たか」


 俺は遠方に悪魔が飛ぶ姿を発見する。しかもその数はかなり多い。


「まず僕達を止めなければならないという判断だろう」


 クロワは語る。まあ兵器を破壊された上に本軍が居城近くまで来たのなら勝ち目がなくなるからな。


「迎撃しなければならない……ルオンさん、見ていてくれ」

「俺は参戦しなくていいのか?」

「兵器があるかどうかの確認をしてくれればいい。もし時間稼ぎというつもりなら、あの悪魔達はこちらを食い止める役割だろうから、兵器を利用する可能性が高い」

「なるほど、わかった」


 俺は彼の言葉に従い使い魔に意識を向ける。現在時点で怪しい場所は発見できていないが、それでも捜索を続ける。

 そうした中でいよいよ敵の悪魔が接近し……クロワが叫ぶ。


「敵は多いが私達がやられるような敵ではない。蹴散らすぞ!」


 クロワの声と共に兵達が沸き立つ。それと同時、いよいよ交戦が始まった。


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