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賢者の剣  作者: 陽山純樹
天使の箱船

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堕天使の本拠地

 以降、俺とソフィアはひたすら鍛練を重ね……徐々に成果も現れ始める。とはいえロスタルドの本拠を特定する日も近いようで、この調子でいくと融合魔法について納得いくまで仕上げるのは難しそうだった。


「そこは仕方がありませんし、またエイナ達を信じるしかなさそうですね」


 鍛錬の合間にソフィアが言う……うん、全てはそこにかかっているか。

 エイナ達もアンヴェレートの指導を受け、着実に食い止める時間は増えている……そこにリチャルが加わったことで、拍車が掛かった形。


「正直、こういうやり方で魔物を使うとは思わなかった」


 そんな風にリチャルが述べた。するとアンヴェレートは、


「魔物を自由に作り出せるというのは、それだけすごい技術ということよ。やり方次第では強力な武器になる」


 アンヴェレートには今回色々と指導してもらったし、礼を言わないと……そう思っていた時、彼女はこちらの心情を読んだのか「礼はいらない」と応じた。


「ま、ロスタルドを倒すことでそれは返してもらえればいいわ」

「……ちなみに、拘束手段については?」

「そちらも順調よ」


 エイナ達を相手にしている中で、準備も着々と進めているようだ……ロスタルドに対する執着心から考えると、彼女自身仕損じないよう準備は怠らないだろう。この辺りは心配するだけ無駄か。

 ロスタルド討伐準備についてはひとまず問題なし……では次にアランだが、こちらもデヴァルスからコメントがあった。


「やっぱり動いてはいないな。ロスタルドを撃破後、彼と接触してみるのがよさそうだ」

「居所は把握しているのか?」

「ああ、ひとまずな。それがダミーであったりしたらまずいが、そういったことも配慮している。心配するな」


 ……さすがにロスタルドとの決戦に介入してくる可能性はないだろうし、堕天使と決着がついた後ならさして問題にはならないか……ともあれ、彼の行動については注意を払う必要はある。デヴァルスの言うとおり、決戦の後に彼の所へ赴くのも一つだな。


 そうして俺達は少しずつ準備を進めていく……本当ならば万全の状態で戦いたい。しかし相手にこれ以上時間を与えた場合、どうなるかわからないし最悪逃げられる。天使側としてもこれ以上彼を野放しにしておくわけにはいかない――よって本拠が判明次第決戦に入る。

 もっとも彼の居所がつかめなければ一ヶ月でも半年でも余裕はあるわけだが――


 鍛錬を始めて十日後のことだった。突然デヴァルスに呼び出され、小さい会議室で顔を突き合わせて話をする。


「ロスタルドの居場所がわかった」


 まずデヴァルスはそう切り出した。


「アンヴェレートが言っていたように、空……というか山だな。この大陸でも標高の高いベルファ山という場所に、ロスタルドの本拠入口があった。彼女が空と語っていたのは、空を通じてヤツの瘴気を感知したからだろうな」

「そんな場所に居を構えるのには理由があるのか?」

「地上よりも見つかりにくいというのがまず一点。そもそも山の周囲は魔物の巣であるため、瘴気なんかがあってもおかしくないからな。実際以前にもこの場所を調べているのだが、見つけられなかった」


 ロスタルドが一枚上手だったってことか……。


「向こうの居所が知れている間に勝負を決める……よって、天使側の準備が整う数日後には仕掛けるぞ」

「わかった」

「そっちは大丈夫か?」


 デヴァルスが問い掛けた直後、室内が少々振動した。おそらく外でエイナ達が繰り広げている戦いによるものだ。


「……あっちは元気そうだな」

「アンヴェレート相手に必要だと想定している時間、食い止めることは昨日できた。ロスタルドを相手にしても、結構な時間耐えられる……と思う」

「敵の全容が見えていないからな、不確定要素があるのは仕方がない……そっちの融合魔法はどうだ?」

「相変わらず収束時間は長いけど、短縮はできてるよ。エイナ達の訓練結果を合わせれば、勝算は十分ある」

「あとはアンヴェレートの拘束する魔法……」

「それも整ったと言っていた。こちらの準備は、一応できたと言えるかな」


 もっとも、完全ではない。現段階で俺とソフィアの融合魔法についても課題は残っているし、エイナも「まだ足りない部分がある」と昨日こぼしていた。


 けれど、そうした状況下でも――やらなければならない。


「堕天化についての対策も、こっちは完了した」


 デヴァルスが言う。ただその顔はあまり良いものではない。


「ただロスタルドの本拠に攻め込む以上、何が起こるかわからないってのはある……よって堕天化する天使が現れたなら、こちらは撤収する可能性がある」

「そうなったら、俺達だけで?」

「本来ならそうなんだが……」


 デヴァルスは苦い顔。さすがに俺達に任せるなんて言わないか。


「……状況を見て考えるとするよ」

「それで、いいのか?」

「いざとなれば俺やアンヴェレートがどうにかするさ……ま、危険なのは間違いないけどさ」


 ただ、悪い賭けでもないだろうと思う。エイナ達もアンヴェレートと斬り結んだことにより確実に強くなっている。戦力的観点から考えても十二分に強化され、充実している……ロスタルドは防衛に天魔や魔物を用いるだろうけど、エイナ達は元々連携で天魔を撃破できていた上に、武具も強力になっている……敵の能力次第では、俺達だけでいけるかもしれない。


「今回の戦いがロスタルド撃破最大の好機なのは間違いないし、これ以上手間取りたくはないからな」

「わかった……本拠地に突っ込む以上、どんなことがあるかわからない。臨機応変に対応することを前提に、頑張ろうじゃないか」

「ああ」


 話し合いは終了。会議室を出ると、俺は休憩中のソフィアの下へ。

 場所は食堂。中に入ると彼女はエイナとお茶していた。


「ソフィア、エイナ」


 呼び掛けるとまずエイナが首を向ける。


「ルオン殿、デヴァルス殿との会議は終わったのか?」

「ああ……そっちは詳細を聞いているか?」

「ネルさんから聞きましたよ」


 ソフィアが口を開く。


「いよいよ決戦だそうで……融合魔法については完璧とは言えませんが」

「時間的に余裕がない中、十分時間短縮はできたと思う……決戦までに最終調整をして、あとは体を休め備えよう」

「ロスタルドとの戦い、任せてくれ」


 エイナが言う。その顔は自信も垣間見られた。


「ようやく、ルオン殿の役に立てるな」

「……魔王との戦いでも、俺はエイナに助けられたと思っているけど」

「私の方はそう感じていない……無論、無茶な真似はしない。ルオン殿はソフィア様と共に、必ず魔法を成功させてくれ」

「ああ、わかっている」


 その時、他の仲間達も食堂へ。事情は聞いているらしく、全員が決戦前に至り烈気をみなぎらせていた。

 その中でアンヴェレートがこちらを見て笑う。その表情からは「こちらも準備できている」という雰囲気があった。


「……いよいよ、か」


 アンヴェレートに遭遇してから、この天使の棲まう大陸で堕天使と戦い続けてきた。まだアランといった問題は抱えているが、ロスタルドとの戦いによって、この大陸の騒動も一区切りつくことだろう。

 その後はどうすべきか……考えながら俺は席につき、ソフィア達と共にお茶を飲むことにした。


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