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賢者の剣  作者: 陽山純樹
天使の箱船

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威力の確認

 さて、午後からも基本やることは変わらず、俺とソフィアは融合魔法の訓練に勤しむ予定だったのだが……中級魔法融合の威力を目の当たりにしたデヴァルスが、一つ考えついたらしく俺達は外にいる。

 アンヴェレートや仲間達はそれを見守るつもりらしく、デヴァルスやネルの行う作業を眺めているのだが……。


「おし、準備を始めよう」


 そうデヴァルスは言い――宮殿前の草原で、石柱を設置した。その柱には複雑な紋様が施され、魔法に関するものだとわかる。


「デヴァルスさん、それは何だ?」

「魔力障壁を地上展開するための道具。大規模魔法なんかを防ぐのに使われる。本来は守るべきものを囲むように柱を置くんだが、今回は違う」


 ある程度の距離を置いてもう一本柱を設置。構図的には左右に並べた感じ。すると石柱の間に魔力障壁が生まれた。


「それ、左右の石柱で一組なのか?」

「正解。簡単言うと何重もの構造にするわけだな」


 答えながら淡々と作業を進めていく……一組目の後ろに平行になるようさらに柱を置いていく。何枚も魔力障壁を重ねるのだが、二重三重どころではなく、十を優に超える数。


「そこまでやる必要あるのか?」

「最上級魔法で融合を試すんだ。入念な準備は必要だろ」


 ――そう、今から最上級融合魔法の威力を試す。どれほど威力が上がるものなのか、それを一度検証しておくべきだというのが、デヴァルスの意見だ。

 それについては理解できる……のだが、デヴァルスはどこか楽しそうにやっているため、真面目にやっているのかとつい疑ってしまう。


「さて、融合魔法を試す前に本来の力を検証する必要があるだろう」


 デヴァルスは語る……うん、それもまあ理解できる。


「というわけでお二人さん、最上級魔法とやらを使ってこの障壁をどこまで突破できる試してくれ」


 一枚も通らなかったらそれはそれで悲しいけど……とにかくやってみるか。


「では、私から」


 率先してソフィアが前に出る。


「ん、ソフィアさんからでいいのか?」

「はい……というよりルオン様からやって結果を出してしまったら、私の立つ瀬がなくなるので」


 そんなことはないと思うけど……口には出さず沈黙を守っているとソフィアが準備を始める。魔力収束の流れも綺麗で、今まで披露したことのない最上級魔法だが、しっかり体得しているとわかる。


「では、いきます」


 宣言と共に――彼女の頭上の空間が歪み、奥から巨大な剣が現れる。

 ただ俺とは少し違う……俺の剣は白銀に包まれたものなのだが、彼女のそれは青白い剣となっている。見た目が違うのは魔力性質などの違いだろう。

 そして剣から発せられる魔力は、大気を震わせるのではないかと思われるほどで……ソフィアはまず右腕を掲げた。


 そして振り下ろすと同時――剣が、障壁へ向かって射出された。


 直後、巨大な剣が障壁に突き刺さり、軋むような音を上げた。せめぎ合っているのがわかり、ソフィアは魔法を維持すべく右腕を大剣へかざし、障壁を突破させようと力をいれる。

 刹那、一枚目の障壁が、破砕音と共に弾けた。第一関門は突破――それと同時、新たな破砕音。


 二つ目の魔力障壁についても……そんな推測が頭をもたげた時、青白い光が一挙に弾ける。大剣の力が弱まり、魔法がいよいよ終わりを迎える。

 相当な威力であることは間違いない。ロスタルド相手にも十二分にダメージを与えられると思う……が、堕天使相手では致命傷とまではいかないか。


 光が消える。そして俺達の目の前に飛び込んできたのは、魔力障壁。最初と二つ目を見事突破し、さらに三枚目にもヒビを入れていた。


「うん、上等だ」


 デヴァルスが言う。とはいえソフィアは立ち並ぶ障壁を目にして、


「最後まで貫通できないのはわかっていましたが……これは、すごいのですか?」

「普通の魔法使いなら一枚目割るのもまあ無理だな。さすが堕天使を倒しただけのことはある」

「……神霊の剣を利用した技ならさらに威力が上がりそうだけどな」


 俺のコメントにデヴァルスは「そうかもな」と応じつつ、


「だが融合はできないんだろ?」

「そうだな。さすがに精霊達の力を結集した技なんて、特殊すぎるから」

「だろうな……ではルオンさん」


 デヴァルスに促され魔力収束を開始。とりあえず横のソフィアと背後から仲間達が送る視線がなかなかに鋭い……俺の全力でどれだけ破壊できるかは気になるみたいだ。

 魔力障壁も既に再生されて、準備は万端。そこで俺は魔法を解き放つ。


 巨大な剣――白銀のそれは、魔力を周囲に散らしながら、少しずつ異空間から姿を現す。

 誰もが固唾を呑む中で――巨大な剣が、解き放たれる!


 刹那、障壁に剣が突き刺さり、魔力障壁の一枚目を突破する。次いで勢いを維持したままさらに突き破り、その勢いで三つ目を――


 次の瞬間、白い光が前方を包み込んだ。轟音が周囲に響きどれだけ障壁を突破したのか確認できなくなる。

 横ではソフィアが真っ白い世界を凝視し、立ち尽くしているが……自分の魔法をさらに強化するために、俺のを参考にしようとでも考えているのだろうか。


 やがて、魔法が途切れ光が消えていく。そして見えた先の状況は――


「ほう、やっぱりすげえな」


 デヴァルスが感嘆の声をもたらす。

 状況は……突き破った魔力障壁の数は、五つ。六つ目も多少ダメージは受けているらしいが。


「予想以上の威力だな。で、融合魔法の場合は二つが組み合わさって、さらに威力が増すと」

「単純な足し算ではない、ってことだよな?」


 俺の問い。それに答えたのはアンヴェレートだった。


「この目で確認しないとどうとも言えないけれど……加算という単純な話ではおそらくないでしょうね」

「融合魔法を発揮する前に、個別に二つの魔法を同時に放って障壁を破壊してみてくれ」


 続けてデヴァルスが話す。


「データができる限り欲しいからな」


 なんか要求が増えていく……確かにデータとしては必要だろうけどさ。


「わかったよ。ソフィア、いいか?」

「はい、構いません」


 今度は二人同時に魔法を使用……ふと気になったけど、背後にいる面々は俺やソフィアの魔法をどう考えているのか。

 まあいい。さて、次は同時攻撃……この場合単純な足し算になりそうな気もするけど。


 俺とソフィアは共に詠唱を始め、準備を完了させる。そして同時に魔法を起動し――二つの剣が顕現する。

 周囲が光の剣による魔力で覆い尽くされる。濃密な魔力は肌なんかを刺激し、どこか息苦しくも感じられるくらいだ。


「それじゃあ頼むぜ」


 デヴァルスの発言と共に――俺とソフィアは同時に『ラグナレク』を発動させる。

 巨大な剣が二つ、魔力障壁に突き刺さる。単独であった時と異なり、一層目の障壁は抵抗もなく突き破った。


 そこから、二つ、三つ……と確認できたのはそこまでだ。光に包まれ――俺の魔法の方が強いためか、ソフィアの青はほとんどなく、視界に広がるのは白い光ばかりだった。


 下手すると、俺の魔法が強すぎてソフィアの魔法をある程度打ち消してしまうのでは……そんな懸念を抱くと同時、魔法が終わり目の前が見え始めた。


「同じ魔法でも、片方の威力が高いためそっちに影響して威力が減ってしまうな」


 デヴァルスが言う。どうやら俺の懸念がそのまま当てはまっているらしい。

 障壁は、合計で八つ破壊されていた。俺とソフィアの魔法が単独で突き破った数を考慮すると、単純な足し算に近い。


 しかし互いの魔法が悪い方面で影響し、本来の威力よりも少し落ちた……俺の魔力にソフィアの魔法が引っ張られ、打ち消されてしまう形。


「さて、ここからが本番だ」


 やはりデヴァルスが楽しそうに語る――最上級の融合魔法。どれだけ威力が上がるのかを検証しよう。


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