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賢者の剣  作者: 陽山純樹
天使の箱船

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堕天使撃破への課題

 ソフィアと魔力を合わせ、魔法が放出される感覚が手の先に生まれた瞬間――ほんのわずかな時間、腕そのものが引っ張られるような感覚があった。

 普通、魔法を行使する場合魔力が内から外へ流れる感覚はあるのだが、今回はそれと同時に何かに手をつかまれ引っ張られるような感触が。


 魔力の流れができていたため、自分の予想以上に放出した結果だろうか……使用した『ホーリーショット』はきちんと形をなし、真正面に撃ち込まれる。


 地面へと向けられた光弾は相当な勢いを伴いバアン! と音を立て床を打った。さすがに下級魔法なので破砕には至らなかったが……通常と比べて明らかに威力がある。


「変わった感触ですね」


 ソフィアが言う。俺は頷き、


「魔法を発動して解き放った瞬間、違和感があるな。でもまあ、この技法を使う以上は慣れないといけないのかもしれないけど」

「うんうん、まずは成功ね」


 どこまでも嬉しそうにアンヴェレートが呟く。


「初めてにしては上出来ではないかしら。威力も十分高まっていた……とはいえ、最上級の魔法で試したわけではないから魔法の威力については実感しにくいかもしれないけれど」

「軽く使った程度でこの威力だ。可能性は十分あるんじゃないか」


 俺のコメントにアンヴェレートは意味深な笑みを浮かべる。


「評価してもらえて嬉しいわ。さて、ひとまず二人の魔法が組み合わせられることはわかったから、ここからひたすら修練あるのみよ」

「課題は山積みですからね」


 と、ソフィアが告げる。


「下級魔法でさえ使用するのに準備が必要ですし、なおかつこうして二人並び立って魔法を使おうとしている段階でも相当隙がある。再戦の際、ロスタルドは私達のことは警戒するはずですし、こうして並び立って準備を始めた段階で注意を払うでしょう。こちらの目論見に気付かなくとも、妨害は確実にしてくるはずです」

「それに対する手はいくつかあるな」


 これは俺の言だ。


「準備時間の短縮はやらないと話にならないからここは鍛錬するとして……相手の妨害についてはレスベイルやアンヴェレートの援護で対処、ってところか」

「勝負を決めるには、準備時間の短縮が生命線ね」


 アンヴェレートの言葉。うん、これが一瞬で終わればいいのだが……そもそも俺達がやろうとしているのは最上級魔法の融合だ。魔法の融合自体は可能でも、最上級魔法の準備をするのにどうしても時間を要する。しかもそれを組み合わせるとなれば想定外の問題だって出てくるだろう。


 もっともここは絶対に解決しなければならないことだから、とにかくひたすら修練あるのみだな。幸い俺もソフィアも魔法などを使う技能は十二分にある。訓練を重ねれば展望も見えてくるだろう。


「あともう一つは、どう魔法を決めるかですね」


 さらにソフィアの意見。


「警戒する以上、魔法を避けられる可能性が高い。仮にスムーズに準備が進んだとしても、当てられなければ意味はありませんからね」

「ま、それは他の技法を使っても一緒だからね」


 アンヴェレートの発言。それを言ったらそうなのだが――


「魔力収束時間の短縮は必須だから今から二人に頑張ってもらうとして……どちらにせよ二人が魔法を使うわけだから、その間の援護は必要になってくる」

「レスベイルやアンヴェレートで……といっても、ロスタルドと直接対決した際に実力のほどは見せてしまってるから、工夫しないと」

「他にも懸念があるのよね。次の戦いは向こうが行くのではなく、おそらくこちらが攻め込むことになるわ。どんな状況で戦うことになるのかまったくわからない……しっかり対策を構築しておかないと、ね」


 そうか、そういう問題もあるのか……うーん、課題は山積みだな。


「時間稼ぎの問題が解決したら、今度はソフィアさんの言った通り当てる手段が必要になってくるわ。私が動きを拘束してとか、あるいは私を犠牲にしてとか、色々やり方はあるけど」

「できればレスベイルだけで拘束したいけど、さすがに無理か」

「さすがにねえ。そもそも二人の実力はわかっているから、動きを止められたらまずいことになるって考えは持ってるでしょうし、生半可なやり方では無理でしょうね」


 なおかつ、この融合魔法はおそらく一度の戦闘で使えなくなると考えた方がいい。策としてロスタルドに認知された時点で、俺達の魔力をどうにかする手段をおそらく確立するだろうし。

 だから実質当てられるチャンスは一回か……しかも俺とソフィアは魔法に集中するために戦えない。他の面々でロスタルドを食い止め、動きを封じなければならない。


「他に手段がないとはいえ……さすがに厳しいか?」

「例えばデヴァルスが協力できればなんとかなるかもしれないけれど、堕天化という切り札が相手にはまだあるからねえ」


 アンヴェレートは口元に手を当てる。


「相手の本拠に攻め込む際、その辺りも是正した上で突入するでしょうけれど、ロスタルドはより強力な堕天化手段を持っていると考えていいわ。そう考えるとさすがにデヴァルス他、天使達は戦えない」

「つまり、その戦いで援護できるのはアンヴェレートとレスベイル。そして仲間達か……」

「この魔法を使うという前提で話を進めた場合、彼らの力は必要だと思っていたわ。ここは避けられないかなと思うけれど」


 アンヴェレートが言う。確かに仲間のエイナ達も強くなっているのは確か。天魔に対しきちんと対処した点を考慮すれば――とはいえ、さすがに総大将を相手にするのはどうか。


「仲間に相談するべきよ」

「……エイナなんかは真っ先に戦うと言うだろうな。セルガを含め宴の参加者も同じような意見だと思う」

「でも、危険だと」

「実力は認めるよ。でも今回の相手は堕天使そのもの……不安はあるよな」

「同感です」


 ソフィアも賛同。しかし、


「けど、仲間の助けを借りずロスタルドの動きを抑えるとなると……」

「それもまた難しいわね。ルオンさん達のやろうとしていることはどうしたって隙ができる」


 ……天魔と交戦した以上はエイナ達についてもロスタルドは情報を得たと考えていいだろう。しかし俺やソフィアについて警戒は示せど、おそらくエイナ達に対してはそれほど気を遣ってはいない……と思う。

 そこはある意味付け入る隙になるわけで――でもやっぱりキツいか?


「次の戦いまでにそう時間もないわ」


 アンヴェレートはさらに語る。


「ロスタルドを倒すために……その手段を確立するには時間がおそらく足りない。そうした中できちんと準備を整えるには、それこそ今からやらないと間に合わないかもしれない」

「わかってる……ソフィア、どう思う?」

「心配なのは確かです。しかし今回の手で戦おうとする場合、エイナ達の協力はおそらく不可欠でしょう」

「だよな……」

「ずいぶんと辛気くさい感じだな」


 と、ふいに声がした。見ればデヴァルスが朗らかに笑いながら近づいてくる姿が。


「どうしたんだ?」

「あ、いや、その」

「来たるべき決戦へ向け、色々と策を講じていたのよ」


 アンヴェレートが応じた。


「けれど課題が多くてね」

「ふうん、そうか……なあ、一度俺に話してみてくれよ」


 唐突な要求。


「もしかしたらヒントくらいは出せるかもしれないぞ」


 ……天界の長にも一度相談してみるべきか。ソフィアを見るとコクリと頷いていた。うん、それじゃあ、


「なら話すよ。融合魔力……それをどうやってロスタルドに対抗できるものにするか――」


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