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賢者の剣  作者: 陽山純樹
天使の箱船

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障壁強化

 さて、ソフィアとレスベイルとの戦いだが……俺はレスベイルに対して指示はせず、出方を窺うことにする。こうなるとレスベイルは自動迎撃モードに入り、近くに来た相手に向け大剣を振るう専守防衛の形となる。


 ソフィアが剣を構えジリジリと間合いを詰めていく。レスベイルは大剣を握ったまま動かず、静観の構え。

 彼女はそれにより仕掛けなければ動かないと判断したらしい。即座に足を踏み出し、一気に懐へ潜り込もうとする。


 刹那、レスベイルが反応。大剣が振られ、両者の剣戟が激突する――膂力については身体強化分を考慮すると互角か、ソフィアが上か。

 結果、剣戟同士がぶつかりあってレスベイルがわずかにたじろいだ。見た目ソフィアの方が力がなさそうに見えるから、奇妙な光景にも思える。


「ふっ!」


 すかさず彼女は追撃を仕掛ける。縦の斬撃はしっかりとレスベイルを捉えるが――直後、ガキンと鎧によって彼女の刃が阻まれる。

 魔力は十分乗っていた。以前のレスベイルなら直撃すれば手痛いダメージを受けていたはずだが、今は彼女の魔力では足らない……?


「早速強化の成果が出たな」


 デヴァルスが言う。なるほど、鎧自体相当強化されているのか。まあ神霊の力を基にして生まれた精霊に天使の力が加わったのだ。こうなってむしろ当然なのかもしれない。


「ソフィアさん、もっと力を入れていいぞ」

「今のもそれなりに魔力を入れたのですけどね……!」


 ソフィアは一度剣を引き戻し、距離を置く。その目には闘争心……なるほど、ノーダメージとは予想外で、是が非でも倒したいってことか。

 さあて、どうなる……と、ここでデヴァルスが腕を振った。するとそれに呼応してレスベイルが動く。


「あれ、動かせるのか?」

「単に外部から操作系の魔法で動かしているだけだよ。別に良いよな?」


 まあ、俺が指示しようにも相手がソフィアだから手を抜きかねないよな。それでは実戦の意味がないし、


「いや、構わないよ」

「それじゃあ、遠慮なく」


 破顔するデヴァルス。その目にはソフィアに勝ってやろうという気概を大いに含んでいた。


 本当の斬り合いはここからだな――直感した矢先、ソフィアとレスベイルは同時に動いた。ソフィアの俊敏な動作に対し、外部からの操作とは思えないほど速くレスベイルは応じる。

 そしてぶつかる長剣と大剣。金属音が訓練場を満たし、幾度もぶつかり合う。ソフィアが攻勢に出てそれをレスベイルがたたき落とすという形だが、時折鎧天使も反撃に転じソフィアの体に剣がかする。


 とはいえ出血などすることはない……障壁強化によるものか。先ほど天使リリトから教わった技術か?


「そらっ!」


 ここでデヴァルスが豪快に腕を振るった。まるでオーケストラにタクトを振る指揮者のようなであり、レスベイルの剣速が明らかに増した。

 苛烈な攻勢。負けじとソフィアも速度を高め相対する――が、俺はこの勝負の結末がどのようなものかおおよそ理解できた。


 というのも、ソフィアとレスベイルは決定的な違いがある。技量などはソフィアが上回るだろうし、このまませめぎ合いとなればおそらく彼女が勝つだろう……持久戦にならなければ。魔力容量の観点から考慮すると、さすがにソフィアでもずっと同じ剣速を維持して戦うことは難しい。

 少しの間双方互角に渡り合っていたが、やがてソフィアの速度が緩む。そこを狙い剣を差し込むレスベイル。それにソフィアは反応するが、徐々に押されていく。


 こうなるとレスベイル――もといデヴァルスのペースか。やがてソフィアが攻勢を仕掛けていたのに情勢がレスベイル主体へ変化していく。彼女もこれはまずいと思ったようで、レスベイルの間合いを脱するタイミングを窺う様子を見せた。

 だがデヴァルスも黙っていない……と、ここでソフィアの剣が大きく弾かれた。一瞬の出来事。そこへすかさずレスベイルが大剣を振るい、彼女へ横薙ぎを決める!


 一瞬大丈夫か!? と心の中で声を上げたが、すぐに問題ないと悟った。剣を受けた衝撃によりソフィアは大きく後退したが、それだけだった。


「きちんと魔力障壁が強化されているな」


 そうデヴァルスは述べる。一方のソフィアは自分の体を確認していた。


「レスベイルの剣には結構魔力を加えていた。以前ならさすがに衝撃が抜けて痛みくらいはあると思うが、それもなかっただろう?」

「はい、障壁に異常はなく、体も影響はないですね」

「なら成功だ。ルオンさん、鎧天使の刃を受けて平然としている……結構な収穫じゃないか?」

「確かに……訓練はこれで終わりか?」

「いや、もう少し続けようか。ソフィアさん、そっちはどうだ?」

「まだまだやれますよ」


 剣を構え直す。先ほどしてやられたのを仕返ししたいようだ。対するデヴァルスもどうにかして勝ちたい様子……負けず嫌いな両者である。


「ルオン様、こちらももっと力を加えますがよろしいですか?」

「戦いまで数日ある。ここでレスベイルが消えたとしても次の戦いまでには復活させるし、やりたいようにやってくれ」

「では――」


 瞬間、肌が粟立つような濃厚な魔力。どうやら『スピリットワールド』を使ったらしい。

 うん、直撃するならレスベイルは一発KOだな。


「よっしゃ、来い!」


 だがデヴァルスは叫んだ。するとソフィアは一気に最短距離を駆け抜け、剣戟を見舞う!


 レスベイルも対抗して大剣を振る――が、今回ばかりははね除けられなかった。剣同士が交錯した矢先、いとも容易くソフィアの剣がレスベイルの大剣を押しのけ、その体に白光に輝く剣が、入った!

 途端、光が周囲を包む。一瞬の出来事かつ凄まじい威力であり、以前のレスベイルならば攻撃を食らった直後、あっさりと消えていてもおかしくない。


 だが、俺はソフィアの奥義を食らってなお、気配を感じる……事の推移を見守っていると、レスベイルが光の中から姿を現した。


「今のも耐えたぞ」


 デヴァルスが呟く……鎧天使に天使の力をある程度注いだだけでこの結果。もし完全に魔力を集中させたとしたら……どんなものになるのか。


「さてルオンさん、どうだ?」


 デヴァルスが話を向ける。


「……正直、今のを耐えきれるとは思わなかった」

「結果としては上々だな……神霊の力が本来入っている上、天使の力……まさしく、最強の使い魔と言えるだろ」


 最強、ね。防御力を中心に強化しているが、天使の力などを攻撃に転用することも可能だろう。デヴァルス達の力によってレスベイルが今大幅にレベルアップしたと言える。現状でこれなら完成形は想像もできない。


「よしソフィアさん、続きといこうか」

「はい」


 再度デヴァルスが告げる。そしてまたも響き渡る金属音。


 そうした光景を俺はずっと眺め……改めて、ソフィアもまた相当な防御力を得ているのがわかる。デヴァルスがレスベイルに指示を送り時折ソフィアに剣を当てるが、その全てが魔力障壁によって阻まれる。


 双方戦ってはいるが、決定打がない様子……ここで均衡を破ったのは、レスベイルだった。


「そらっ!」


 デヴァルスが腕を振る。それに反応したレスベイルは、ソフィアへ間合いを詰めようとした。

 彼女も反応したが、一歩遅い。次の瞬間大剣が迫るが――まずは弾く。


 だがレスベイルはなおも執拗に――いや、ダメージ覚悟か! そう認識した瞬間、ソフィアも察したようで――鎧天使へ踏み込み迎え撃った。


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