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賢者の剣  作者: 陽山純樹
天使の箱船

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天使との連携

 ヴィレイザーとの戦いの後、町へ戻り仲間と今後について語り合う。場所は飲食店の一席。この場にいるのは俺とソフィアリチャルにロミルダの四人だけ。


「しばらくは天界の長と行動を共にするってことでいいのか?」


 最初に口を開いたのはリチャル。俺は「そうだな」と同意しつつ、


「大きな問題は、俺の能力に関することかな……解析しただけで抜本的な解決には至っていないから。今回ヴィレイザーを倒せたことでレスベイルと連携すればどうにかできるのはわかったけど、このまま放置はしたくない」

「しかしそれには時間が掛かりますよね。天使に神霊と協力を仰いでいますし、まずはその結果が出ないことには……」


 ソフィアの意見。まあ確かにそうだよなあ。


「……今の俺にできることは、ロスタルドとの戦いに備え準備をすることか。天界へ侵攻準備をしている可能性を考慮すれば、準備しておくに越したことはないし」

「今回堕天使ヴィレイザーを倒したことで、その侵攻が取りやめになる可能性もありますけど」

「相手が守勢に回る、ってことも十分考えられる。でもここで退いてもまずい、って決断するかもしれないし……ヴィレイザーの動き自体が囮とデヴァルスさんは見ている節もあるし、要警戒なのは間違いない」

「相手の動向がわからない状況だ」


 と、今度はリチャル。


「相手がどんな出方をしても対応できるよう備えておくのは重要だろう。とはいえ、ルオンさんはどうする?」

「レスベイルとの連携を今以上に練り上げ、なおかつ耐久力を上げることかな。攻撃面は問題ないけど、今の防御能力だと不安要素が強いから。ソフィアは?」

「私は『スピリットワールド』強化と、天使の武具を利用した防御能力の向上でしょうか。ルオン様達の戦いを見ていて、まだまだ足りないと思いましたから」

「俺に至ってはこの大陸に来てほとんど何もしていないからな。どうすべきか天使達と相談してみるのもありか」

「ああ、それはいいかもしれないな」


 と、各々が今後どうすべきか議論していく。ちなみにロミルダはソフィアと共にさらに鍛練を重ねることになった。

 ふむ、これからはしばらく修行することなりそうか? デヴァルスと少し相談してもよさそうだけど……ま、天使達の動向との兼ね合いもある。改めて協議することにしよう。


 ひとまずこれからについては決まったけど、修行する場所はどうしようかな。


「ソフィア、魔物の巣とかで修行するつもりか?」

「まだ考えていませんが……」

「天使に頼んで天界へ行くというのはどうだ?」


 と、リチャルが提案する。


「むしろ、そこでしばらく厄介になってもよさそうだが……」

「デヴァルスさんならすんなり応じてくれそうだな……ヴィレイザー討伐に関する実績もあるし。その辺りを含めて話し合わないと」


 堕天使と戦う以上、もっと彼らと接近するのもありだろう。


「よし、ひとまず方針は決定だな……ともあれキツイ戦いが一つ終わった。今日くらいはゆっくり休むことにしよう」

「はい、そうですね」


 ソフィアの言葉で会議は終了。食事を済ませ宿に戻ると、ラウンジでアルトとエイナが話す姿が。


「あ、二人とも。どうした?」

「お、待ってたぜ」


 アルトがこちらに手を振る。待っていた?


「これからどうするかを一度聞いておきたくてさ」

「天使と連携してロスタルド討伐の準備をする、だけど」

「いや、それはわかっているんだよ。俺達の方はどう動くべきかって話だ」


 と、ここでエイナは重々しく口を開く。


「今回の討伐、天界の長も出るということで私達に出番はなかった。それは仕方のない話で受け入れているのだが、私達としては少しでもルオン殿達に追いつきたいと考えている」

「……アルト、それについてはキャルンやイグノスも了承しているのか?」

「ああ、同じ考えみたいだな」


 戦意は健在か……。


「俺達も強くなって立ち回りたいと考えているわけだが、そっちは今回の戦いを踏まえてさらに強くなろうとするわけだろ? 俺達は俺達のやり方で……っていうことをしていると、さらに差がつくんじゃないかと思ってね」

「実際、今回の戦いでルオン殿は天界の長と手を組んだことで新たな技法を手にした」


 レスベイルのことだな。


「前回の戦いで活躍できなかった、といった点について不満を抱いているわけではない。このまま自分達でやっていても確実に追いつけないと考えているわけだ。もし可能であれば、ルオン殿達と共に鍛錬したい」


 あー、なるほどね。エイナの懸念は至極当然だし、今後強くなるとしたら俺達と連携した方がいいって考えは正しいだろう。


「無論、そうした修行を経て私達の目標に到達できるかは不明だ。ただ確実に言えるのは、このまま私達独断で突き進んでも間違いなく望む結果は得られないということだ」

「……言い分はわかったよ。俺達としても天使と協力した方がいいだろうって結論にはなっているし、提案はしてみるよ」

「頼む」


 頭を下げるエイナ。今回、あまり活躍できなかったことを懸念している様子……まあ当然か。これではソフィアを守るようなこともできないわけだし。


「……そういえばクオト達は? アルト、何か知っているか?」

「全員、今後天使と連携していくことを確認して、町を離れたぞ。ルオンさん達によろしくって伝言頼まれていたんだった」


 別れの挨拶くらいしておけばよかったかな、と思ったがここでアルトの補足が。


「彼らも色々と今回の件で思うところはあったみたいだな。それに別れたって話じゃなくて、あの三人も堕天使の戦いに関わっていく雰囲気だし」


 ……結局、参加したメンバーはこれからも共に戦っていくことになりそうだ。


「そっか、わかったよ。ひとまず今日はゆっくり休んでくれ」

「ああ、そうさせてもらう」


 ――そういうわけで、俺達は討伐達成したその日、休むことになった。






 翌日、相変わらず平和な町の中、とある店に入り話をする。相手は――デヴァルス。

 こっちの要望を一通り告げると、彼は「いいぞ」と快諾した。


「ルオンさんの力はこっちも堕天使との戦いに必要だと思っている……それにソフィア王女なども頼もしく思っているし、願ったり叶ったりだ」

「アルト達のことも了承してくれるのか?」

「無論だよ。戦う意志があるのなら拒みはしないさ」

「よし、ならそれで」


 これで会話は終了――と思ったのだが、デヴァルスの話には続きがあった。


「それで今後の話なんだが、実は宴の参加者……その中の一位と接触できた」


 お、ついにだな。


「こっちの事情を説明したら、参加すると表明した。二位にも接触しているが相手は騎士で、ずっと拘束されるのはキツイと返答がきたから、こっちは望みが薄いかもしれないな」

「都合があるから仕方がないよ……それで、いつ会うんだ?」

「そう経たないうちに。興味があるのか?」

「宴の一位だしね」

「そっかそっか。会って話をした天使によると、かなり好印象だったらしい。あと、話の拍子に語った彼の素性だけど、ずいぶんと面白かったみたいだぞ」

「……面白かった?」


 聞き返すとデヴァルスは「ああ」と返事をして、


「なんでも、こうして話をするのは予定通りだってさ」

「……なんだそれ?」

「宴で一位になればこうして話をできると知っていたと」


 知っていた? 首を傾げる俺に対し、デヴァルスは――驚くことを言った。


「話によると、彼は天使について情報を持っていた……なんでも、転生しこの戦いのことを知っている、とのことだった――」


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