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賢者の剣  作者: 陽山純樹
天使の箱船

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天使の誘い

 町へ戻り、翌日俺はセルガから儀式系魔法について講釈を受ける。


 やることは地面や空中に自分の魔力を注ぐわけだが……単に注ぐだけでは宿した魔力を使えなくなる。結構コツが必要だった。


「ふむ、その実力に違わずのみ込みも早いな」


 ただセルガはそんな評価を下す……彼に習いながら試行錯誤しているのだが、存外使いこなせているらしい。


「これならそう経たずして基本的な部分は扱えるようになるかもしれん」

「なら、使えそうかな」


 でもまあ、技術を習得してから自分に合った応用をしないといけないわけで……先は長そうだな。

 ひとまず目処は立ったので、昼前に切り上げて食事へ向かう。ちなみにソフィアやロミルダはディーチェやエイナと共にどこかへ行っている……女子会、とまではいかないだろうけど、女性陣で色々集まってワイワイやっているのかもしれない。


 一方の俺はセルガと顔をつきあわせて昼食。適当な店に入り料理を注文後、俺は彼へ切り出す。


「俺の問題については、技術を教えてもらう間に伝えたかと思う」

「ああ」


 ……ただまあ、さすがに転生したことについては言ってない。


「セルガさんとしては、打開策を思いつくか?」

「話を聞いて、単純に魔力の質をルオンさんが変えれば……という風に思ったが、どういう形で影響を受けているか不明だからな。それをしたところで解決しないかもしれない」


 難しい顔をするセルガ。


「堕天使との戦いを拝見した限り、確かにルオンさんの言うとおり何かしら影響はあるのだろう……ただ一から解析して問題をなくすにはどうしても時間が必要だろう」


 やっぱり時間か……この戦いにおいて解決するのはあきらめ、来たるべき神との戦いまでに――といったところだろうか。

 頭の中で結論をまとめていると、セルガはさらに話す。


「これから、そちらはどうするんだ?」

「うーん……俺の魔力に関しては調査待ちだから何もできない。かといってヴィレイザーにちょっかいをかけても駄目だろうし……」


 考えられるとしたら、アンヴェレートが言っていた空を調べることか――ヴィレイザーが魔物の巣にいたことから、彼女が発言した内容は残る堕天使のロスタルドと最初解釈したけど、ヴィレイザーのすみかがそこにある可能性だってゼロではない。


 しかし、空といっても範囲が広すぎるよな……天使と連携しないことには厳しいかも。


「ひとまず堕天使探しかな……といってもできることは高が知れているけど」

「そうか……」

「セルガさんは?」

「私はひとまず、研究室へ戻ろうかと思う。堕天使相手にまだまだ力不足であると認識したからな」


 ……宴の参加者で彼は三位の実力者。その彼であっても先の戦いは衝撃的だった、ということだろうな。


「ルオン殿、もし何かあれば遠慮無く相談してくれ。私の居所は天使ネルに伝えてある」

「わかった。ありがとう……今日中に町を離れるつもりか?」

「ああ、この食事が終わったらすぐに、と考えている。天使ネルには話してあるため、混乱はないはずだ」


 ――そうして食事が終わり、俺はセルガと別れた。ふむ、彼とは今後も色々関わりそうだな。クオトとディーチェはどうするんだろうか……まあ別に同行しても構わないか。


 しかし、あの戦いで仕留めきれなかったのは痛いか……ヴィレイザーは間違いなく警戒するだろうし、もし出てきても何かしら強化などもしているだろう。こっちも相応の対策を立てないと。

 俺の方は儀式系魔法の力を応用することで対応するとして……他の仲間はどうするべきか。防御面を強化するのは必須として、俺にできることは――


 その時、ふと視界に入る人物が……アルトにクオトだ。俺はなんとなく彼らに近寄ってみる。


「おーい」

「ん……ルオンさんか」


 アルトが手を振り返す。クオトも俺に気付くと手を上げ、


「セルガさんと何かやるって聞いたが、終わったのか?」

「ああ。しかもセルガさんは一度戻るってさ」

「なるほど、堕天使対策でもしようってことか」


 お見通しというわけだ。


「クオトは何かやる予定はあるのか?」

「俺か? うーん、修行するにしても一人じゃあ限界があるからな……俺は学もないし師匠もいないし」


 ……自己流でここまで戦えるようになった時点で相当すごいな。


「それに、俺はセルガさんやディーチェさんみたく瞬間的に攻撃力を上げるって感じの技じゃないからな。もしかすると堕天使相手には十分なダメージを与えられないかもしれないぞ」


 大型の魔物を殲滅するには十分だが、堕天使相手となるとさらに上をいく技能が必要というわけか……魔物と堕天使との間には隔絶とした力の差があるってことだ。当然かもしれないが。


「あ、でもまあ俺は下りるつもりはないから安心してくれ」

「……ちなみにだが、アルトはどうする?」

「無論、協力させてもらうさ。ただしついていけないと判断したら引き下がるし、そっちも遠慮無く言ってくれ。さすがに迷惑は掛けたくないからな」

「キャルン達も戦うつもりなのか?」

「ああ、賛同してくれてる」


 見過ごすわけにはいかないって話だな。


 この調子ならディーチェもまた同じような選択をとるだろう。つまりこのメンバーでヴィレイザーと戦うってことだ。

 ふむ、相手はこちらの能力のことを悟った以上、必ず何かしてくるだろうし、単純に見つけて倒すってのも厳しそうだ。戦力的にはセルガ達の協力もありがたいが、それだけでは足りない。もしヴィレイザーを滅ぼすなら、確実な手が必要だな。


 俺はアルト達と別れて歩き出す。そして通りを歩いているとガルクが話し掛けてきた。


『ルオン殿、現状明確な打開策はないといったところか?』

「まあそうなるな……けどまあ、悪い話ばかりではないよ。俺がセルガから新しい技法を学んだことなどもあるし」

『うむ、そうだな……明日以降、再び魔物の巣へ入るのか?』

「それでもいいけど、ヴィレイザーが出てこないのは確定だろうな。もしやるなら手を変えないと……でも巣で魔物と戦い続けるのはいいかな。俺とヴィレイザーが無茶やったクレーターの場所とかもどうなるか確認したいし。もしあれで魔物の動きとか変わって巣を出るようになったらまずい」


 そんなことを話していると、またも見覚えのある人物……今度はネルだ。


「ネルさん、どうしましたか?」


 問い掛けると、彼女は柔和を浮かべ、


「ああ、女子会が解散になって少しブラブラしているだけよ」


 ……女子会って、言い切っちゃったぞ。


「それで、ルオンさんに一つ朗報が」

「朗報?」

「ヴィレイザーの出現に加え、戦闘について話をしたら、防具を提供しようと率先して手を上げた天使がいたわ」

「それって、防具がもらえるってことなのか?」

「現時点では、ね」


 歯切れが悪いけど……まあ天使側にも色々あるってことだろう。


「ついては……ルオンさんから是非とも話が聞きたいと」


 む、天使の誘いか……。


「……俺は構わないけど、すぐにか?」

「言ってくれれば連れて行くわ。時期は任せる」


 かといって先延ばしにするのもまずい。なら答えは一つしかなかった。


「連れて行くのは俺だけか?」

「要望があれば数人くらいまで……この場合、ルオンさんの仲間になるのかしら」


 ソフィアやロミルダ、さらにリチャルが該当するかな……一度中に入って現状を確認しておくのもいいだろう。

 そういう結論に達した瞬間、心の中を覗き込んだかのようにネルは言った。


「ヴィレイザーが積極的に仕掛けてくるかは不明だけど、なるべく早いほうがいいと思うわ……もし天界へ行くというのならきちんとエスコートさせてもらうから、よろしくね」


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