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賢者の剣  作者: 陽山純樹
竜の楽園

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剣の性能と計略

 アナスタシアの屋敷へ舞い戻った俺達は、翌日から訓練を開始した。ソフィアは竜精フォルファとの連携を試し、俺は偶然手に入れた遺跡の剣について検証を行う。


「ルオン殿」


 朝食後、庭園で剣を振っていると、アナスタシアが声を掛けてきた。


「剣じゃが、感触はどうじゃ?」

「物自体は悪くないと思うよ。けど、魔力収束をするのは不安が残るな。遺跡に被害が相当出たくらいだし……制御できないと怖くて使えない」


 一晩侯爵に預けて色々調べてもらったのだが……その結果が出たのか?


「そうか。現時点でわかったことを伝えると、どうやらその剣、注いだ魔力をどう扱うか細かく調節できるようじゃぞ」

「は?」

「遺跡で試しにルオン殿が放った時は、注いだ魔力を増幅し、なおかつ拡散するように設定されていたようじゃな」


 増幅と拡散……。


「魔力を膨らませて効果範囲を大きくしたと言えばいいじゃろう。それによって、被害規模が大きくなったということじゃ」


 そこまで解説したアナスタシアは、腕を組んだ。


「利用の仕方によっては、面白いことになるかもしれん。遺跡の破壊具合からすると、相当魔力が広がっておった。もしかすると、技や魔法も高範囲になるかもしれん。人造竜などを相手にした時、活用できる可能性もありそうじゃ」


 ――つまりあれか、人造竜が例えば町中で火を吹いたとしよう。その範囲は大きく、俺が使う防御魔法では周囲にいる人々を守り切れないかもしれない。

 だが、この剣により効力を増幅すれば、火を防げるほどの魔法を生み出せるかもしれない――といった感じか?


「話はわかった。で、調節できるということは、抑えることも可能なんだよな? そのやり方は?」

「わからん」

「え?」

「説明書などないからな。それはルオン殿が調べるしかなかろう」


 ……得体の知れない剣だぞ。ハードル高くないか?


「これは長い目で見た方がいいかもしれんな。とにかく今は、役立つ可能性があるかもしれない……という程度の認識でいいじゃろう」

「そうさせてもらうよ」


 返答した後、横を見る。ソフィアがフォルファと訓練を続けている。


『では、素振りをしてくれ』

「はい」


 フォルファの指示にソフィアが剣を薙ぐ。動きは綺麗で、彼女本来の剣さばきといった感じ。

 見た目の上ではフォルファの力が乗っているようには見えないが……。


「こ、これ、かなり大変ですね」

『竜精である私の魔力が腕などに入り込んでいる。負荷が掛かっているということだろう』


 ただ、彼女の言葉によると苦労しているみたいだ。ふむ、こちらもすぐにとはいかないか。


「ソフィア、大丈夫かー?」

「は、はい。なんとか」

『そっちはどうなんだ?』

「この剣の仕組みが具体的にわからないから、手探りでやるしかなさそうだよ」

「せめて増幅度合いを調整する機能を上手く使えればのう」


 アナスタシアが言う。俺はなんとなく剣を眺めるが……スイッチがあるわけでもないから、辛いな。

 魔力を利用して調整するのかな? だがそうだとしてもやり方がわからないし、八方ふさがりだな。


「まあこの剣を活用するかどうかを含め、今後検討していけばよい」


 アナスタシアはそう告げた後、俺に顔を向けた。


「さて、次の計略に向けて作戦会議をしたいのじゃが……よいか?」

「ああ、いいよ。竜魔石をすり替え、人造竜対策をするんだったな?」

「いかにも。すり替える竜魔石については、本日完成した」


 侯爵はそう言うと、俺を手招きする。


「まずは打ち合わせを行うとしよう。また、すり替えと同時に騎士達の戦力分析……それを合わせて行えば、効率がよいじゃろうな」






 ソフィアは継続して訓練を続けるとのことで、俺とアナスタシアが屋敷にある会議室へ入る。


「そういえばルオン殿。リチャル殿やロミルダはどうしたのじゃ? 朝食の後、見かけないのじゃが」

「今日は一日休むってさ。特にロミルダは遺跡に潜って特に疲れたみたいだな」

「そうか……では本題に入るとしよう」


 アナスタシアは大きいテーブルに紙を広げた――地図だ。


「屋敷から帝国領内へ向かう間に、いくつか山がある。その中に天使の遺跡が点在しておる。中には既に調査を終え、竜魔石が抜き取られておる場所もある」

「それについては残念だな」


 俺の言及にアナスタシアも悔しそうだ。


「むう、まあこればかりはどうしようもないからな……資料に目は通しておるな? 目的の遺跡が迷宮になっており、隠された出口が存在する」

「竜魔石が安置されている場所に繋がっていて……俺は隠し通路の出口から逆走して竜魔石をすり替える。それに合わせ騎士達の戦力分析を行う、というわけだな」


 俺の言葉に侯爵は首肯する。


「うむ。口で言うと簡単そうに聞こえるが、実際その通り行動することは色々と障害がある……まずは魔物。隠し通路の中にもいたようじゃから、戦いを避けることはできん」

「そこはなんとかなるよ」

「ではすり替えを行う際、罠が発動するということじゃが……それはどうじゃ?」

「資料には、宝を手に取ったら遺跡が崩れるって書いてあったな」


 古典的な感じだが、あんまり天使の遺跡では見ない罠だ……そもそも、最奥の部屋に隠し通路があるなんていうのもレアケースだな。遺跡と言っても、他とは用途が違ったのだろうか?


「手順について、改めて説明しよう」


 そう語ったアナスタシアは、地図に目を落とした。


「ルオン殿は隠し通路を逆走し竜魔石が安置されている場所に行く。で、肝心の罠なのじゃが、これは魔力量を感知して発動するタイプ。それを利用する」


 魔力感知、か。


「竜魔石は台座に安置されており、手に取った直後に罠は起動せん。台座周辺の魔力量を何かの仕掛けで計測し、それを下回ったら発動、という形のようじゃ」

「これ、回りくどいよな……普通に手に取ったら罠が起動、とかじゃ駄目だったのか?」

「さあな。天使達の考えていることなどわからんよ。ともかく、一定範囲内の魔力量が同じであれば罠は起動せん」


 ――ここで、一つ疑問が湧いた。


「なあ、リチャルの資料についてだけど……今回ずいぶんと詳しいよな」

「ロミルダから聞かんかったのか?」


 逆に聞き返される。何を?


「ああ、そうか。核心的な情報に触れるから語らなかったのかもしれんな」

「……つまり?」

「ロミルダが言うには、この資料をしたためていた時のリチャル殿は、それこそ鬼気迫るものであったらしい。それだけ今回の戦いで決着をつけたい、ということなのじゃろう」

「……よほどのことがあったらしいな」

「そのようじゃな。また、遺跡の情報源は時を戻し続けるネフメイザが保有していた資料によるものじゃ。彼もこの戦いに勝つため、遺跡を調べ尽くしたということ。信憑性は高いと考えてよかろう」


 ネフメイザが……つまり、人造竜に入れる竜魔石を効率よく手に入れるため、色々と調べた、ということかな?


「わかったよ。それなら情報に従い動くことにするけど……具体的にどうやるんだ?」

「ルオン殿は魔力調整できるか?」


 唐突に話を振られ、俺は眉をひそめた。


「今回すり替え用に作成した竜魔石は、魔力を自由に出し入れできるようになっておる。つまりルオン殿が現地へ赴き、そこで魔力を解析して罠が発動しないよう処置を施すというわけじゃ」


 ……また大変だな、それ。


「確かルオン殿は自前の精霊と、神霊の分身がいるじゃろう?」

「ガルクやレスベイルの力を借りて任務を遂行するというわけだな……」


 ま、できるとしたら俺だけだろうし――


「それじゃあ、今回すり替える魔石を見せてもらえないか?」

「うむ、では案内しよう」


 ――そして俺は部屋を出て、廊下を歩き出した。


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